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FXブローカー、自社に最適なCRMを導入する必要性

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update 2022.11.10 13:12
FXブローカー、自社に最適なCRMを導入する必要性

update 2022.11.10 13:12

コンプライアンス遵守や顧客獲得・維持に必須のツール

FX取引プラットフォームを提供するFortex, Inc.(本社:203 Redwood Shores Pkwy Suite 640 Redwood Shores, CA 94065 U.S.A[1])の先進国市場機関投資家セールス部門ヴァイスプレジデントであるAnya Aratovskaya氏は、FXブローカー各社が新たな規制に対応するためにCRMを導入する必要があると共に、それぞれのCRMが有する特徴を踏まえ自社の経営課題やニーズにマッチしたソリューションを選択しなければならないと主張している。

監督当局が矢継ぎ早に打ち出す新規制策の影響を受け、FXブローカー各社は、事業運営上必要不可欠なコンプライアンスの遵守や顧客の獲得・維持、セールス・マーケティングスタッフの効果的な管理などの分野において、経営手法の再考をせざるを得ない情勢だ。また今日、顧客サービス部門のスタッフがリード(見込み客)にアプローチするには膨大なデータから価値ある情報を抽出すると共に、顧客の取引動向を的確に掴む必要がある。その際に、セールスチームの管理や既存・新規顧客の獲得などに寄与する多岐に亘る機能が統合されたツールであるCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)の有効活用が求められている状況となっている。

CRMには多機能が全て備わったオールインワンのものもあれば、バックオフィス機能やパートナーのポータルサイト、顧客向けサイト(traders' room)機能が付帯したFX業界に適したソフトウェアツールも提供されている。FXブローカー向けCRMには、KYC(本人確認)プロセスの遵守やトレーディング機能の統合、既存顧客・見込み客・IB(イントロデューシング・ブローカー)の管理、アップセル(up-sell、顧客が希望する商品よりもグレードの高い商品を販売する方法)・クロスセル(cross-sell、抱き合わせ販売)に繋がる販売見込みの認識、そして請求書の状況を追跡する機能なども付帯されている。また、従来CRMは経営体力のある大企業向けに設計されていたが、SaaS( Software as a Service、ソフトウェアをクライアント側に導入せず、ネットワーク経由で顧客が利用するサービス)形式の導入が進んだことでCRM業界に変革がもたらされている。これにより、大企業による独自のCRMシステムの構築が可能となったことに加え、中小企業は多数のITサポートスタッフや大規模ハードウェアが不要なクラウドベースのCRMを利用できるようになった。

独自CRMの構築やパッケージソフトの購入、もしくはクラウドサービスの利用に至るまでCRM運用戦略を立案する際には、コスト削減や顧客情報の管理、最適なパートナーの抽出など各企業のニーズや課題解決にマッチしたCRMを導入する必要がある。そこで自社にとって最適なCRMパッケージを選択する方法として、他のソフトウェアを購入する際と同様に、インターネット検索やカンファレンスへの出席、もしくはパソコン情報誌を参照しても良いだろう。なお、市場分析サービスを提供するMarket Research Futureが2018年9月に公表した「CRMソフトウェア市場リサーチレポート~グローバル予測2023(CRM Software Market Research Report - Global Forecast to 2023)」によると、CRM市場は2023年までに350億ドルへと拡大することが見込まれている。

Aratovskaya氏は、現在ではFX業界に特化した多くのCRMパッケージが10年以上の利用実績を誇っているが、80%のCRM提供業者が類似した機能を付帯した顧客向けポータルサイトやCRMを提供しているという。しかしながら、それらのソフトウェアは設計や運用面で若干の相違点があるため、自社に最適なCRMパッケージを導入すべく、CRM提供業者の会社概要や顧客先、サポート体制、経験年数などを確認しなければならないと指摘する。更に、顧客向けポータルサイトとバックオフィス機能の統合管理及びコスト、MetaTrader4【以下、MT4と称す】など特定のプラットフォームへの非依存、規制対応のレポーティング、紛争処理を含むコンプライアンス、顧客コミュニケーション管理、ホワイトレーベル、ソフトウェアプロバイダーや決済プロバイダー管理、セグメンテーション(顧客取引の分類)ツール、IB管理及びパートナー別ポータルサイト、セールス及びマーケティングなど非常に多岐に亘る機能を吟味する必要があるとのことだ。

そこでFXブローカー向けのCRMパッケージを提供する有力ベンダーとして、キプロスを拠点とするFXBack Officeが提供するコスト効率と信頼性の高いCRMが挙げられている。同社のCRMは顧客とパートナーを一元管理できる他、MT4やcTraderとの間に互換性を持たせ、全てのレポートをモバイルで閲覧することも可能だ。更に顧客及びIB向けポータルサイトはFXブローカー用にカスタム設計されている。次に、マルタを拠点とするKenmore Designが提供するCRMはスタートアップ企業に適しており、全ての見込み客の動向追跡や口座履歴の管理、そしてタスク状況に応じて必要なアクションを通知するシステム設計になっている。その他にも、2003年に設立され豊富な実績を誇ると共にMetaTrader 5向けアプリ開発ライセンス業者でもあるDynamic WorksのSyntellicoreは、直感的に理解できる顧客向けポータルサイトを統合したCRMとバックオフィス機能を有している。

さらに、QoreFXは見込み客のモニタリングや入出金プロセス、顧客及びIB管理、コンプライアンス、マーケティングなどの機能を統合したCRMを提供し、UTIP Technologies Ltdは高性能なデータフィード(顧客・商品データなどをマーケティングに活用する仕組み)や業務プロセスの自動化、データ保護機能を付帯したCRMを開発するなど、各ベンダーによってツールの強みが大きく異なっていることがわかる。監督当局が規制を強化する環境下において、ブローカー各社にとってはコストを考慮した上で自社の経営ニーズにマッチした最適なCRMを有効活用することで、コンプライアンス遵守や顧客管理といった様々な効果を期待できそうだ。

release date 2019.06.25

出典元:

ニュースコメント

積極的な最新技術の導入が欠かせないブローカー

世界的なFX業界への規制強化の流れやブローカー間の過当競争の結果、より効率的なブローカー事業の運営のため積極的な最新テクノロジーの導入が活発となってきている。特にフィンテックを活用して規制対応に関する課題解決を図る技術である、レグテックの活用がブローカーで求められるなど、規制当局が次々と発表する規制策に対応し、コンプライアンス体制を実現するべく、多くのブローカーでの導入が活発となっている模様だ。最近ではキプロスの規制当局である、CySECがブローカーに2018年取引データ提出を義務づけし、それに引き続き、オーストラリアの規制当局である、ASICが全ブローカーに取引データの提出を要請するなど、各国規制当局がブローカーに対して取引履歴の提出を求める事案が頻発している。多項目に及ぶデータの提出を行う必要があることから、ブローカーに対する業務の負担が増している背景があり、今後さらにレグテックのみならず、高性能なCRMの活用も重要なファクターとなっていくことは間違いないだろう。最新技術の導入によりブローカーの業務が効率化されることにより、サービス品質の向上が進む事に期待したい。


Date

作成日

2019.06.25

Update

最終更新

2022.11.10

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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