作成日
:2020.08.27
2021.08.31 15:32
タイのバンコクに拠点を置くフィンテック企業であるLightnetは、スイスのツーク州に本拠を置く仮想通貨銀行のSEBA Bank【以下、SEBAと称す】とパートナーシップを締結したことを発表した。
2018年に設立されたLightnetは、分散型クレジットおよび決済ネットワークを開発するVelo Labsのブロックチェーン金融プロトコルを活用し、金融サービスへのアクセスを持たない東南アジアの移民労働者に送金サービスを提供することを目的にしているという。今回、LightnetはSEBAとの協業を通じて仮想通貨による送金への対応を計画しており、より安全かつ透明性の高いソリューションの構築を試みている。
一方、SEBAはLightnetの取引銀行としての役割を果たし、法定通貨および仮想通貨での決済や送金をサポートすることが求められている。これに加えてSEBAは、MTO(Money Transfer Operator)の決済銀行やカストディアンとして機能することが想定されているようだ。SEBAの部門責任者であるMatthew Alexander氏は、規模の大きさだけでなく、仮想通貨やデジタルサービスとの親和性が高い点も含めてアジア市場が有望であるとの見解を示した。
タイではAzimoとSCBがRIppleNetを活用した国際送金サービスを開始するなど、ブロックチェーンベースのソリューションが普及しつつある。今回、LightnetがSEBAと提携したことはこの流れを加速させる可能性があるが、タイの仮想通貨市場はどのように偏移していくのか、今後もその展開を見守っていきたい。
release date 2020.08.27
これまで既存の金融機関はマネーロンダリング防止(AML)やテロ資金供与対策(CTF)の観点から、仮想通貨関連企業との取引を避ける傾向にあったが、仮想通貨銀行の登場でその流れが変わりつつある。実際に米国ではJPモルガンチェースがコインベースとジェミニに銀行サービスを提供するなど、大手銀行が仮想通貨市場との繋がりを持ち始めているようだ。その他にもAvantiが500万ドルの資金調達に成功しており、ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange)に上場するシルバーゲート銀行に続く仮想通貨銀行が誕生しようとしている。今回、スイスに本拠を置くSEBAがアジアの仮想通貨市場に目を付けLightnetとのパートナーシップを展開したことは、同地域の仮想通貨コミュニティにとって大きな契機になると考えられるが、これがどのような変化をもたらすのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2020.08.27
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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