作成日
:2020.01.08
2021.08.31 15:29
世界最大の仮想通貨取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】が、Binance USD【以下、BUSDと称す】の発行に関して、ニューヨーク州金融サービス局(The New York State Department of Financial Services)【以下、NYDFS】から承認を受けたことが明らかになった。
昨年、バイナンスは米ドル連動のステーブルコインを発行したが、今回、NYDFSの承認を得たことでニューヨーク州のユーザーがBUSDを購入および両替、取引できるようになったという。これでバイナンスは他の仮想通貨取引所に対して優位性を確保し、米国内においてステーブルコインを軸とした多様なサービスを有利に展開する準備が整いつつあるようだ。BUSDはERC-20とBEP-2の両方のトークン規格に対応するのに加え、テザー(Tether)やUSDコイン(USD Coin)、トゥルーUSD(True USD)、パクソス(Paxos)など、他のステーブルコインで購入することができる。
バイナンスはより多くのユーザーを獲得するために、銀行送金を除いた手数料を無料化するだけでなく、世界各国で法定通貨と仮想通貨の取引サービスを展開している。最近、バイナンスはユーロの通貨ペアを採用し、欧州市場の開拓に動き出しているが、同取引所のCEOであるChangpeng Zhao氏によると、今年末までに対応する法定通貨を180種類に拡大させることを目指しているという。
これまで米国におけるバイナンスのサービスは仮想通貨同士の取引に限定されていたものの、昨年、現地パートナーと協力してBinance USを設立したことで、従来の法定通貨と仮想通貨の通貨ペアも取り扱い可能となった。当初、バイナンスはNYDFSから仮想通貨関連企業向けのライセンスであるBitLicenseを取得できなかったため、ニューヨーク州でのサービス提供を予定していなかったが、このBUSDの承認が両者の関係にどのような変化をもたらすのか、今後も同取引所の動向を見守っていきたい。
release date 2020.01.08
2020年はFacebook(フェイスブック)が開発を手がけるリブラ(Libra)のローンチが計画されるなど、仮想通貨市場の中でも特にステーブルコイン分野の動きが活発になる可能性があるようだ。実際に今年1月1日には、中国政府が暗号法を施行しており、デジタル人民元を受け入れるための法整備を進め、世界の仮想通貨市場をリードする形でこのステーブルコインの流れを加速させている。また、日本でも大手IT企業のGMOが日本円連動のステーブルコインの実証実験を開始し、2020年上半期までにGMO Japanese Yenを海外市場に向けて発行することを公表している状況だ。バイナンスもBUSDの他に、ビーナス(Venus)という名称のステーブルコインの開発に特化したオープンブロックチェーンプロジェクトを立ち上げているが、今年に入ってその進展は見られるのか、今後も同取引所の取り組みに期待したい。
作成日
:2020.01.08
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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