作成日
:2019.08.15
2021.08.31 15:30
仮想通貨を利用した不動産投資プラットフォームを展開するRelexの会長であるKeith Hilden氏は、あるメディアのインタビューでブロックチェーンや仮想通貨が既存の金融市場で十分に活用されていない現状を指摘した上で、これらが投資効率を向上させるための鍵になるとの考えを述べた。
Hilden氏によると、Relexはスマートコントラクトによる契約の自動化を軸に、透明性の高い不動産投資プラットフォームを構築しているという。このプラットフォーム上ではRLX暗号トークン(RLX Crypto Token)と呼ばれる独自の仮想通貨が利用され、資金の追跡やペーパーレスな契約など、先進的な投資スキームの実現に役立てられているようだ。Hilden氏はこのプラットフォームがベラルーシのような銀行サービスが不十分な市場で有効なソリューションになり得ると言及しており、その他にもRelexモデルの「マクドナルド化」を目指してカナダやベトナムなどにもサービスを拡大する可能性があることを示唆した。
RelexのサービスはFDI(直接投資)を受ける国にとって魅力的なものだが、その最大の利点は、仮想通貨やオープンソースアルゴリズムを取り込むことで効率的な資金供給を実現できるところにある。また、Relexのプラットフォームは複製することを前提に構築されているため、他国でも現地企業が独立したサービスを展開して市場成長を促すことができるという。事実、Relexの運営チームには投資ブローカーや投資ファンド、クラウドソーシングコンサルタント、政府機関出身者などが揃っており、これまで同社は中央銀行や政府機関、民間の開発会社とのプロジェクトを成功に導いている。
このような仮想通貨を金融市場に取り込む動きは中国でも活発になっており、Facebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)に続き、同国の中央銀行である中国人民銀行も独自仮想通貨の開発に取り組んでいることを公表した。この独自通貨がリリースされる時期に関しては明らかになっていないが、関連の研究機関が行った特許申請は既に52件に達している状況だ。一部では公開の準備が整ったとの報道もあるが、中国の国土や人口規模を考えると、スケーラビリティに問題が生じることは必至なため、通常のブロックチェーン技術では実現困難だと言えよう。
中国人民銀行による独自仮想通貨の発行が実現すれば、仮想通貨市場は未だかつてないほどの衝撃を受けることが予想されるが、中国政府は仮想通貨取引を全面的に禁止するなど、今の所仮想通貨市場との妥協点を見つけられていない。対するRelexはベラルーシで中国資本と工業団地の建設プロジェクトを開始し、民間での技術導入を進めているようだが、これがどのような結果を生むのか、今後の展開に注目していきたい。
release date 2019.08.15
仮想通貨への関心が高まる中国では仮想通貨およびブロックチェーンの開発が進んでいるが、中国政府も仮想通貨の研究開発は国家の最重要タスクだと通達しており、中国人民銀行が発行する独自通貨の実現と併せて、その活動を後押しする動きに出ている。2017年に中国政府は中国人民銀行デジタル通貨研究所を設立し、続く2018年には深セン金融科技、今年に入って南京でも同様の研究機関の立ち上げを行なったという。また、このような政府の取り組みに民間企業も敏感に反応しており、Huaweiなどのグローバル企業を中心に仮想通貨関連事業への興味を示しているようだ。中国銀行もビットコインを紹介する記事を公開するなど、国民に仮想通貨に対する理解を求め、同行にも仮想通貨関連事業に何らかの関与があることをほのめかした。仮想通貨取引を禁止する中国当局は、民間での盛り上がりをどのように見ているのか、今後も中国市場の展開を見守っていきたい。
作成日
:2019.08.15
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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