作成日
:2019.09.19
2021.08.31 15:29
メッセージングアプリケーションで有名なLINE(ライン)グループ【以下、LINEと称す】の仮想通貨関連事業を推進するLVC株式会社【以下、LVCと称す】が、今月17日にBitMaxのブランド名で仮想通貨取引サービスを開始したことが明らかになった。
以前からLINEは日本国内で仮想通貨取引所を開設することを予告しており、既に今年9月初旬にLINEは金融庁のライセンスを取得していた。発表によると、BitMaxは日本国内における8,100万人のLINEユーザーを中心としたライト層の取り込みを目標とし、モバイルアプリケーションベースの取引サービスを提供するという。BitMaxはビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、リップル(Ripple)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、ライトコイン(Litecoin)の5つの仮想通貨に対応しており、これらの通貨はLINEアプリのウォレットタブから取引できるようになっている。
これまでLINEはシンガポールで仮想通貨取引所のBitBoxを運営し、日本と米国を除く世界のほぼ全ての国でサービスを展開してきたが、金融庁からの承認を得たことで日本でも20歳から74歳までの居住者を対象に仮想通貨取引サービスを提供できるようになった。通常であれば厳格なKYC(顧客確認)プロセスを課す必要があるが、既存のLINE Payユーザーに限っては簡単に口座開設が可能となる。
今年8月、大手インターネット企業である楽天の子会社、楽天ウォレットも仮想通貨取引サービスを開始し、これまで仮想通貨業界がリーチできていなかった国内のモバイルユーザーに訴求している。大手企業の参入で日本の仮想通貨市場では競争が激化しているが、今後もLINEを含む各企業の動きに注目していきたい。
release date 2019.09.19
現在、仮想通貨業界ではモバイルデバイス向けのソリューション開発が過渡期を迎えており、取引所やウォレットサービス、マイニングプールなどの仮想通貨関連企業はスマートフォンやブラウザベースのアプリケーションを次々とリリースしている。日本国内でもDMM BitcoinやGMOコイン、コインチェックなどの大手取引所が、注文の発注やチャート機能を備えたスマホアプリを展開している状況だ。しかしながら、これらのアプリケーションはデスクトップ版の補助的な意味合いが強く、モバイルファーストな思想での設計となっていないため、ユーザーインターフェースや安定性、セキュリティ面で課題を抱えているという。多くの仮想通貨ウォレットも同様の課題に悩まされており、今年3月に英企業がiPhone向け仮想通貨ストレージをリリースして話題となったものの、Apple Payやその他決済サービスと比較すると普及までの道のりは長いと言えるだろう。ブロックチェーンスマホなどの登場で環境が変わりつつあるが、今後も仮想通貨業界の取り組みに期待しながら進展を見守っていきたい。
作成日
:2019.09.19
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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