作成日
:2019.09.16
2021.08.31 15:29
Fundstrat Globalの共同経営者であるThomas Lee氏は、米国のドナルド・トランプ大統領が大統領命令を発令し、ビットコイン(Bitcoin)やその他の仮想通貨を禁止する動きに出る可能性があると言及した。
Lee氏は米国政府が経済に与える影響を顧みず、電子タバコを禁止しようとしていることを受け、当局の新しい産業に対する厳しい対応に危機感を募らせているという。これまで米国では電子タバコの影響で数百人が何らかの病気にかかり、少なくとも6人が死亡した事実が明らかになっているものの、Lee氏はホワイトハウスの判断に一貫性がないと主張している。また、Lee氏は米国政府がどのような産業でも禁止できる現状を非難しており、ビットコインをはじめとする仮想通貨が次のターゲットになり得ると述べた。
一部コミュニティではLee氏の発言を発端に議論が活発になっており、米国政府および連邦準備制度(Federal Reserve)による体制を維持するために、当局が仮想通貨の排除を望んでいるとの意見も挙がっているようだ。これに加え、ある評論家はビットコイン価格が将来的に10万ドルに達する展開になれば、米国政府が仮想通貨の禁止措置を講じる可能性があるとの見解を共有している。
トランプ大統領および政府幹部が仮想通貨を敵視していることは想像に難くないが、実際にビットコインの所有が禁止となれば世界初の事例となる。インド政府は中央銀行以外が発行した仮想通貨の所有を違法にする意向だが、未だ実行には移せておらず、ボリビア、コロンビア、エクアドルなども仮想通貨取引を禁止するだけに留まっている状況だ。ベトナムやロシアは仮想通貨を正式な決済手段として認めていないが、仮想通貨への投資は可能だという。
このように米国よりも遥かに独裁的な国家でも仮想通貨を禁止することは難しく、仮想通貨業界のロビー活動が拡大している状況を加味すると、米国政府が即座に仮想通貨を禁止することは現実的ではないと言えるだろう。更に法定通貨のインフレやP2P取引の増加など、仮想通貨の利用を助長する環境が整いつつあるが、米国政府はどのような対応を見せるのか、今後もその動向に注目していきたい。
release date 2019.09.16
もともとトランプ大統領は仮想通貨に否定的な発言をするなど、当初から仮想通貨業界に敵対的な立場を取っていたが、国内で仮想通貨の影響力が増すに連れてその態度を更に硬化させているようだ。特に今年6月にFacebookが独自仮想通貨のリブラに関する詳細を公開して以降、米国を中心に世界の仮想通貨市場では逆風が吹いており、今年初めから好調を維持してきたビットコイン価格が停滞している。米国内ではコインベースがIEOおよびSTOプラットフォームの立ち上げを模索すると同時に、ジェミニ(Gemini)やKraken(クラーケン)を含む大手仮想通貨関連企業が新規事業の展開を企ててはいるものの、同国経済を支える金融市場との連携が思うように進んでいないという現状もある。その背景には鍵となる政府機関が対応方針を決めかねている実情も存在するが、最終的にトランプ大統領はどのような判断を下すのか、今後も仮想通貨市場の動きを見守っていきたい。
作成日
:2019.09.16
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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