作成日
:2019.07.25
2021.08.31 15:30
ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)の派生通貨であるビットコインSV(Bitcoin SV)が、今月24日にハードフォークを実施し、ブロックサイズを128MB(メガバイト)から2GB(ギガバイト)に拡張することに成功した。
今回、Bitcoin Associationの公式ウェブサイトでは、ビットコインSVのハードフォークを24日の13時から開始すると伝えていたが、大手仮想通貨取引所が運営するBitMEX Researchは、開始は同日の14時からの誤りであることを指摘しており、コミュニティでは開始時刻に関して混乱が生じていたという。
マイナーやノードのソフトウェアが時刻通りにアップデートされなかった場合、ビットコインSVにおけるシステム全体の効率性やセキュリティ性能の低下を招くリスクもあったが、BitMEX Resarchは14時にハードフォークが完了したことを確認し、ブロックチェーンも正常に稼働していると報告した。ビットコインキャッシュはビットコインのハードフォークで誕生し、ビットコインSVはビットコインキャッシュが分裂して誕生している。もともとビットコイン(Bitcoin)のブロックサイズは1MBに設定されていたが、ビットコインSVは処理能力の向上を狙い、効率的なシステムを構築するためにブロックサイズを拡大する方向で開発を進めているようだ。しかしながら、現在、ビットコインSVにおける1ブロックの平均的なデータ量は400KB(キロバイト)に及ばず、必要以上に大きいブロックサイズはネットワークへの負荷を高めるだけだとの指摘もある。今後、ブロックチェーン上のデータ量が増加すれば、有用なソリューションになり得るが、まずは仮想通貨やブロックチェーン技術の利用拡大が必須になると言えるだろう。
ビットコインSVのネットワークは主に気象予報アプリのデータ書き込みに利用されており、それが過去30日間におけるトランザクション量の98%以上を占有しているという。このようなdApp(分散型アプリケーション)開発は将来的に活発になっていくと予想されるが、今後、ビットコインSVがそのプラットフォームとして需要を拡大することに期待したい。
release date 2019.07.25
ビットコインSVは今後の開発計画を示すロードマップを公開しており、それによると今回の件を含めて計2回のハードフォークによって、ビットコインの考案者とされているサトシ・ナカモト氏が思い描いたコンセプトに完全回帰することを表明している。具体的に2020年2月初旬に実施が予定されているジェネシスアップデートと呼ばれる次期ハードフォークでは、ブロックサイズの上限を撤廃し、更なるスケーラビリティの改善を試みるという。しかしながら、ブロックサイズの肥大化は、ノード間のブロック引き渡しにタイムラグが発生する要因となるのに加えて、非中央集権型のネットワーク構造に支障をきたす可能性があることから、この変更を懸念する声も上がっているようだ。一方、システムの公平性を重視するビットコインは、このような理由からブロックサイズを1MBに固定しているが、トランザクションの増加に伴い処理効率が低下してきているのも事実であり、最適なブロックサイズに関しては検証が必要だと言えるだろう。今回のビットコインSVにおけるブロックサイズの変更は、その重要なサンプルになると考えられるだけに、どのような結果を生むのかその経過を見守っていきたい。
作成日
:2019.07.25
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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