作成日
:2020.01.20
2021.08.31 15:29
英国・ロンドンを拠点に金利デリバティブ関連のハイブリッドプラットフォームを提供するTrad-X(本社:Beaufort House 15 St.Botolph Street London, EC3A7QX UK
)は、トレーディング業界初となる、ディーラーとクライアント間の取引で活用する電子セントラルリミットオーダーブック【以下、CLOBと称す】をリリースした。同オーダーブックを活用するユーザーは、音声入力やクリックでセントラルリミットオーダーへのアクセスや注文執行が行えるようになるとのことだ。またディーラーにとっては、Trad-XのCLOBを利用することにより、流動性を追加提供できる待機注文(Resting Order)サービスや、広範なスワップ商品関連データの更新を伴うリアルタイムのプライシングの提供、よりタイトなスプレッド、情報漏洩リスクの低下などに寄与するという。
Trad-Xは既に、CLOBを活用した注文執行に成功している。BNPパリバ(BNP Paribas)がカウンターパーティーとなり、Eurex Clearing AG【以下、Eurex Clearingと称す】が清算を行うスキームで、AEGON Asset Management【以下、AEGONと称す】が、CLOB上にてユーロ建て金利スワップ取引を行う最初のバイサイド(買い手)の機関投資家になった。AEGONのシニアポートフォリオマネージャーであるDerek Milner氏は、Trad-XのCLOBを活用した注文執行は、取引の革新性という面で大きな前進であり、同オーダーブックが普及し、市場全体でプライシングの提供や、執行効率が改善することを期待すると述べている。また、Eurex Clearingの債券業務開発部門ヘッドを務めるDanny Chart氏は、Trad-XのCLOBを活用することで、執行方法の選択肢が増すと共に、プライシングや板情報も改善するため、バイサイド投資家に対し、代替的な流動性プールの提供やユーロ建ての決済システムの構築に寄与するという。
新たなオーダーブックのリリースに際し、Trad-XのCEOであるDan Marcus氏は以下のようにコメントしている。
ディーラーと非ディーラー間の最初の取引を完了したことから、我々が開発した取引モデルが有効であり、RFQ(見積もり依頼書)システムが十分に代替できることが証明されました。特に、金利スワップ商品を取引する非ディーラーにとっては、非常にコスト効率の良い方法で、多数のディーラーから多岐にわたる金融商品のプライシングの提供を受けられるという大きなメリットがあるとみております。
Dan Marcus, CEO of Trad-X - Finextraより引用
Trad-Xは、より快適な取引環境の整備に寄与する取引ツールを提供することで、更なる顧客取引の拡大が期待できそうだ。
release date 2020.01.20
高い専門性を誇るフィンテック企業による、付加価値ソリューションの開発競争が激化している。例えば、BrokereeがMetaTrader4とMetaTrader5上PAMM機能を大幅アップデートしたほか、TraderEvolutionはTrading Ideasというアドオンをリリースするなど、数多くのフィンテック企業が、トレーディング業務をサポートする新たなサービスを続々と提供している状況だ。更に、野村証券がPicoと提携強化することに加え、サクソバンク証券がTorstoneと提携するなど、フィンテック企業単独でサービス展開を図るのではなく、証券業界で一定のプレゼンスを確立している金融機関と手を組み、より効率的に市場への浸透を図るマーケティング手法を用いるフィンテック企業も散見されている。フィンテック革命によるデジタルエコノミーが形成されるなか、海外FXブローカーや機関投資家からの最先端テクノロジーの活用ニーズは強いと推察されることから、今後も多くのフィンテック企業が画期的なソリューションを開発することを期待したい。
作成日
:2020.01.20
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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