作成日
:2019.10.17
2021.08.31 15:29
Ripple, Inc.【以下、リップル社と称す】が発行する人気仮想通貨のXRPは、その価格が3カ月半にわたる下降トレンドを経て上昇に転じており、1通貨あたり0.2993ドルに達したことで9月21日以来の高値を記録した。
現在、XRP価格は先日のピーク時から3.8%の下落を見せて0.2879ドルまで後退したが、過去7日では2.2%、更に9月26日からでは25%の上昇となる高いパフォーマンスを持続している。ちなみにここ1週間の値動きでは、バイナンスがSIXにETPを上場するとのニュースを受けて急上昇したバイナンスコイン(Binance Coin)が16%増で高騰率トップ、ライトコイン(Litecoin)が4.2%減で最下位、XRPが仮想通貨市場全体で3番目に良い結果を残したという。
7月10日以来初めてXRP価格は100日平均移動線を上抜けし、マーケットセンチメントが強気に振れていることを示した。また、XRP価格は今月14日に6%の上昇を記録したことにより、9月中旬からのトレンドラインで形成される三角形を上向きにブレイクアウトしている。このブレイクアウトは短期的なものとなったが、XRP価格が100日平均移動線の0.2854ドルラインを上回っている場合、中期的には強気な傾向にあると言えるだろう。これに加えて、売られ過ぎや買われ過ぎを判断するRSI(Relative Strength Index)が基準となる50の値を超えていることや、値動きの強弱を表すMACD(移動平均収束拡散法)の状況を見ると、XRP価格が力強く上昇トレンドを描いている様子がうかがえる。前回のブレイクアウトでは0.4923ドルの水準まで主な抵抗が存在しなかったが、今回は9月18日の高値である0.3218ドル付近に抵抗線が露呈しているため、そこがひとつの山場になる可能性がある。
最近のXRP価格の上昇は、仮想通貨コミュニティの需要を刺激し投資を誘導する期待もあるが、肝となるビットコイン(Bitcoin)価格が弱気な動きを見せていることから、買い手側の勢力は慎重になっているようだ。事実、今月初めにビットコイン価格は8,000ドル台に復帰したものの、過去7日間の変動が0.06%のプラスに留まるなど、上値が重い展開が続いている。ブレイクアウトが失敗すれば、それ自体が強烈な弱気のシグナルになり得るが、仮想通貨市場はどのように動くのか、今後もその動向に注目していきたい。
release date 2019.10.17
XRPはリップル社が開発するXRPレジャー上で発行される独自仮想通貨であり、主に同社が提供する送金ネットワークを媒介するブリッジ通貨として利用されている。XRPレジャーはPoS(プルーフ・オブ・ステーク)型のコンセンサスアルゴリズムを実装し、個々のノードが取引記録の承認や開発に関する提案を行ってシステム全体を運用する、公正かつ効率的な仕組みを構築しているという。しかしながら、実際にはリップル社の関係者や息のかかった人物がノードとして指名されているため、ビットコインやイーサリアム(Ethereum)などとは異なり、XRPは中央集権型の仮想通貨だと言えよう。透明性が著しく低い仮想通貨市場ではこのような思想や設計は受け入れられ難い傾向にあるが、リップル社が積極的にソリューション展開を図っていることから、XRPの需要は拡大傾向にあるようだ。今年6月にリップル社はブラジルに新オフィスを開設するなどグローバル市場への進出を進めているが、投資家は同社の取り組みをどのように見ているのか、今後もXRP価格の展開を見守っていきたい。
作成日
:2019.10.17
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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