作成日
:2020.06.26
2021.08.31 15:32
大手仮想通貨取引所のBinance【以下、バイナンスと称す】は、小売業者およびベンダー、ウォレットサービス向けのB2BソリューションであるBinance Accessをローンチすることを発表した。
バイナンスによると、事業者が自社プラットフォームにBinance Accessを統合することで、ユーザーはインターフェースを離れることなく、同取引所を介し法定通貨で仮想通貨を直接購入できるようになるという。既存のバイナンスユーザーがBinance Accessを通じて購入した仮想通貨は連携済の口座に自動的に入金されるが、新規ユーザーが購入を試みた場合、口座開設画面に誘導される仕組みになっているようだ。
Binance Accessは、バイナンスのオープンプラットフォームイニシアチブの一環として立ち上げられ、標準APIを通じて様々なクライアント企業を取り込むことを可能にするという。現在、Binance Accessは仮想通貨および仮想通貨ウォレットでの支払いを受け入れるベンダーを含め、仮想通貨市場で事業を行う企業向けにカスタマイズされており、利用するためには法定通貨による決済処理能力と同時に、対象となる国や地域の規制に準拠する必要がある。報告によると、既にウォレットプラットフォームのAdvcashがBinance Accessを統合している。
バイナンスのCEOであるChangpeng Zhao氏は、Binance Accessが取引所を運営せずにワンストップサービスを提供する手段になり得ると説明し、サービスプロバイダーとエンドユーザーのプロセスを合理化することができると主張している。また、Zhao氏は仮想通貨市場への参入障壁を引き下げ、バイナンスのインフラ利用を促進することを望んでいるようだが、Binance Accessはどのような成果を上げるのか、今後もバイナンスの取り組みに注目していきたい。
release date 2020.06.26
これまでバイナンスはB2Cサービスを中心に展開し、仮想通貨市場での影響力を高めてきたが、最近ではバイナンスがBinance Cloudを立ち上げるなど、B2Bセグメントをターゲットにする動きを見せている。また、インドの仮想通貨およびブロックチェーン分野の発展を支援することを目的に、バイナンスはIAMAIの仮想通貨取引所委員会に加盟し、成長が見込まれる同市場で本格的な事業展開を狙っているようだ。このようにバイナンスが急速に事業を拡大していることに対し、仮想通貨業界ではコインベースがTagomiを買収するなど、競合他社が同取引所の取り組みを追従する構えを見せている。Binance AccessのようなAPIを介した仮想通貨購入サービスは目新しいものではないが、バイナンスが取引チャネルを多様化していることに関して競合他社はどのようなアクションを取るのか、今後も仮想通貨業界の動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.06.26
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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