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マイナス価格に転じた原油先物への対応を迫られる海外FXブローカー

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update 2022.06.03 12:54
マイナス価格に転じた原油先物への対応を迫られる海外FXブローカー

update 2022.06.03 12:54

ポジションの強制決済や新規取引の停止などを実施

WTI(West Texas Intermediate)原油先物5月限の清算値が4月20日、1バレル=マイナス37.63ドルと、先週末終値比で55.90ドル急落し、史上初めてマイナス圏に沈んだ[1]。これを受け、海外FXブローカー各社は顧客資産の保護を徹底すべく、ポジションの強制決済や新規取引の停止といった緊急措置を講じている状況だ。

米国・コネチカット州を拠点とする海外FXブローカーのInteractive Brokersは、顧客が原油先物取引に係る証拠金不足に直面したことを受け、顧客に代わって追加証拠金を解消すべく約8,800万ドルの一時的な損失を被ったという[2]。同社の創業者兼会長であるThomas Peterffy氏はCNBCのインタビューに対し、Interactive BrokersがWTI原油先物5月限の未決済建玉の15%ほどを占めていたことから推察するに、他の海外FXブローカーが残りの約5億ドルにも上る甚大な損失を被った可能性があるとコメントしている。先月、Interactive Brokersのサイトがダウンしたことも明らかになっており、金融インフラを含む取引システムの改善が急務になっている模様だ。また、米国最大のFXブローカーであるForex.comを運営するGAIN Capitalも、原油先物価格の急変動を受け、顧客の保有ポジションを精査すべく、資金の引出しを一時停止する措置を講じている。

更に、MetaTrader取引プラットフォームがマイナス価格に対応していないことから、取引の安全性が保証されないと判断し、顧客に代わってポジションを解消したり、損失を限定する試みを始める海外FXブローカーも続出している。例えば、Trading212が4月21日に最終日を迎えたWTI原油先物5月限の取引を停止したほか、オーストラリアを拠点とする海外FXブローカーのVantage FXも、WTI原油(USOUSD)取引に関しては、決済注文のみの受付としている。同社のリスク部門ヘッドを務めるChris Nelson-Smith氏は、足元の原油市場の混乱や商品間スプレッド、ブローカー間のプライシングの開きなどに関し、顧客に対し長い時間をかけて投資教育する意向であるという。また、商品間スプレッドが大きく拡大し、必要となる証拠金が増加しているため、顧客は自身がトレードする市場を十分に理解することが重要であり、ポジションのモニタリングと資金に十分な余裕を持った慎重な取引を強く推奨している。尚、Vantage FXはウェブサイトを刷新するなどして、金融商品の拡充や取引コストの削減などを実現させている。

また、2019年8月に先物商品の提供を開始したAdmiral Marketsは、原油CFDの価格が5ドルを下回った場合、決済注文のみ受け付ける緊急措置を講じた。[3]更に、原油CFDの価格がゼロになった場合には、プライシング提供を停止し、現在の市場価格で全てのポジションを強制決済すると共に、全ての未決注文を取消すことにしている。

複数の海外FXブローカーが顧客資産を保護すべく、英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】が付与するFCAライセンスをIFPRU730kにアップグレードしている点は評価に値するであろう。情報筋によると、ライセンスアップグレードを行った海外FXブローカーがSTP方式を採用する場合、マイナス価格によって損失が発生したとしても、顧客はその損失を負担する必要はなくなるとのことだ。

原油先物市場はボラティリティが大きく拡大しているため、トレーダーは徹底した資金管理が求められている。

release date 2020.04.24

出典元:

ニュースコメント

不安定な値動きが続く原油先物市場

WTI原油先物5月限が史上初めてマイナス価格をつけたことにつれ、期近の6月限も4月21日に1バレル=6ドル台まで急落した。ただし翌22日には、主要産油国による大規模な追加減産への期待が高まっているほか、中東情勢が緊迫する可能性が認識されたことから、6月限は前日比で一時30%ほど急反発する場面が見られた。また、24日には一時1バレル=18ドル台に乗せるなど、不安定な値動きが続いている状況だ。原油先物急落の要因の一つとして、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による経済活動の縮小を受けた需要減退懸念が挙げられている。これに関しては、複数の国々で新型コロナウイルスの感染拡大を阻止する効果的な事例が散見されるほか、米独が経済活動の一部再開に踏み出したように、ポジティブな面も見られ始めている。原油先物市場は値動きが非常に激しくなっており、追加減産や新型コロナウイルス動向などに関連したニュースヘッドラインに振り回される展開が続きそうだ。


Date

作成日

2020.04.24

Update

最終更新

2022.06.03

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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