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レグテック企業Cappitech、新執行分析ツールをリリース

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update 2021.08.31 15:26
レグテック企業Cappitech、新執行分析ツールをリリース

update 2021.08.31 15:26

透明性の高い取引執行の実現に寄与

イスラエルを拠点とするレグテック(フィンテックを活用して規制対応に関する課題解決を図る技術)関連企業であるCappitech(本社:2 HaMenofim St. Herzliya Pituach 4672553 Israel[1])は4月15日、RTS28マーケットインテリジェンスと呼ばれる電子取引分析ツールをリリースしたことを発表した。

現在欧州域内でサービスを提供する全ての金融機関は、第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ)【以下、MiFID Ⅱ】第28条にて投資サービス会社の取引後情報開示ルールを定めた規制技術基準(Regulatory Technical Standards, RST28)の下、個人投資家及びプロ投資家の注文を執行したブローカーやシステマティック・インターナライザー(自己勘定で顧客注文を執行するディーラー)、マーケットメイカー(値付け業者)、リクイディティプロバイダー(流動性供給業者)などの取引施設のうち上位5社に関する情報を年に一度公表することを義務付けられている。そこで、CappitechのRTS28マーケットインテリジェンスを利用することで、規制に対応したデータの有効活用を図ることができるとのことだ。

Cappitechの新執行分析ツールでは、これまでチェックすることが難しかった規制対応レポートデータを分析することで、全てのアセットクラスに亘りブローカー各社の最良執行基準を評価すると共に各企業の業界平均に対するパフォーマンス水準も算出することが可能となる。これにより、ブローカー各社は競合他社との執行能力を比較するモニタリングを行える他、アセットマネージャーにとっては透明性の高い取引執行の実現を期待できると言う。更に顧客の取引注文を最も多く執行している取引施設、ブローカー、リクイディティプール(流動性集約)を確認することも可能になるとのことである。

新たな執行分析ツールをリリースするに際し、CappitechのCEO兼創業者であるRonen Kertis氏は以下のようにコメントしている。

欧州当局が定めたレポーティング規制の効果を十分に享受できていないお客様のニーズに的確に応えるべく、この度RTS28マーケットインテリジェンスをリリースできたことを喜ばしく思っております。多くの金融機関は、新執行分析ツールを活用することで、たったワンクリックで規制対応レポートデータを分析した情報を手に入れることができるようになり、競争優位性を高めることができるでしょう。また各社それぞれに対応した競合他社との比較分析情報を提供するだけでなく、金融業界全体にとっても取引の透明性を高めることに寄与することができると考えております。

Ronen Kertis, CEO and Founder of Cappitech - Cappitechより引用

なおRTS28マーケットインテリジェンスの取引執行分析を基にした、2017年のベスト執行ブローカーは、ゴールドマンサックス証券であったという。それに続いてJPモルガンチェースとシティグループがそれぞれ2番手、3番手となった。また、米国・ニューヨークを拠点とする金融コンサルティングファームであるTABB Groupの株式アナリストを務めるTim Cave氏によれば、MiFID Ⅱの最良執行義務を定めたRTS27及びRTS28が施行されたことで、透明性の高い取引として最良執行が求められるようになっただけでなく、競合分析に役立てたり付加価値の高い執行能力を売りとする企業が現れてきたりと様々な効果が見えてきている模様だ。

規制環境が目まぐるしく変化する中、規制に対応した付加価値の高いサービスの提供が必要とされるブローカーはレグテックの活用が必須と言えよう。今回Cappitechがリリースした執行分析ツールは、まさに顧客ニーズにマッチした画期的なソリューションと言え、顧客の利用拡大が期待できるであろう。

release date 2019.04.16

出典元:

ニュースコメント

今注目されているレグテックとは

レグテック(RegTech)とは、規制を意味するレギュレーション(Regulation)とテクノロジー(Technology)を合わせた造語であり、テクノロジーによって金融規制に関する課題を克服することを意味しており、今、世界中でフィンテックの次のテーマとして注目されている。フィンテックは、IT企業が金融分野においてサービスを提供することを意味しており、決済、資産管理、会計といった領域でIT企業がテクノロジーを使って、消費者が使いやすいサービスを提供することをまとめた言葉である。これに対して、レグテックはブローカーや銀行などの金融機関が金融当局から課された規制をテクノロジーを使って対応しようというものである。レグテックが注目されるようになった背景にはリーマンショック後の規制強化と、それに対応するための金融機関でのコンプライアンス関連コストの増大があると言われている。最近では日本政府が仮想通貨の証拠金取引を規制することが発表されるなど、規制の範囲はさらに拡大し複雑化している他、期限も設けられているため金融機関はスピード感を持って対応することが必要となっており、人的リソース面、コスト面の負担がますます増大しているのが現状である。こういった課題を最新のIT技術を使用し効率的に解決するべく、レグテックの導入が活発化しており、今後も導入が加速していくことが予想されている。


Date

作成日

2019.04.16

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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