作成日
:2019.10.04
2022.05.26 15:06
海外FX・CFDブローカーであるFXCM Group, LLC(本社:20 Gresham Street, 4th Floor, London EC 2V 7JE, United Kingdom
)【以下、FXCMと称す】が、同社オーストラリア子会社の中国人顧客をバハマに移管する方針であると、中国・北京を拠点とするメディアサイトSohu(捜狐)が10月3日に報じた。Sohuによると、FXCMのオーストラリア子会社と取引する顧客に関しては、10月19日までにバハマ子会社で新規口座を開設すると共に、11月初旬には強制的に口座移管されるとのことだ。なお、同社オーストラリア子会社の中国人顧客のみならず、全ての外国人投資家の口座が他の子会社へ移管される模様である。
FXCMが外国人投資家の口座移管を推し進める背景として、2019年4月、中国当局の圧力に押される形でオーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investments Commission)【以下、ASICと称す】が、同国を拠点とする海外FXブローカーに対し6月末までに国外の投資家へのサービス停止を求める通告を発令したことが挙げられる。実際に、FXCM以外にもACY Securitiesが中国人顧客口座を閉鎖したほか、Vantage FXが豪国外の顧客へのサービスを停止している。しかしながら、IC Marketsが豪国外の顧客サービスを継続させる決定を下したように規制当局の指示に従わないブローカーも存在しており、オーストラリアの規制策を見据えた海外FXブローカー動向から目が離せない状況だ。
release date 2019.10.04
CySECが比較的緩いレバレッジ規制案の導入を見送り、ESMAの規制策を恒久的に採用すると共に、ASICがCFD取引にレバレッジ制限の導入を検討するなどグローバルベースで統制のとれたレバレッジ規制策が導入されつつあるが、必ずしも海外FXブローカーの全てが当局の規制策を遵守しているとはいえない。ハイレバレッジサービスを提供したいブローカー各社は依然顧客をオフショア市場へ誘導しており、たとえば2018年以降、海外FXブローカーによるバヌアツへの進出が急増している状況だ。現状においては、各国当局が規制強化を続ける一方で多くの海外FXブローカーは規制の網を掻い潜る方策を模索するという、いたちごっこの状態になっているといえるであろう。しかしながら、オフショア市場のブローカーのなかには限られた金融サービスのみしか提供できない企業もあり、グローバル当局が一体となって更なる規制強化策を導入した場合には、ブローカー各社は事業戦略の見直しを図らざるを得ないと考えられる。他方で、プロフェッショナル顧客向けサービスを強化し収益の拡大に結びつけている企業も散見されており、同分野において付加価値の高いソリューションを提供することで一つの勝機を見出すことができるかもしれないであろう。
作成日
:2019.10.04
最終更新
:2022.05.26
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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