作成日
:2019.12.23
2021.08.31 15:29
大手ソーシャルネットワーキングサービスであるFacebook, Inc.(本社:1 Hacker Way, Menlo Park, California 94025
)【以下、Facebookと称す】が、独自仮想通貨のリブラ(Libra)に関するロードマップを新しく策定したことが明らかになった。当初、リブラは2020年6月中のローンチを予定して開発が進められていたが、規制上の懸念からその時期が遅れる可能性があるという。今回、Facebookが公開したリブラのロードマップでは、メインネット立ち上げや実運用開始までの基準確立、コミュニティへの教育などに加え、将来的にLibra Associationのメンバー企業との技術的な試験も実施されることがわかっている。
これまでリブラはボトムアップの開発プロセスを徹底し、同システムの設計や機能に関わる作業を完了しており、現在、プロトコルのドキュメントや外部APIの完成を目指して取り組みを進めているようだ。既にリブラは8つのバリデータノードをプレメインネットで起動していることから、ソフトウェアの完成をもって非技術系のメンバー企業が参加する次の段階に移行できる状態にある。今年10月、ペイパルがLibra Associationからの脱退を表明したのに続き、MasterCardを含む複数の企業がプロジェクトを離脱したが、最終的にリブラはバリデータノードを担う企業数を100社まで伸ばすことを目標に掲げている。
今の所、リブラのローンチ時期は不確かなものの、2020年6月に再び政府機関の審議を受けることが決定している模様だ。リブラはロードマップ中でガイドラインを制定し、開発チームの活動を促しているが、当初の予定通り2020年に立ち上げは実現するのか、今後もFacebookの動きに注目していきたい。
release date 2019.12.23
今年6月にFacebookがこのプロジェクトを公表して以来、米国や英国、その他各国政府の強い反対の声もあって、リブラの実用化に向けた取り組みが停滞する状況が続いていたが、ステーブルコインを取り巻く環境には変化が現れているようだ。特に中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】に関しては各国政府が前向きに開発を検討し始めており、中国人民銀行はCBDCの運用テストを実施することを決定している。これに加えて、スウェーデン国立銀行はアクセンチュアと協業し、イークローナのテスト環境構築を計画するなど、具体的なユースケースの確立を視野に入れた動きに出ているという。これらのCBDCはその有効性を実証する必要もあるが、リブラの代替となる可能性も秘めているだけに、Facebookにとっては脅威的な存在になり得ると言えるだろう。
作成日
:2019.12.23
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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