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CySEC、ブローカーに子会社情報報告に関する通知を発令

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update 2022.01.26 12:58
CySEC、ブローカーに子会社情報報告に関する通知を発令

update 2022.01.26 12:58

オフショア市場を含むEU域外の監督体制を強化

キプロスの金融監督当局であるキプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission)【以下、CySECと称す】は10日、ブローカーがオフショア市場へシフトを進める中、EU域外の監督体制を強化すべく、規制下にある全てのキプロス投資会社(Cyprus Investment Firms)【以下、CIFsと称す】に対し、オフショア市場を含む世界各国で展開する子会社の詳細な経営情報の報告を求める通知を発令した。[1]

全てのCIFsはCySECに対し、子会社名や所在地、事業内容、売上高、従業員数、子会社が拠点を設ける国々で補完的に適用される課税方式、税控除前損益、各種助成金受取りの有無を報告するよう義務付けている。また、データの提出が求められる子会社は、親会社が直接所有する子会社、支店、及びキプロス国外で物理的拠点を設けている関連会社の3つのカテゴリーに分類される。なお、CIFsと提携するエージェント企業は支店として見なされる一方で、駐在員事務所に関しては報告義務対象から除外されている。

足元では、EUもしくは英国当局の規制下にある子会社を通じて、EU域内の顧客を得ることができるものの、複数の企業がEUの規制枠組みから外れるオフショア市場において積極的な顧客獲得を試みている。欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority, ESMA)の新規制策が導入された当初は、他国に拠点がある子会社への顧客移管を積極的に奨励することが禁止されていたこともあり、多くの企業がオフショア市場への移管に対し慎重な姿勢を示していたが、現状では必ずしも規制を遵守していない模様だ。

一方で、ブローカーの多くは海外の子会社を利用する際、ほとんどのケースでは、EU内外で共通のブランドを用いているため、CySECとしては規制を逃れる企業を取り締まることは可能であろう。例えばオーストラリアでは、FX・CFDブローカーやバイナリーオプション業者がハイレバレッジや充実したインセンティブプログラムを提供し、積極的に海外顧客の獲得を試みてきたが、オーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investment Commission, ASIC)がブローカーに対し海外顧客向けサービスを停止するよう強く要請するなど規制を強化していることもあり、入金した証拠金額の2倍のボーナスを提供するなどの積極的なマーケティング活動を行う企業は少なくなってきている。CySECでは専門スタッフを拡充し、効果的なモニタリング体制の構築と複数の新規制策を導入する予定であるため、各社ブローカーはCySECの新規制策への対応が求められる展開が続きそうだ。

release date 2019.07.12

出典元:

ニュースコメント

規制強化が進む元タックスヘイブン

日本の四国の約半分の面積となるキプロス島は、トルコの南側、東地中海上にある総面積9,250平方メートルの島国だ。島南部の多くを占めている国がキプロス共和国に位置しており、島北部には、国連が管理する緩衝地帯を挟み北キプロス・トルコ共和国(北キプロス)が存在する。そんな小さな島国のキプロス共和国は、もともとタックスヘイブン(租税回避地)として世界中から多くの企業や投資家を集め金融分野における著しい発達を遂げた。そして、キプロス共和国の金融規制当局として設立されたCySECは、FCAと比べ比較的規制が緩いものの安全性は高く、CySECのライセンスを取得することによりEU域内でのサービスが展開できることからEUの顧客をターゲットとするブローカーから人気を誇っていた。しかし、ESMAのメンバーであるCySECは、近年のESMAの規制強化の流れに乗らざるを得ない状況だ。多くのFXブローカーを抱えるCySECが、ブローカーやトレーダーにとって最適な施策を打ち出すことを期待して見守っていきたい。


Date

作成日

2019.07.12

Update

最終更新

2022.01.26

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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