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muinmos創業者が語るレグテック動向

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update 2021.08.31 15:30
muinmos創業者が語るレグテック動向

update 2021.08.31 15:30

AIやPASSを活用した効率的な経営の必要性

オランダを拠点とするレグテック企業であるmuinmosの創業者兼CEOを務めるRemonda Kirketerp-Moller氏が、最新の自社製品であるPASSの商品性を踏まえたレグテック動向に関する見解を明らかにした。[1]

Remonda氏によると、クラウドをベースにした世界初の完全自動化の顧客獲得ツールであるPASSは、資本市場に参加する金融機関へ革命をもたらすものであるという。現在、金融機関は顧客の分類や顧客特性にマッチした商品提供などの顧客獲得プロセスにおける様々な規制に対応するため、多くの人的資源と複雑なチェックリストが必要とされているが、PASSを利用することにより、金融機関は規制を遵守しつつ、数秒で新規顧客の獲得及びコンプライアンスチェックを可能にするとのことだ。

PASSを利用することにより、従来のプロセスでは数時間から数日を要した顧客獲得時間を数秒に短縮するだけでなく、人為的ミスを軽減する他、顧客獲得リスクやコストについても大幅な削減が見込めるとのことだ。muinmosはAML(アンチマネーロンダリング)やKYC(本人確認)関連サービスを提供する企業と協働し、それらの企業が保有するソリューションとの機能統合を図ることで、APIを用いた金融機関の顧客獲得プラットフォームやホワイトラベルのウェブサイトなど様々な顧客獲得フローに完全に対応させることができるようになったという。そのため、PASSは企業のコンプライアンス部門にとって重要なツールになると共に、より複雑な業務や顧客獲得プロセスのモニタリングへ注力することが可能になる。

またRemonda氏は、安全性の高い強固な単一市場を形成するために、EU全域で更に規制を強化するよりも、各国の金融当局が積極的に協調する必要性を説いている。各国間の規制にギャップが生じていると、統一された規制策を講じることが難しくなると警鐘を鳴らした。更にmuinmosは、AI(人工知能)やPASSの利用を飛躍的に拡大させるという目標を掲げている。AIを活用したコンプライアンス分野のように、変化が生じる際には必ず旧態依然の企業や組織から抵抗を受けるものの、変革が起きるという事実に変わりはないため、いち早く変化に適応した者は大躍進を遂げることができる可能性があると述べている。

しかしながら、現在はAIという単語が、セキュリティやテクノロジーの質を表現する以外にも、フィンテックやレグテック企業のマーケティングや複雑な金融事務をルールエンジンで処理する際にも使用されていることから、顧客が混乱し、AIを活用することによる効果が分かりづらい状況になっているとRemonda氏は指摘している。そして、muinmosが顧客ニーズや規制市場拡大に応じて、常に規制関連データのカバー領域を広げていく考えを示している他、PASSのようなレグテックを導入することで、金融業界のコンプライアンス部門は単なるコストセンターから競争優位性を発揮する部署に生まれ変わり、人為的ミスの大幅な削減によって顧客に、より快適なユーザーエクスペリエンスを提供することもできるという。

現在、muinmosは国内外の金融機関を対象に、AIを活用した各種規制に基づく顧客のカテゴライズと規制への適合性を認証するソリューションを提供しており、英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority, FCA)が導入したレギュラトリー・サンドボックス(Regulatory Sandbox、金融機関などが開発段階のサービスを試験的に提供できるようにサポートする仕組み)を利用する企業に選定されている。

なお、足元ではmuinmosのみならず、IBMとトムソンロイターが新レグテックソリューションを提供することが明らかになった他、Cappitechが新執行分析ツールをリリースするなど、多くの企業が新たなレグテックソリューションを開発している。今後も各国の監督当局により規制強化が推し進められることが予想されるため、ブローカーはレグテックを活用した効率的な企業経営が求められそうだ。

release date 2019.07.30

出典元:

ニュースコメント

規制対応コストの削減とサービス品質向上

2012年に設立されたmuinmosが提供するPASSは、世界中の金融規制に対応したオンボーディング(取引開始時の顧客情報や適合性の確認)プラットフォームだ。muinmosの役員には大手投資銀行のサクソバンク出身者やM&Aの実務経験者が名を連ねており、レグテック企業であると同時に法律事務所も兼ねているため、深い専門知識と徹底した規制遵守が強みのようだ。同社の拠点であるオランダを含めたEU地域では、2018年に施行された第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments DirectiveⅡ, MiFIDⅡ)へ対応するため、PASSのようなレグテックソリューションに対する需要が高まっており、Remonda氏もコンプライアンスコストの削減によって金融機関が大いにメリットを享受できると言及している。複雑化する規制への対応プロセスを外部に委託することで、金融機関の業務コスト削減と、サービス品質の向上に期待したい。


Date

作成日

2019.07.30

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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