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米上院議員がデジタルドル関連の法案を提出

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update 2021.08.31 15:28
米上院議員がデジタルドル関連の法案を提出

update 2021.08.31 15:28

下院による景気刺激法案を受けて枠組みを検討

今月17日、米上院のSherrod Brown議員が銀行、住宅、および都市問題に関する上院委員会(Banking, Housing, and Urban Affairs)に新しい法案を提出し、デジタルドルの枠組みを検討する動きを見せていることが明らかになった。[1]

景気刺激法案の一環で米下院がデジタルドルの発行を検討していることを受け、この新しい法案ではデジタルドルが「連邦準備銀行(Federal Reserve Bank)の負債として電子的に記録される残高」だと再定義されているという。下院で提案された「Take Responsibility for Workers and Families Act」および「Financial Protections and Assistance for America's Consumers, States, Businesses, and Vulnerable Populations Act」では、デジタルドルが中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】となる可能性も含まれていたものの、Brown議員はこの法案の中でデジタルドルを電子通貨として取り扱うことを意図しているようだ。

この上院の動きに合わせて下院では、Nancy Pelosi議長が「Take Responsibility for Workers and Families Act」の草案からデジタルドルの文言を削除している。修正版の草案では1人あたり1,500ドルが給付されることが提案されているが、どのような方法で個人の手に渡るのかは明示されていない。前回、下院では連邦準備銀行がデジタルドルの電子ウォレットを提供する案が浮上しており、上院もこれを引き継いで同行がパススルー・デジタルドルウォレット(Pass-through Digital Dollar Wallet)を管理する責任を負うことを法案に盛り込んでいるという。

以前から元米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission)のJ. Christopher Giancarlo氏は、CBDCの発行が米政府の金融覇権を揺るがす可能性があると警告している。米国ではCBDCの発行に向けてデジタルドル財団がアクセンチュアと協業するなど、仮想通貨の実用化に向けたソリューションの開発が進んでいるが、今回、議会はこの助言に従う形でデジタルドルのあり方を見直すことになった。上院の新しい法案は新型コロナウイルスへの景気対策とは別に、デジタルドルの概要を固める狙いがあるようだが、最終的に米政府はどのような判断を下すのか、今後も同国での展開に注目していきたい。

release date 2020.03.26

出典元:

ニュースコメント

新型コロナウイルスの影響で痛手を被る米国企業

現在、米国ではニューヨーク州などを中心に4万人以上が新型コロナウイルスに感染したことが確認されており、その拡大を防ぐために合計14州で外出禁止命令が出されている。結果的に消費や産業が停滞して失業率が悪化しているが、米政府は2兆ドル規模の現金給付や景気対策を実施することでこの危機を乗り切ろうとしているという。しかしながら、既に航空機製造のボーイングや世界的にホテル業を展開するMGMリゾーツ、コングロマリットのゼネラル・エレクトリックなどの大手企業が瀕死の状態に陥っているようだ。一部の企業に対して米政府は株式を買い取ることで資金援助を行うと提案しているものの、根本的な解決策とはなっておらず、依然として復調に向けた見通しは立っていない。イタリアではこの状況を逆手に取ってBanca Sellaがビットコインの取引サービスを開始しているが、米国ではどのような動きが見られるのか、今後も国内経済の行方に注目していきたい。


Date

作成日

2020.03.26

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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