Select Language

CySEC、ブローカーに2018年取引データ提出を義務づけ

CySEC、ブローカーに2018年取引データ提出を義務づけ

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 14:56
CySEC、ブローカーに2018年取引データ提出を義務づけ

update 2022.01.27 14:56

4月12日までに提出する必要性

キプロスの金融監督当局であるキプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission)【以下、CySECと称す】は3月26日、CySECの統制下にあるリテールブローカーを含む全てのキプロス投資会社(Cyprus Investment Firms)【以下、CIFsと称す】に、2018年の取引量に関する詳細データを提出するよう義務づけたことを明らかとした。[1]

CySECが新たに求める取引データにおいては、資産クラスごとの詳細な取引情報に加え、個人投資家、プロフェッショナル顧客、もしくは金融機関や運用会社、年金基金などが該当する適格取引先(eligible counterparties)といった顧客区分に分けて取引データを公表する必要もあるという。また実効レバレッジ(実際の運用レバレッジ)を考慮した証拠金取引データも求められており、例えば証拠金100ドルレバレッジ100倍で取引した場合、10,000ドルとしてデータ報告する必要があるとのことだ。

更にブローカーは、委託取引(顧客の代理で取引執行)と自己勘定取引(銀行などが自らの資金で運用)を分けることも求められている。加えてマーケットメイカー(常に売り気配、買い気配を提示し、相対取引を基本に売買を成立させる業者)に関しては、取引の2重報告を避けるべく、顧客取引勘定とそれ以外を分けて報告しなければならないという。

CySECでは今回CIFsに要請した取引データを4月12日までに提出するよう求めており、今後再度の注意喚起や期限の延長はなく、仮に期限までの提出を怠ったCIFsには罰金を科す可能性があるとコメントしている。なおCySECが求めるデータ書類はVOT-CIFと呼ばれる新たな文書ではあるものの、以前にも売買データを含む各種取引情報を収集し、CySECの監督強化が図られた経緯もある。CySECは今回の場合、取引高データの提出を要請する理由を明らかとしていないが、欧州証券市場監督局ESMAがバイナリーオプション取引禁止措置を再延長すると共に、ESMAがCFD規制の適用期間を再延長していることを受け、欧州の規制強化策がキプロスの金融市場に与える影響を探る目的があると推測されよう。

2019年2月、CySECは仮想通貨規制に関する諮問書を公表し仮想通貨及び関連商品の監督を強化する意向も示している。CySECがFXやCFD、仮想通貨などの分野において今後如何なる規制枠組みを構築するか市場関係者の注目が集まっている状況だ。

release date 2019.03.27

出典元:

ニュースコメント

更なる透明性を求めるCySEC

かつてはタックスヘイブンの一つとしても知られていた国キプロスでは、CIFライセンスの登録をする企業数が2017年頃まで増加の一途を辿っており、2012年からの5年間では、ほぼ2倍に増加していた。しかしその後、CySECからの度重なる厳しい取締りをきっかけに、多数のブローカーが相次いでCIFライセンスを放棄する現象が見られた他、CySECが2018年に報告したキプロスを地盤とするブローカーの業績動向によると、ブローカーの業績は2016年をピークに減少していることが明らかになっている。そんな中、CySECはこの度更に詳細な情報や業績を把握すべく、ブローカーに対し資産クラスごとの取引情報や実効レバレッジを考慮した証拠金取引データ等の公表を求めた。提出を怠ったCIFsには罰金を科す可能性があるとも言及しているため、数週間後に迫る期限に向けて、ブローカー各社は対応に追われることが予想される。今後キプロスを地盤とするブローカー各社は規制に沿った上で、透明性の高いサービスを提供していくことが求められるであろう。


Date

作成日

2019.03.27

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨KAITOの将来性は?AI活用のWeb3情報プラットフォームKaito AIの特徴や評判を解説

仮想通貨KAITOは、Web3の情報アクセスを変革する次世代プラットフォーム「Kaito AI」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨KAITOの概要や将来性、Kaito AIが提供するYapsの仕組み、SNSでの評判などを解説します。
update2025.02.19 19:00

FXGTでの出金拒否報告が増加中、これまでとは違う危険な兆候とは?

FXGTの出金拒否の報告・原因のほか、ユーザーの流出状況などをまとめました。SNS上ではここ数ヶ月の間に出金拒否に関する投稿が増加しており、ユーザーの間では「自分も出金拒否されるのでは」「FXGTがつぶれるのでは」といった不安が広がっています。
update2025.02.14 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

仮想通貨SOSOの将来性は?AI活用の投資分析プラットフォームSoSoValueがトークン発行

仮想通貨SOSOは、中央集権型金融の効率性と分散型金融の透明性を組み合わせた投資分析プラットフォーム「SoSoValue」のガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨SOSOの将来性やSNSでの評判、SoSoValueの特徴などを解説します。
update2025.01.24 19:30

Bybitからビットフライヤーに送金してみた!送金手数料や反映時間は?

Myforex編集部では、実際にBybitからビットフライヤー(bitFlyer)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、送金手順のほか、送金手数料やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.02.19 19:30

【全て無料】MT4/MT5を日本時間にできるインディケータのおすすめが決定!

MT4/MT5に表示されている時間は、インディケータを使えば簡単に日本時間へ変えられます。MT4/MT5を日本時間表示にしておくと、各市場のトレンドを把握しやすくなったり、経済指標の発表時間に合わせた取引がしやすくなったりと、何かと便利です。
update2024.12.04 20:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

MacのMT4/MT5はダウンロードしても使えない?文字化けや起動しない時の対策方法や最終手段を紹介!

Mac版のMT4やMT5は不具合が良く発生するため、自分の使い方が悪いのか不安を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、Mac版のMT4・MT5のトラブルや解決方法を解説します。
update2024.12.04 20:30

コインチェックからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間についても解説

コインチェック(Coincheck)からBybitに仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.11.29 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル