作成日
:2020.01.20
2021.08.31 15:33
英国の金融監督当局である英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】は1月16日、当局の規制が英国を拠点とするCFDプロバイダーに与える影響に関する評価レポートを公表した。
FCAは2019年から2021年までに、英国で個人投資家に対しCFD取引サービスを提供する企業の利益が、約3,850万ポンドから最大5,530万ポンド減少すると見込んでいる。この予想は、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】がCFD規制策を導入した前後に、英国を拠点とするCFDプロバイダー2社の業績動向を基に算出したとのことだ。両社の企業名は明らかにされていないものの、この2社については、預かり資産ベースで英国CFD業界の43%を占めるという。両社は2021年までの3年間に、年平均1,700ポンドほどの利益が減少し、これは純利益が約6.7%減少するとのことだ。
FCAはCFDプロバイダー各社に対し、金融商品のボラティリティに応じて最大レバレッジを2倍から30倍に制限するほか、ゼロカットシステムの適用や、リスク警告の表示などの規制策を導入した。また、ESMAが規制対象から除外している証券化商品(CFD-Like Options)も対象とすることに加え、一部の国債を裏付けとするCFDのレバレッジを制限するなど、より厳格な規制を敷いている。
一方でFCAは、ESMAとほぼ同様の規制策を導入していることから、CFDプロバイダーにとって、FCAの規制策への対応コストはほとんど生じていないという。FCAが行った費用対効果分析の結果、いくつかのCFDプロバイダーが指摘するような、ウェブページのトップにリスク警告を掲載するための追加負担費用はなく、むしろ費用よりも効果の方が大きいとコメントしている。FCAは、CFDプロバイダーの業績が弱含みと予想していることから、今後発表されるCFDプロバイダー各社の取引動向を見守る必要がありそうだ。
release date 2020.01.20
英下院が1月9日、ボリス・ジョンソン首相とEU(欧州連合)が取りまとめたブレグジット案を賛成多数で可決したことで、1月末に英国がEUから離脱することが固まった。グローバル金融サービスプロバイダーは、ブレグジット後も、継続的で安定感のあるサービスを提供する体制の構築をアピールすることで、顧客基盤の維持・拡大を模索している状況だ。また、英国を拠点とする企業による顧客サービス強化の動きも活発化しており、ATFXがMT5をリリース予定であるほか、FxProはマクラーレンと契約延長を締結し、グローバル認知度の向上を図っている。また、レボリュートはVISAとの提携強化と人員拡大を発表し、新たに日本を含む24市場への進出を模索している。英国がブレグジット後も一定のプレゼンスを維持すると予想し、同国への進出を決めたフィンテック企業も出てきているため、トレーダーにとって投資の選択肢が増し、より快適な取引環境が整備されることを期待したい。
作成日
:2020.01.20
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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