Select Language

新オフショア市場としてマレーシアのラブアン島が浮上

新オフショア市場としてマレーシアのラブアン島が浮上

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
新オフショア市場としてマレーシアのラブアン島が浮上

update 2021.08.31 15:26

最大レバレッジ100倍を提供可能

欧州当局による規制強化により、ブローカーがオフショア市場へシフトを進める中、ブローカー 向けライセンスの提供を行う新たなオフショア市場としてマレーシアのラブアン島【以下、ラブアンと称す】が浮上している。

ラブアンは東マレーシアに位置し、マレーシアのオフショア市場として位置づけられるラブアン国際ビジネス金融センター(International Business and Financial Centre, IBFC)が設置されている。そして、FXブローカーに対するブローカレッジライセンスの発行などを司る金融監督当局がラブアン金融サービス庁(Labuan Financial Services Authority, Labuan FSA)だ。一般財団法人ロングステイ財団によれば、常夏の国マレーシアは日本人が移住したい国として12年連続第1位に選ばれており、根強い人気を誇っている。[1]マレーシア語で良港を意味するラブアンのオフショア市場としての認知度も日に日に高まってきている状況のようだ。

イスラエルを拠点とする法律事務所Nir Porat & Co.の金融規制部門ヘッドを務めるDavid Woliner氏によれば、ラブアンにてライセンス取得を目指す企業は、1名の株主と2名の取締役を構成する必要があるという。取締役に関しては最低でもディプロマ(diploma、準学士号)レベルの教育水準と3年の業務経験が求められるが、他のオフショア市場の多くが取締役に最低5年の経験を求めていることから、ラブアンの規制が相対的に緩いと捉えることができるようだ。また50万マレーシア・リンギット(13万ドル)をラブアンの地元銀行に預け入れる必要があるが、最低預入水準を満たしていれば、ベリーズやバヌアツで導入されているような資本金規制はなく、自由に資金を利用することが可能となる模様である。

加えて、ラブアンに居を構えるオフィスには従業員を2名配置する必要があるが、取締役やCEOがラブアンに在住する必要はない。そしてラブアンでの事業を維持するために年間で最低10万リンギ(約25,000ドル)を要し、事業で得た利益の内3%を税金として納める必要があるという。なお、他のオフショア市場が求めているような専門職業賠償責任保険への加入は求められていない。また欧州の規制強化を受け、トレーダーが高レバレッジを求めオフショアへシフトする中、ラブアンにおいてはブローカーが子会社を通じて全ての金融商品に関して最大レバレッジ100倍の金融サービスを提供することが可能となる。そしてVISAが無認可ブローカーの取締強化を行うなど、オフショアブローカーが充実した決済サービスの提供に苦慮する中、ラブアンでは銀行サービス機能へのアクセスも確保されるとのことだ。なおWoliner氏は、ラブアンは企業誘致に積極的という高い評価を得ており、今後多くのブローカーがラブアン進出を目指す可能性があると見ている。

さらに業界の専門家によると、ラブアンのライセンス発行プロセスは比較的シンプルで短期間にて行われ、企業は1か月以内で条件付きライセンスが発行されたのち、僅かその3か月後には正式ライセンスを取得できる見通しとのことである。

一方では、バヌアツ共和国金融庁(Vanuatu Financial Services Commission,VFSC)がリテールブローカー向けの新規制策を明示するなど、他のオフショア市場は規制強化を図っている状況である。ラブアンは他のオフショア市場と比較して規制が緩いことに加え、銀行サービス機能が確保されていることなどを勘案すると、ブローカーにとってラブアンのブローカレッジライセンスを取得するメリットは大きく、今後ブローカーのラブアンへのシフトが加速するかもしれない。

release date 2019.03.27

出典元:

ニュースコメント

国際的な金融オフショアセンターへと発展したラブアン

マレーシアの連邦直轄領の一つであるラブアンは、日本ではまだそれほど知名度は高くないが、近年経済特区として目覚ましい発展を遂げている。1990年にマレーシア政府によってオフショア会社法が制定され、オフショア金融センター(LOFSA)が設立されて以来、タックスヘイブン(租税回避地)として注目を集めている。香港やシンガポールなどのアジア主要金融センターと比較すると規模は小さいものの、東南アジアのオフショアセンターとして世界各国の金融機関や企業、投資家、資産家達も強い関心を示しているようだ。ラブアン金融サービス庁(Labuan FSA)によると、2018年の会社設立件数は前年と比べ12.5%増加しており、進出企業はアジア太平洋地域の企業が60.1%を占めているという。金融業界において、オフショア地域の税制優遇措置はとても重要な役割を果たしており、同アジア地域で比較すると、香港が16.5%、シンガポールが17%なのに対して、ラブアンはわずか3%の税率となっている。急速なブロードバンドの普及と発展により、金融取引を始めとする電子商取引を扱う多くの資産家や投資家も、より税率の低いタックスヘイブン地域を求めラブアンへと資金を移動しているようだ。金融当局の規制強化により、多くのFXブローカーがオフショア市場への移行を検討していることが予想されるが、ラブアン市場への参入は良い選択肢のひとつとなるだろう。


Date

作成日

2019.03.27

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨KAITOの将来性は?AI活用のWeb3情報プラットフォームKaito AIの特徴や評判を解説

仮想通貨KAITOは、Web3の情報アクセスを変革する次世代プラットフォーム「Kaito AI」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨KAITOの概要や将来性、Kaito AIが提供するYapsの仕組み、SNSでの評判などを解説します。
update2025.02.19 19:00

FXGTでの出金拒否報告が増加中、これまでとは違う危険な兆候とは?

FXGTの出金拒否の報告・原因のほか、ユーザーの流出状況などをまとめました。SNS上ではここ数ヶ月の間に出金拒否に関する投稿が増加しており、ユーザーの間では「自分も出金拒否されるのでは」「FXGTがつぶれるのでは」といった不安が広がっています。
update2025.02.14 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

仮想通貨SOSOの将来性は?AI活用の投資分析プラットフォームSoSoValueがトークン発行

仮想通貨SOSOは、中央集権型金融の効率性と分散型金融の透明性を組み合わせた投資分析プラットフォーム「SoSoValue」のガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨SOSOの将来性やSNSでの評判、SoSoValueの特徴などを解説します。
update2025.01.24 19:30

Bybitからビットフライヤーに送金してみた!送金手数料や反映時間は?

Myforex編集部では、実際にBybitからビットフライヤー(bitFlyer)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、送金手順のほか、送金手数料やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.02.19 19:30

【全て無料】MT4/MT5を日本時間にできるインディケータのおすすめが決定!

MT4/MT5に表示されている時間は、インディケータを使えば簡単に日本時間へ変えられます。MT4/MT5を日本時間表示にしておくと、各市場のトレンドを把握しやすくなったり、経済指標の発表時間に合わせた取引がしやすくなったりと、何かと便利です。
update2024.12.04 20:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

MacのMT4/MT5はダウンロードしても使えない?文字化けや起動しない時の対策方法や最終手段を紹介!

Mac版のMT4やMT5は不具合が良く発生するため、自分の使い方が悪いのか不安を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、Mac版のMT4・MT5のトラブルや解決方法を解説します。
update2024.12.04 20:30

コインチェックからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間についても解説

コインチェック(Coincheck)からBybitに仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.11.29 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル