Select Language

Pepperstone CEO、ASICによる規制策に問題を提起

Pepperstone CEO、ASICによる規制策に問題を提起

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.05.30 17:20
Pepperstone CEO、ASICによる規制策に問題を提起

update 2022.05.30 17:20

金融業界及びイノベーションの創出に悪影響を与えていると指摘

オーストラリア最大のリテールFXブローカーであるPepperstone Group Limited(本社:Level16, Tower One, 727 Collins Street, Melbourne, VIC 3008, Australia[1])【以下、Pepperstoneと称す】のCEOであるTamas Szabo氏は、オーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investments Commission)【以下、ASICと称す】が講じる規制策に対し疑問を呈している。[2]

ASICは、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority, ESMA)と足並みを揃える形で、CFDの規制強化とバイナリーオプション取引の禁止を導入する意向である。Szabo氏は、オーストラリアの金融・規制テクノロジー特別委員会(Select Committee on Financial Technology and Regulatory Technology)に宛てた書簡において、CFDの規制強化は同国経済にとって最重要事項ではないと論じている。また同国は、柔軟性と安定性があり、イノベーションをサポートする原則主義に基づいた規制環境という大きなメリットを失いつつあると懸念を表明している。

更にSzabo氏は、革新的な商品を開発する企業が事業拠点の選択に際し、ASICによる金融商品取引規制策は多大な影響を及ぼしている模様であり、規制策に矛盾が生じているとも指摘している。当初、2014年にオーストラリアの金融制度調査委員会(Financial System Inquiry)が商品取引規制策を策定した際、同委員会は規制策の導入は最終手段であり、効果的な規制策であれば、イノベーションに大きな影響を与えないであろうと発言していたとのことだ。しかしながら、その後商品取引規制に関する権限を引き継いだASICは、この考えを踏襲しないばかりか、8つの主要な法律の改正を主張するなど、頻繁に権限を乱用しているという。そのためSzabo氏は、フィンテック企業のような金融サービス業者は、現行の規制環境の下では事業を運営できず、当局による規制策が商品の中核機能の開発に悪影響を及ぼしているとの見解を示している。

ASICの規制策が、オーストラリアの金融業界及びイノベーションに対して悪影響を与えると考える企業はPepperstoneだけではない。Sophie Grace and TRActionのディレクターを務めるSophie Gerber氏は、当局の提案している規制策案は、同国のイノベーションの創出に影響を及ぼす可能性があるという。Gerber氏は、ASICが厳格で恣意的な姿勢で権限を振りかざせば、イノベーションや国内外の企業による起業意欲に悪影響を与えるため、慎重に権限を行使すべきであると指摘している。またGerber氏は、ASICがレバレッジ規制に焦点を当てることへの反対と共に、現行の規制フレームワークにおいて、ライセンスの未取得や不正取得、不適切な販売などを行う企業に対し、事業停止や罰則を課せられていないことが問題だという。

尚、Szabo氏は、オーストラリアが競争力を維持し、金融テクノロジー業界に活力を取り戻す提言を行っている。具体的には、当局がイノベーションに悪影響を与える規制策を無用に講じることに対し、慎重になるべきであると共に、商品取引規制策は最終手段として用い、政府と規制当局が積極的に規制システムの安定性の確保を図るべきであるという。金融業界から疑問の声が上がるなか、レバレッジ規制に焦点を当てているASICが、今後如何なる規制策を講じるか注目したい。

release date 2020.01.27

出典元:

ニュースコメント

ASICの規制策への対応に苦心する豪拠点の海外FXブローカー

オーストラリアは、他の先進諸国と比較して緩やかな規制策を敷いてきたことから、規制上の裁定(Regulatory Arbitrage、規制逃れ)が生じていると指摘されている。そのため、金融規制を司るASICは、より厳格なCFD・バイナリーオプション取引規制策を講じる意向である。また、ASICは新規制策を2021年から適用開始する方針を示している。更に、同国を拠点とする海外FXブローカーにとって、大きな収益源となっていた中国人顧客向けのサービスを停止するよう強く要請しており、ブローカー各社は目まぐるしく変化する規制環境への対応に苦心している状況だ。但し、このような不安定な規制スキームにおいても、オーストラリアを拠点とする海外FXブローカーは、顧客の維持・拡大に向けた様々な戦略を打ち出している。例えば、Global PrimeがTradesocioと機能統合を図ったほか、ACY Securitiesがティムケーヒルをブランドアンバサダーに起用し、ブランド認知度の向上を模索している。オーストラリアに規制強化の波が押し寄せるなか、多彩な戦略を打ち出す海外FXブローカー各社の顧客獲得動向にも注目が集まりそうだ。


Date

作成日

2020.01.27

Update

最終更新

2022.05.30

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」を開催!入金&取引で豪華賞品をプレゼント

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」の開催を発表しました。本キャンペーンでは「Switch 2」のほか、豪華賞品が抽選でプレゼントされます。取引を重ねるごとに抽選権利がもらえる仕組みで、取引するほど当選確率がアップします。
update2025.07.16 19:00

Exnessでスワップフリーが突如剥奪されるバグ発生、対象者には補償予定

海外FX業者のExnessで突如スワップフリーが剥奪されたとするXの投稿が注目を集めています。Exnessはシステムのバグが原因と説明しており、スワップが発生したユーザーに対して補償する方針を示しています。
update2025.07.18 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル