作成日
:2020.03.04
2021.08.31 15:28
楽天株式会社(本社:東京都世田谷区玉川一丁目14番1号
)【以下、楽天と称す】の完全子会社である楽天ウォレット株式会社【以下、楽天ウォレットと称す】は、仮想通貨の証拠金取引サービスを開始することを決定した。今月2日の発表によると、楽天ウォレットは今春中にこの証拠金取引サービスを展開することを目指しており、現在、それに向けて利用登録を始めているという。楽天は2018年に仮想通貨取引所みんなのビットコインを2億6,500万円で買収し、翌年8月に楽天ウォレットの仮想通貨取引サービスを開始したことで仮想通貨市場への参入を果たしている。
これまで楽天ウォレットは、ビットコイン(Bitcoin)とイーサリアム(Ethereum)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)のスポット取引サービスのみ提供していたが、今回、新しくライトコイン(Litecoin)およびリップル(Ripple)の通貨ペアをサポート対象に追加する予定だ。これにより楽天ウォレットのユーザーは、日本円建てで5種類の仮想通貨のロングおよびショートポジションを構築できるようになる。今年1月、金融庁は仮想通貨取引のレバレッジを2倍に制限する方針を示しているため、楽天ウォレットもこれに従う形で最大レバレッジを2倍に設定することを決めている。
世界でも有数な規模の仮想通貨市場を抱える日本だが、過去にマウントゴックスやコインチェックのハッキング事件に見舞われ、ライセンス制度を始めとする厳格な仮想通貨規制が導入されている状況だ。このような環境下で楽天ウォレットは、安全且つ信頼できる取引サービスの提供を目指し、楽天グループの異なる事業体とのシナジーを意識しながら仮想通貨関連事業を拡大していくと言及している。昨年末から楽天ウォレットは、楽天スーパーポイントと仮想通貨の交換サービスを開始するなど、既に新しい試みを実行に移しているだけに、今後も仮想通貨市場での躍進が期待できると言えるだろう。
release date 2020.03.04
日本では大手IT企業による仮想通貨市場の開拓が進んでおり、楽天の他にもメッセンジャーアプリのLINE(ライン)やITコングロマリットのGMOなどが仮想通貨関連事業の拡大に向かっている状況だ。その中で楽天は、同社が有する国内最大のEコマース事業や楽天銀行を中心とした金融事業、楽天モバイルの通信事業など、様々な分野でブロックチェーン技術や仮想通貨を導入し、ユースケースの確立を試みると共に、競合他社との差別化を図ることが予想されている。また、昨年末にはLINEがZホールディングス(旧ヤフージャパン)との経営統合に合意しており、楽天と同様に幅広い領域で仮想通貨の利用を推し進めようとしているようだ。現在、日本の仮想通貨市場は、月間600万人ものトレーダーが仮想通貨を売買し、米国に次いで世界第2位の規模を誇っているが、これら大手IT企業による動きがどのような影響を及ぼすのか、今後も国内市場の動向に注目していきたい。
作成日
:2020.03.04
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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