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FATF、個人情報の管理システムを構築したとの報道を否定

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update 2021.08.31 15:30
FATF、個人情報の管理システムを構築したとの報道を否定

update 2021.08.31 15:30

仮想通貨市場に金融業界の規制適応を求める

今月9日、ニュースメディアの日経アジアレビューは、金融活動作業部会(Financial Action Task Force)【以下、FATFと称す】が15カ国の政府に協力を求め、個人情報を収集および共有するシステムを構築したと伝えていたが、FATFはそのような事実はないと報道を否定した。[1]

FATFのシニアポリシーアナリストであるTom Neylan氏は、FATFがシステム開発を行う民間企業と協力していることは認めているものの、あくまでも当局が世界標準の規制を促す法務執行機関であり、報道されているようなソリューションの提供は実施していないと強調した。6月下旬、FATFは仮想通貨に関するガイドラインをリリースし、仮想通貨市場に既存の金融業界の規制を適応する方針であることを明確にしている。

Neylan氏は、FATFが取り組んでいる新しい規制に関して次のように説明した。

この新しい規制は、加盟国の仮想通貨取引所がどのような顧客を抱えているかを明確にします。取引所が顧客情報を適切に管理することで、マネーロンダリングやテロ組織への資金供与が発生した際、すぐに国の執行機関がそれを利用できる環境が整います。これに加えて取引所は経済制裁を回避しようとするアルカイダや北朝鮮に関与する取引をスクリーニングしなければなりません。これらの規制は銀行などの金融機関に既に適応されており、我々は仮想通貨業界に特別新しいことを求めているわけではないのです。

Tom Neylan, Senior Policy Analyst at FATF - Financial Magnatesより引用

また、Neylan氏は報道されているシステム開発について以下のように言及している。

仮想通貨関連企業はテクノロジーを熟知しているため、我々は既存のTravel Rule(送金時に個人情報を提供する規定)を守るためのシステム開発をお願いしているのです。全ての人のプライバシーを侵害する意図はなく、このシステムは執行機関が犯罪者やテロリストを特定するために利用されます。我々は積極的にソリューション開発を進める企業と協力しており、International Digital Asset Exchange Association(IDAXA)や他の団体、専門家とも話をしている状況です。仮想通貨関連企業はプライバシーを保護した上で個人情報をやり取りすることが必要で、我々の活動は業界にそのためのソリューションの採用を促す目的があります。

Tom Neylan, Senior Policy Analyst at FATF - Financial Magnatesより引用

FATFがガイドラインを発表した際、取引所や関連サービスを展開する企業が当局のコンプライアンス基準を実際に遵守できるか議論になったが、現状、それに対応できる企業は多くは存在しない。そのため、これらの企業に向けたコンプライアンスソリューションの開発に関心が集まっており、今回のメディアによる誤報がTwitter(ツイッター)などを媒体に急速に拡散したことをきっかけに、コンプライアンスサービスの提供を謳う企業が台頭する可能性もあると考えられる。FATFはFacebookのリブラ(Libra)が抱える危険性を警告するなど、仮想通貨市場に対して厳しい態度を示しているが、各国政府は当局が定めるコンプライアンス基準をどのように受け止めているのか、今後も業界での動きに注目していきたい。

release date 2019.08.13

出典元:

ニュースコメント

一部取引所は自主的なコンプライアンス強化に動く

FATFは仮想通貨の犯罪利用を懸念し、仮想通貨市場への規制を強化しているが、米国や欧州、日本をはじめとする仮想通貨先進国でも、当局が望むコンプライアンス基準の遵守を達成できる取引所や仮想通貨関連企業はほんの一握り程度しか存在していない状況だ。例えば、グローバル展開を見据える大手取引所のバイナンスは、今年4月に資金洗浄対策の強化を目的に協業することを発表しており、自主的にコンプライアンス基準の引き上げを行なっている。一方、小規模な取引所は資金的にもこのような対策を取ることが難しく、KYC(顧客確認)のプロセスも徹底できていないケースも報告されているという。結果的にこれらの取引所が犯罪組織の格好の標的となっており、マネーロンダリングや違法取引などに利用されているようだ。先日、北朝鮮が仮想通貨を含む20億ドル相当の資産を盗難したことが報道されるなど、仮想通貨市場における世界的な包囲網の重要性が増している様子がうかがえるが、今後は各国政府および各企業の取り組みに期待したい。


Date

作成日

2019.08.13

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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