作成日
:2020.03.30
2021.08.31 15:33
米国・ニューヨークを拠点とするテクノロジープロバイダーのTradepoint Systems, LLC(本社:7 Penn Plaza Suite 806 New York, NY 10001 United States
)【以下、Tradepointと称す】は、複数のリクイディティプロバイダー(流動性供給業者)からのNDF(Non-Deliverable Forward, 為替先渡取引)ストリーミングサービスを利用し、NDF合成ポジションの競争力ある取引及びマーケットメイキング機能の提供に注力している。Tradepointは、顧客がリクイディティプロバイダーを通じて流動性に乏しい通貨ペアのプライシングを求める際、NDFの合成ポジションを構築することで追加の流動性供給機能を提供することができるとのことだ。同社の業務開発部ディレクターを務めるNoor Mohammed氏は、テクノロジーを活用することで、3か月物(IMM Dates)もしくは特定期日におけるNDFの合成ポジション取引、及びマーケットメイキング機能を融合したソリューションを提供することができるようになったという。また、直近のTradepointにおいてはユーロ/インドルピーのNDFやFXスポット取引の顧客需要が拡大している模様だ。
Tradepointは当初、トレードデスク向けに取引量の多いパッシブ運用のクロス取引に係る内部移行システムの開発を手掛けていた。その後、電子取引などの顧客チャネルにも応用すると共に、顧客需要の拡大に対応する形でそれぞれ独立したテクノロジー機能を融合させることにより、リスク管理や流動性供給などを含むより包括的なソリューションを継続的に開発している。Mohammed氏は、同社の一番の付加価値は顧客が抱える課題を解決するために、個々の機能を融合させたソリューションを提供していることであるという。
また、電子取引における権利行使価格が同一の合成ポジションの活用や、クロス取引に関するプライシング及びマーケットメイキング機能も提供しているとのことだ。特に、流動性に乏しく取引量が少ない市場において、Tradepointのソリューションを活用することで、より効果的な執行の実践を期待できる模様である。更に、Mohammed氏は米ドルで差金決済するNDFの満期が到来する際には、基本的にリクイディティプロバイダーのプライシングを基に、同様のアルゴリズムを用いて特定期日のNDFを構築するという。しかしながら、NDF市場の構造上、取引が活発でない期間のNDFに関しては、基本的にリクイディティプロバイダーが自社のブックで処理している模様だ。その場合、原資産通貨の取引動向を踏まえ、主にユーロ/米ドルを用いるほか、プライマリーもしくはセカンダリー市場で取引処理される可能性があるという。TradepointはNDF合成ポジションに関連した流動性供給サービスを強化することで、更なる顧客取引の拡大が期待できそうだ。
release date 2020.03.30
新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受け、金融市場が不安定化するなか、株式やFXなど多岐にわたるアセットクラスでプライシング機能に支障をきたしている模様だ。そのため、多くの市場参加者が豊富な流動性供給を求めている。金融市場が混乱するなか、今回TradepointがNDFに関連した流動性供給機能を提供する以外にも、多数の金融サービスプロバイダーがプライシング機能の強化を図っている。例えば、CMEが金先物商品をリリースし、流動性が枯渇する金商品に係る取引の柔軟性向上を模索している。また、CFH ClearingがYour Bourseと提携し、Your Bourseのリクイディティハブを活用した流動性供給を実践している。更に、SynOptionがFXオプション取引プラットフォームをリリースし、ニッチ市場とされるFXオプション市場において豊富な流動性を確保する意向である。新型コロナウイルスの影響が拡大するなか、今後も各金融サービスプロバイダーが打ち出すプライシングソリューションに注目が集まりそうだ。
作成日
:2020.03.30
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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