作成日
:2019.11.26
2021.08.31 15:29
仮想通貨関連テクノロジーの開発を手掛けるRipple, Inc.【以下、リップル社と称す】が、送金業者のMoneyGram【以下、マネーグラムと称す】に2,000万ドルの追加投資を行ったことが明らかになった。
今年6月、リップル社はマネーグラムへ3,000万ドルの投資を発表しているが、今回、同社の株式を評価額よりも割高な1株あたり4.1ドルで新たに2,000万ドル分取得したという。これでリップル社はマネーグラムに合計5,000万ドルを投じたことになり、発行済み株式の9.95%、決議権がないワラントを含む株式(完全希薄化ベース)の約15%を獲得するに至った。マネーグラムとのパートナーシップを締結して以来、リップル社は国際送金ネットワークの拡大に注力し、欧州や南米、オーストラリア、フィリピンなどに事業を展開することに成功している。特にメキシコではマネーグラムがリップル社のOn-Demand Liquidity(ODL)サービスを活用して、メキシコペソの外国為替取引量における約10%の需要を取り込んだとの事例も存在する。
マネーグラムの会長兼CEOであるAlex Holmes氏は、リップル社とのパートナーシップに関して次のようにコメントしている。
リップル社とのパートナーシップは送金業界および仮想通貨業界における変革を促し、瞬時に決済可能なソリューションを構築するなど、より良い顧客体験の提供を実現するでしょう。これまでの成功はリップル社のOn-Demand Liquidityサービスが有効であることを示しているのです。我社の成長が新しい製品やサービスのリリースにつながることに期待しています。
Alex Holmes, Chairman and CEO of MoneyGram - PR Newswireより引用
先月、リップル社は英国のロンドンを拠点とするFinastraと提携しており、欧州市場を同社の送金ソリューションで深耕する動きを見せている。その他にもリップル社はAlgrimの買収を発表し、アイスランドのチームを中心に製品開発を進める方針を示しているが、今後も同社の取り組みを見守っていきたい。
release date 2019.11.26
リップル社が独自仮想通貨のXRPを軸とした国際送金ソリューションを開発しているのに対し、既存の金融機関やテクノロジー企業は米ドルなどの法定通貨を裏付けとするステーブルコインを用いた送金手段の実用化を目指しているようだ。例えば、米国の大手銀行であるウェルズ・ファーゴは独自仮想通貨の試験運用を計画しており、Wells Fargo Digital Cashと呼ばれるステーブルコインのローンチが現実味を帯びつつあることをほのめかしている。これらのステーブルコインを活用した送金ソリューションは価格変動リスクを排除することができるため、確実性の面でメリットがあると考えられるものの、その実力は未知数だと言えるだろう。Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)が危険視されるなど、未だステーブルコインを受け入れる土壌は整っていないが、各国政府はこの流れにどのように対応するのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2019.11.26
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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