作成日
:2019.10.10
2021.08.31 15:29
米国の内国歳入庁(Internal Revenue Service)【以下、IRSと称す】が、仮想通貨の税金に関するガイダンスを発行し、同国内で仮想通貨資産がどのようなケースで課税されるかをより明確なものとした。
2014年にNotice 2014-21と呼ばれるガイダンスを発行して以来、IRSは仮想通貨ユーザーに納税申告を促す文書を発行することで税務の徹底を促してきたが、今回、当局は新しいガイダンスと併せて40を超える質問に回答したFAQを公開している。それによると、IRSは仮想通貨を通貨ではなく資産と見なし、仮想通貨取引で発生した利益は株式と同様にキャピタルゲイン税の対象になるとの見解を示した。
また、IRSは新しいガイダンスの中でエアドロップ(無料配布)およびハードフォークが発生した場合の税務処理に関して言及しており、物議を醸しているようだ。ハードフォークの後にエアドロップが行われて新しい仮想通貨が無料で配布された場合、IRSはそれを当日の市場評価額で所得として取り扱うべきだと述べている。これにより、少なくとも連邦政府の税務上の処理では、売却、譲渡および交換可能な仮想通貨を手にした際にのみ、投資家に納税の義務が生じることが明らかになった。
これに加えてIRSは、仮想通貨の公正な市場評価額やキャピタルゲイン、キャピタルロスを追跡する方法を確立しようと試みている。仮想通貨取引所の記録を参照すれば仮想通貨の購入額と売却額を特定できるため、任意の期間で投資家がどれほど利益または損失を計上したかを特定できるという。2017年にIRSはコインベース(Coinbase)に2013年から2015年までの取引記録を開示するよう求める裁判を起こし、2018年にコインベースはIRSへの個人情報提供を顧客へ通知している。当局は仮想通貨関連の脱税を徹底的に取り締まる構えを見せているが、米国の仮想通貨コミュニティはこれにどう反応するのか、今後もその展開に注目していきたい。
release date 2019.10.10
日本政府は情報照会制度により仮想通貨に関する税徴収を強化する方針を打ち出しているが、仮想通貨関連の脱税は後を絶たず、当局の悩みの種となっている。最近の発表によると、2019年3月までに仮想通貨関連で国税庁から申告漏れを指摘された者は50名と30社にのぼり、その総額は100億円にも達するという。発覚した申告漏れの内、70億円以上は高い税率を逃れるために親族や友人の口座名義で取引を行う悪質な所得隠しと判断できるものであり、脱税容疑で告発される可能性もあると言えよう。2017年末にビットコイン(Bitcoin)価格が年初から20倍への高騰を見せたが、この頃に多額の売却益を得た投資家が申告を怠ったケースが多いようだ。今年7月には仮想通貨関連団体が金融庁に税制改正を要請するなど、そもそも仮想通貨に対する税率が高すぎるとの見方もあるが、当局はこの事態にどのような対策を打つのか、今後も日本市場での動きを見守っていきたい。
作成日
:2019.10.10
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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