作成日
:2019.10.25
2022.11.15 13:19
海外FX・CFDブローカーのAMarkets(本社:Suite 305, Griffith Corporate Centre, Kingstown, Saint Vincent and the Grenadines
)に所属する有力アナリストDmitriy Aleksentsev氏は、近代史における最大級の分裂といえる英国によるEU離脱に関して、2019年末までのブレグジット動向の見通しや英ポンドの相場状況を解説している。まず、Aleksentsev氏は足元のブレグジット動向を整理している。10月17日の欧州委員会(European Commission)において、同委員会のユンケル委員長と英国のジョンソン首相は、ブレグジット交渉が合意に達したことを発表した。しかしながら、このことは英国が2019年末までにEUから離脱することを決定したわけでなく、更に北アイルランドの保守派地域政党である民主統一党(Democratic Unionist Party)【以下、DUPと称す】が同首相の提案した新たなブレグジット案を支持しないことを表明した。そのため、新ブレグジット案の合意を受け、ポンド/米ドルは一時1ポンド=1.3ドル近辺まで急騰したものの、同案の議会採決が難航するとの懸念も浮上したことから、その後は上げ幅を縮小する展開となった。そして、10月19日の英国議会において、新ブレグジット案の採決を延期することが採択されており、ブレグジット情勢及びポンド相場は混とんとするなか、投資家は英国のEU離脱に関連したニュースヘッドラインを注視する展開が続いている状況だ。
また、ブレグジットが経済社会に与える影響を考慮し設けられた英国のEU離脱に関する移行期間(2019年3月29日から2020年12月31日まで)も、確実にポンドの値動きを左右する要因となっている、とAleksentsev氏は指摘する。加えて、英国のガーディアン紙によると、10月末までに新ブレグジット案の採決が正式に行われる可能性が残されているなか、ポンドは対米ドルで最大規模の大幅下落になっているという。オーストラリアを拠点とする海外FXブローカーAxiCorpのアジアパシフィック(APAC)市場担当ストラテジストStephen Innes氏も、DUPが新ブレグジット案に反対票を投じる場合、ポンドは米ドルやユーロに対して急落する可能性があると見込んでいる。また、UBSのエコノミストDean Turner氏は、遅かれ早かれ英総選挙とブレグジットの延期が行われ、ポンド/米ドルは1ポンド=1.25ドルから1.29ドルで推移すると予想するなど、AMarketsのアナリストのみならず多くの市場関係者がポンド相場の波乱を見込んでいる模様だ。
なおAleksentsev氏は、ポンド/米ドル相場に影響を与えるカタリストとして、ブレグジット動向に関する最新のニュースに加えて、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げやイングランド銀行による利下げの可能性もあり、十分に同通貨ペアのボラティリティの上昇が見込まれるとのことだ。また、英議会の採決の結果に関わらず、移行期間の終了する14か月の間にポンドは不安定な値動きになると予想されるものの、長期的なポンドの価値はブレグジット後のファンダメンタルズによって決められ、現状においてはイングランド銀行が強固な金融政策を講じていることから、より楽観的な相場展開になると見込んでいると続けた。
release date 2019.10.25
EUは10月25日、現状10月31日となっている英国の離脱期限の延期に同意する旨の表明を行った。他方で、ジョンソン首相は12月12日に総選挙を実施する意向を示しているが、英国においては下院で3分の2以上の賛成票を得る必要があることに加え、最大野党の労働党が態度を明らかとしていないことから、ブレグジット情勢は依然として明確な道筋が示されていない状況だ。為替市場に目を移すと、2018年9月にECのバルニエ主席交渉官による発言をきっかけとして、ブレグジットへの懸念が和らぎポンドが急伸したほか、足元でも新ブレグジット案の合意をもとに、ポンド通貨ペアはボラティリティが大きく上昇するなど、FXブローカーにとってブレグジット交渉は取引機会を創出している模様だ。一方で、2019年度第3四半期業績を発表したGAINのように、効果的に相場の波に乗れず苦戦している海外FXブローカーも散見される。2016年6月に実施された国民投票によって開始されたブレグジット交渉は、依然として全ての関係者の同意を得られていない。今後のブレグジット情勢に関しては、UBSのエコノミストが指摘するように、3年以上の年月をかけたブレグジット交渉を振り出しに戻し再び総選挙が実施されるのか、もしくは合意なき離脱へ突入するのか、様々なケースが想定されるであろう。引き続きグローバル投資家からのブレグジット動向への注目が高まっていることから、海外FXブローカー各社が、ボラティリティの高まるポンド通貨ペアを中心に取引の活性化へと結びつけることを期待したい。
作成日
:2019.10.25
最終更新
:2022.11.15
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。
お問い合わせ先 [email protected]
Milton Marketsが夏トク15%入金ボーナスキャンペーンを開催!
2023.06.21 19:30
XMTradingがF1チームスクーデリア・アルファタウリとスポンサーシップを締結
2023.03.28 20:00
海外FX業者で取引できるエネルギー銘柄は?取引の種類やメリットを解説
2023.02.27 20:00
仮想通貨HOOKとは?将来性は?Hooked Protocolが提供するWild Cashも解説
2022.12.13 21:00
Huobi(旧Huobi Global)は日本居住者向けサービスを停止していない?
2022.12.08 19:30
分散型取引所dYdXの使い方をイチから解説!注意点も紹介
2022.12.01 20:00
免責事項:Disclaimer
当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。
Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー