Select Language

収益性の低下に苦戦する中国マイニング事業者

収益性の低下に苦戦する中国マイニング事業者

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:32
収益性の低下に苦戦する中国マイニング事業者

update 2021.08.31 15:32

ビットコインの半減期を境に収益性が大幅に低下

毎年6月から10月に梅雨が到来する中国では、水力発電による電力コスト低下に伴ってビットコイン(Bitcoin)マイニングが最盛期を迎えるが、今年に限っては多くのマイニング事業者が収益性の低下に苦しんでいるようだ。[1]

現在、中国はビットコインネットワークにおける65%のハッシュパワーを生み出すマイニング大国となっているが、同仮想通貨の半減期を境に収益を確保することが困難な状況に陥っているという。特にビットコイン価格の上昇を見越したマイニング事業者は、中国南西部に新しい設備を建設しており、設備投資を回収することに苦難を強いられているようだ。大手マイニングプールのF2Poolでグローバルビジネスディレクターを務めるThomas Heller氏は、中国のマイニング事業者が新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で大きな打撃を受けている事実に触れ、今年後半に向けて競争力を高める必要があると言及した。

一方、中国を代表するマイニングプールであるPoolinのCEOを務めるKevin Pan氏は、ビットコインの半減期後、マイニング難易度が昨年7月と比較して2倍近く上がっているのに対し、同価格があまり上昇しなかったことが収益性の低下につながっていると指摘した。Pan氏によると、このままビットコイン価格に大幅な変動がなければ、マイニング事業者の収益は昨年から70%減少することになるという。実際にビットコインのマイニング報酬は、2019年7月時点で1TH/s(テラハッシュ/秒)あたり約0.33ドルだったものの、今は1TH/sあたり約0.1ドルにまで低下している。

昨年から中国ではマイニング事業者が乱立し、今年4月にはハッシュパワーが供給過多となっており、国内のホスティングビジネスも買い手市場で使用電力などの割引を用いて集客を行なっているという。このような背景から四川省および雲南省のマイニング事業者は、今年の梅雨の間、2割から3割が稼働せずに、長期的に事業を継続するために体力を温存すると予想されている。通常、マイニング事業者が投資を回収するには半年から1年を要すると言われているが、ビットコイン価格が1万1,000ドルから変動しない場合、その期間は2年にまで長期化する可能性がある。

このような状況にも関わらず、一部のマイニング事業者は強気な動きに出ており、新しいサービスを展開しているようだ。例えば、マイニングプールのBTC.Topを創設したJiang Zhuo氏は、B.topと呼ばれる共同マイニング契約を開始し、クライアントが初期投資を回収するまでホスティング料および管理費を請求しない新しい料金体系のサービスを提供している。また、BabelのCEOであるFlex Yang氏はパートナー企業であるHashAgeまたはHeng Jiaのホスティングサービスを利用するクライアントに対し、最大5,000万ドル相当のテザー(Tether)をローンとして割り当てることを約束した。

昨年末、四川省の地方自治体は過剰な電力を必要とする事業者向けのデモゾーンを設け、安価かつ安定した電力供給を行うことの見返りに、企業に利益の一部を譲渡するよう求めている。これにより中小規模のマイニング事業者は利益率が低下する可能性があり、存続が危ぶまれる事態に直面しているようだ。その他、中国では激しい豪雨で複数の都市が水害に見舞われるなど、経済全体のマイナスとなるような出来事が発生しているが、国内のマイニング事業者はこの苦難を乗り越えることができるのか、今後もその動向を見守っていきたい。

release date 2020.08.06

出典元:

ニュースコメント

中国一辺倒の状況から脱却するマイニング業界

これまでマイニング業界では中国企業が大きなシェアを占めていたが、世界情勢の変化や新型コロナウイルスの影響でその勢力図が徐々に変わりつつあるようだ。実際に大手仮想通貨取引所のバイナンスはロシアおよび中央アジアのマイニングリソースを統合するなど、新しい市場の開拓を試みる動きを見せている。また、競合のHuobiもロシア法人を設立し、マイニング関連のプロジェクトを推進している。一方で中国では、中国人民銀行(People's Bank of China, PBoC)が中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency, CBDC)発行に注力しており、政府当局がそれ以外の仮想通貨に対する規制を強めている状況だ。昨年、中国政府がマイニング事業の禁止を検討していることが報道されたが、マイニング業界はどのように変移していくのか、今後もその展開に注目していきたい。


Date

作成日

2020.08.06

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨KAITOの将来性は?AI活用のWeb3情報プラットフォームKaito AIの特徴や評判を解説

仮想通貨KAITOは、Web3の情報アクセスを変革する次世代プラットフォーム「Kaito AI」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨KAITOの概要や将来性、Kaito AIが提供するYapsの仕組み、SNSでの評判などを解説します。
update2025.02.19 19:00

FXGTでの出金拒否報告が増加中、これまでとは違う危険な兆候とは?

FXGTの出金拒否の報告・原因のほか、ユーザーの流出状況などをまとめました。SNS上ではここ数ヶ月の間に出金拒否に関する投稿が増加しており、ユーザーの間では「自分も出金拒否されるのでは」「FXGTがつぶれるのでは」といった不安が広がっています。
update2025.02.14 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

仮想通貨SOSOの将来性は?AI活用の投資分析プラットフォームSoSoValueがトークン発行

仮想通貨SOSOは、中央集権型金融の効率性と分散型金融の透明性を組み合わせた投資分析プラットフォーム「SoSoValue」のガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨SOSOの将来性やSNSでの評判、SoSoValueの特徴などを解説します。
update2025.01.24 19:30

Bybitからビットフライヤーに送金してみた!送金手数料や反映時間は?

Myforex編集部では、実際にBybitからビットフライヤー(bitFlyer)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、送金手順のほか、送金手数料やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.02.19 19:30

【全て無料】MT4/MT5を日本時間にできるインディケータのおすすめが決定!

MT4/MT5に表示されている時間は、インディケータを使えば簡単に日本時間へ変えられます。MT4/MT5を日本時間表示にしておくと、各市場のトレンドを把握しやすくなったり、経済指標の発表時間に合わせた取引がしやすくなったりと、何かと便利です。
update2024.12.04 20:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

MacのMT4/MT5はダウンロードしても使えない?文字化けや起動しない時の対策方法や最終手段を紹介!

Mac版のMT4やMT5は不具合が良く発生するため、自分の使い方が悪いのか不安を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、Mac版のMT4・MT5のトラブルや解決方法を解説します。
update2024.12.04 20:30

コインチェックからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間についても解説

コインチェック(Coincheck)からBybitに仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.11.29 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル