作成日
:2019.09.27
2021.08.31 15:29
大手仮想通貨取引所であるBinance【以下、バイナンスと称す】が、独自のステーキングプラットフォームをローンチし、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用する特定の仮想通貨を対象にサービスを開始したことが明らかになった。
バイナンスの発表によると、ユーザーは手持ちの仮想通貨を同社のアカウントに預け入れるだけで、その額に見合った報酬を月次で受け取ることができるという。通常、ステーキングには大量の仮想通貨が必要になるが、このプラットフォーム上では対象となる通貨の保有量や預け入れの期間、ノード設定などの技術的な要件を気にすることなく、ユーザーがステーキングに参加できるようになっている。ステーキングに参加したユーザーはブロックチェーンの検証に貢献すると同時に、開発提案への投票権が与えられるようだ。
報酬の分配方法に関しては来月1日に計算方法を更新することを公表しており、1時間ごとに口座残高のスナップショットを記録する案などが検討されている状況だ。このスキームは毎日の口座残高をより正確に把握できるため、バイナンスは最も公平な報酬の分配方法であると評価しているようだ。現在、バイナンスのプラットフォームは、ネオ(NEO)、オントロジー(Ontology)、Vechain、ステラ(Stellar)、コモド(Komodo)、Algorand、Qtum、Stratisなどのステーキングに対応している。
バイナンスはステーキングサービスを開始したばかりだが、今年4月には大手取引所のコインベースが機関投資家向けに同様のサービスを展開するなど、仮想通貨市場での競争は既に始まっている。これとは別にバイナンスは仮想通貨レンディングサービスを開始しており、バイナンスコイン(Binance Coin)、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic)、テザー(Tether)を対象に利息収入を得る機会を提供し、仮想通貨市場の拡大および新規ユーザー獲得に動いているという。このレンディングサービスは未だパイロット段階にあるというが、今後もバイナンスの取り組みに注目していきたい。
release date 2019.09.27
PoW(プルーフ・オブ・ワーク)ベースのシステムに対してPoSは、効率的なネットワークを実現するコンセンサスアルゴリズムとして、主要な仮想通貨にも採用され始めている。仮想通貨市場全体で第2位の時価総額を誇り、人気が高まるイーサリアムも、将来的にはPoSにシステムを移行することを目指し段階的なハードフォークを実施している状況だ。しかしながら、PoSが公平性や透明性に課題を抱えていることも事実であり、セキュリティ上の懸念からイーサリアムのハードフォーク計画に1カ月の遅れが生じるなど、仮想通貨コミュニティも慎重な対応を見せているようだ。仮想通貨の中には既にPoSを採用しているものも存在するが、実績が乏しいため、PoWと比べると信頼性で劣ると言わざるを得ないだろう。今回、バイナンスがステーキングサービスをローンチしたことは、PoSの普及に大きく貢献すると考えられるが、今後も仮想通貨市場の動向を見守っていきたい。
作成日
:2019.09.27
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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