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CySEC、個人投資家向けFX・CFD新規制策の導入を検討

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update 2022.01.27 13:30
CySEC、個人投資家向けFX・CFD新規制策の導入を検討

update 2022.01.27 13:30

3つの階層を設け商品別のレバレッジ制限を採用

キプロスの金融監督当局であるキプロス証券取引委員会(Cyprus Securities and Exchange Commission)【以下、CySECと称す】は5月30日、個人投資家を3つのカテゴリーに分類した新たなFX・CFD規制策の導入を検討していることを明らかにした。[1]

EU域内の金融・資本市場の包括的規制策である第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments DirectiveⅡ, MiFIDⅡ)においては、個人投資家とプロフェッショナル顧客のみ分類しているが、CySECは個人投資家においても、FXやCFDなどの商品取引の知識や経験値、また取引資産規模において個々人の間で大きな違いがあることを認識しており、個人投資家層に関しては更に異なる基準で階層分けを行う必要があることを指摘している。

CySECが提案した新規制策案では、個人投資家を3つの階層に分類し、トレードのリスクを的確に把握すると共にリスク許容度も高く、且つハイレバレッジ取引を行うに十分な経験を持つ投資家層を最上位カテゴリーに位置付けている。一方、様々なCFD商品について十分な知識や経験を伴わないことから大きな損失を被るリスクのある投資家層は、下層クラスに分類されることになるようだ。最上層に分類される投資家は、主要通貨ペアに関しては最大レバレッジ50倍、その他の通貨ペアや金、主要インデックスは最大30倍、他のコモディティやインデックスは最大20倍、個別株CFDは最大10倍と、欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】が導入したレバレッジ制限より若干高い設定が可能になる。一方で、CySECが取引を推奨していない仮想通貨CFDに関しては、ESMAの新規制策と同様最大2倍のレバレッジ設定ができるようになるとのことだ。

また、投資家側からも各ブローカーに対し、自身がどの階層に分類されるか問い合わせることが可能であるが、最終的には事前に設定された経済的条件によりカテゴリー分けされる模様である。主要通貨ペア取引において最大レバレッジ50倍を利用できる投資家層は、毎年少なくとも4万ユーロの収益を上げているか、最低20万ユーロの流動資産を有していることが条件となっている。更に最上位に分類される全ての投資家は、過去4四半期に亘る一定規模の高額取引の内、10回分のCFD取引履歴を提出し、自身がCFD取引に精通していると共に、関連リスクを十分に把握していることを証明する必要があるという。なお、CySECが今回提案した階層別のレバレッジ規制策について、2019年4月にポーランド当局が同様の政策導入を検討していることは記憶に新しい。

ESMAのレバレッジ制限が導入されたことにより、高レバレッジを求めるトレーダーはオフショアシフトを進めている。他方で、CySECは市場動向をつぶさにモニタリングすることで、高いリスクを伴う取引を望む投資家層の存在を認識しているようだ。足元では、CySECが専門スタッフを3倍に拡充する計画を示し、より効果的な監督体制の構築も模索している状況である中、キプロス当局はハイレバレッジ取引を求めるトレーダーを念頭に置き、ESMAが採用するレバレッジよりも高い設定が可能な政策の導入を検討する欧州初の監督当局となる見込みである。今回提案された新規制策案は、投資家の取引レベルや経済的条件によって分類されており、非常に合理的な政策といえるであろう。CySECの新規制策案が正式に導入されることが決まった際に、ブローカー各社はリスク許容度に応じたサービス展開を図ることが可能となる一方、トレーダーが今後どのような取引行動を示すか、その動向に注目が集まりそうだ。

release date 2019.05.31

出典元:

ニュースコメント

規制緩和による市場の活性化に期待

CySECはキプロス共和国の金融監督当局として2001年に設立された比較的後発の金融監督当局として知られている。設立当初は先進諸国と比較して緩やかな規制ポリシーを敷いていたことから、多くの海外FXブローカーが同国にオフショア拠点を設置してきた。しかし、2004年にキプロス共和国がEU加盟を果たすと、必然的にCySECもESMA規制下に置かれる事となり、現在ではMiFIDに準拠した厳しい規制内容となっている。FXブローカーへの世界的な規制強化によりブローカーがオフショア市場へシフトする流れが加速する中、自由な取引環境を求めるトレーダーもオフショアブローカーにシフトしている傾向にある。こうした状況を受け、ESMAは経営基盤が不安定で資産保全の観点から問題のあるブローカーでの取引が蔓延することはESMAの定めるトレーダー保護の観点から逸脱しているとの認識から、今回のような規制緩和を行うことでトレーダーをCySEC統制下のブローカーへ呼び戻すべきであると判断した結果であると見られている。世界的に取引高の減少が続くFX市場ではあるが、適切な規制が行われる事により市場が活性化されることに期待したい。


Date

作成日

2019.05.31

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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