作成日
:2020.02.27
2021.08.31 15:28
ウォール街の要人でブロックチェーン擁護派のCaitlin Long氏は、米国で初となる仮想通貨銀行、Avanti(アバンティ)の開業に向けて準備を進めていることを明らかにした。
Long氏のTwitter(ツイッター)によると、現在、Avantiはワイオミング州で特別目的預託機関(Special Purpose Depository Institution)【以下、SPDIと称す】としての憲章の取得を目指しているという。Avantiの設立に関してLong氏は、米国市場のインフラストラクチャや規制が不十分なため、当局の管理下にある金融機関が仮想通貨市場との架け橋になる必要があると言及しており、同行がその役割を担う可能性があることを示唆した。
Avantiは今年1月6日に登記されたばかりだが、シードラウンドで100万ドルの資金調達に成功しており、今後は機関投資家向けに決済やカストディ、証券および商品取引などのサービス提供に注力することを決定している。ワイオミング州で運営の許可が下りた場合、Avantiは同州を本拠に事業を展開すると発表し、既にBlockstreamなどの仮想通貨関連企業とパートナーシップを締結している状況だ。Long氏はワイオミング州でもウォール街と変わりなく事業を立ち上げることができると主張しているが、SPDIは預金額の100%を保持することが義務付けられているため、Avantiは貸付やその他銀行サービスの部分で不利になる可能性があると言えるだろう。
Long氏によると、Avantiはプロトコルニュートラルを方針に掲げており、全ての仮想通貨に対応する予定だという。昨年、仮想通貨分野に特化するシルバーゲート銀行がNYSEに上場するなど、米国では仮想通貨関連企業に追い風が吹いているが、Avantiの開業は認められるのか、今後も同国での展開を見守っていきたい。
release date 2020.02.27
米国では州政府の権限が強く、各州が仮想通貨に対して独自の規制を設けているが、ワイオミング州では仮想通貨の所有権が認められるなど、当局が仮想通貨市場に友好的な態度を示している。このような状況下でLong氏は、ワイオミングブロックチェーン連合を設立し、仮想通貨コミュニティでのプレゼンスを確立すると同時に、ワイオミング州での仮想通貨関連法案の成立を大きく後押ししたという。一方、米国金融業界の中心地であるウォール街を抱えるニューヨーク州は、仮想通貨関連企業向けのビットライセンス制度を導入し、ブロックチェーン技術や仮想通貨の発展を促進しながら、透明性の高い市場環境を保っているようだ。過去にニューヨーク州はBittrexへのライセンス発給を拒否するなど、厳格な審査を行うことを示しているが、拡大する仮想通貨市場にどのような対応を見せるのか、今後も当局の取り組みに注目していきたい。
作成日
:2020.02.27
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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