作成日
:2020.03.06
2021.08.31 15:28
Samsungグループ【以下、サムスンと称す】傘下のブロックチェーン開発企業であるSamsung SDS【以下、サムスンSDSと称す】は、欧州の決済市場を開拓することを視野に、イスラエルのフィンテック企業であるCredoraxとパートナーシップを締結した。
現地メディアの報道によると、サムスンSDSはCredoraxとブロックチェーンベースの決済ソリューションを共同開発することに合意したという。正式な名称は明らかになっていないが、このソリューションは、サムスンの独自ブロックチェーンであるNexledger Universalで動作することを念頭に開発されることがわかっており、核となる機能としてサムスンSDSの子会社であるBrity WorksのAI技術なども盛り込まれるようだ。これを利用することで、銀行や小売業者は効率的に支払いや送金、請求の履歴を銀行記録と自動的に照合することが可能になる。
サムスンSDSのCEOであるHong Won-pyo氏は、同社がこのパートナーシップを足がかりに、EU(欧州連合)およびEEA(欧州経済地域)での事業拡大を試みることを言及している。2019年度、Samsun SDSはAIおよびブロックチェーン技術の取り込みに成功し、同社の時価総額は37億ドル増加した。サムスンSDSはそれだけに留まらず、ビッグデータを活用した新しい金融ビジネスを展開する前準備のため、今年2月に定款を変更して事業分野に「eファイナンス」を追加したという。
昨年末、サムスンSDSはイスラエルに拠点を置くブロックチェーン開発企業のQEDITと協業し、Nexledger Universalにゼロ知識証明を実装してプライバシー性能の強化を実現している。その他にもサムスンSDSは、Nexledger Universal上で構築した医療請求処理システムを公開するなど、積極的にブロックチェーンの活用を進めているだけに、今後も同社の事業展開に期待したい。
release date 2020.03.06
これまでサムスンは、全世界で20%近くの市場シェアを誇るスマホ事業を中心にグローバル市場での影響力を強めてきたが、最近では先端テクノロジーを駆使したソリューション開発に注力しているようだ。先日もサムスンはGalaxy S20に仮想通貨ウォレットを継続採用することを発表し、ブロックチェーン技術を積極的に活用する姿勢を示した。その他にもサムスンはトロンとの提携を手始めに、ハードウェアウォレットメーカーのLedgerなどのスタートアップ企業に投資を行なっており、製品を含めたエコシステムを強化する動きに出ている状況だ。昨年4月には、独自仮想通貨のサムスンコインの発行を検討していることが報道されるなど、サムスンは仮想通貨市場で注目の企業となっているが、次はどのようなソリューションをリリースするのか、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
作成日
:2020.03.06
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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