Select Language

FCA、ESMAが導入を試みる株式取引義務に異議

FCA、ESMAが導入を試みる株式取引義務に異議

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
FCA、ESMAが導入を試みる株式取引義務に異議

update 2021.08.31 15:26

ESMA案は投資家へのアクセスや上場市場の選択を制限

英国の金融監督当局である英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】は29日、欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】が英国の合意なき離脱(ハードブレグジット)が生じた際に導入を試みている株式取引義務(Share Trading Obligations)【以下、STOsと称す】について反対の意思を表明した声明文を公表した。[1]

ESMAが2019年3月に公表したSTOsにおいては、英国に拠点もしくは上場する企業であったとしても、英国内で同国またはEU加盟国の株式を取引できないスキームとなっていた。その後、ESMAは5月29日に規制策を一部緩和し、ハードブレグジットが起きた場合には、EU域内の企業が英国にて同国株式を売買できるようにする一方、英国の証券取引所に上場する欧州企業に関してはEU域内企業への投資を禁じる方針を示した。[2]

今回のESMAの規制スタンスの変化は、英国の証券取引所及び同取引所に上場する企業にとってネガティブなものであると見られるため、同国の利益を保護しようとするFCAがESMAの規制スキームに異議を唱えた形であろう。他方で、株式取引に関して高い流動性を誇る英国市場での取引に規制がかかるため、今回のESMAによるSTOsは、EU域内に拠点を設ける企業にとってもデメリットが予想される。FCAでは、一部の企業は設立拠点と異なる国において、主に取引されているケースがあると指摘し、ESMAの規制策は企業による投資家へのアクセスや上場する市場を選択する自由を制限する可能性があるとコメントしている。

なおFCAは金融パスポート継続措置の利用申請期間を延長し、EEA(European Economic Area、欧州経済地域)諸国に対する事業継続性の確保に対応している状況でもある。ブレグジット動向が混迷を極めているものの、ブローカー各社は引き続きFCA及びESMAの最新の規制動向も注視する必要がありそうだ。

release date 2019.05.30

出典元:

ニュースコメント

市場を揺るがすブレグジット情勢

ESMAは今月29日、英国がハードブレグジットによりEUを離脱する場合でも、EU域内の企業や投資家は引き続きロンドン証券取引所であらゆる英国株を取引できると発表し、3月に打ち出したガイダンスを覆した。方針転換について、ESMAは英EU離脱により混乱が生じるリスクを最小限に食い止めるためだと説明している。ESMAの当初方針では、ある銘柄の主要上場先がロンドンでもEU域内の投資企業は域内市場で取引する必要が生じ、ボーダフォンなどの英国とEU域内を股にかけて活動する企業の株式に影響する可能性が懸念されていた。ブレグジットを巡っては、三菱UFJ証券がアムステルダムに現地法人を開設するなど、ブレグジット後の継続的なサービス提供を行うために各社が対応に莫大なコストを費やしている。一方、今月24日、イギリスのメイ首相が保守党党首からの辞意を表明するなど、今後のEU離脱合意に関して先行きの不透明感が増す中、金融規制を始めとした各種法令に今後さらなる変化が生じる可能性が予想されており、金融市場への影響が懸念されている。一刻も早くブレグジットに決着がつき、市場に安定がもたらされることに期待したい。


Date

作成日

2019.05.30

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

オオカミコイン(OKM)は怪しい?オオカミプロジェクトの特徴やSNSでの評判

オオカミコイン(OKM)は、オオカミカードを発行するオオカミプロジェクトの仮想通貨です。海外取引所のMEXCに上場していますが、SNS上では怪しいという声も見られます。本記事では、オオカミコインの特徴、SNSでの評判、怪しいポイントなどを紹介します。
update2025.04.11 19:00

ワールドコイン(WLD)の換金方法は?日本円に現金化する手順を解説

ワールドコイン(WLD)は、OpenAI社のCEOであるサム・アルトマン氏らが手掛ける仮想通貨プロジェクトです。登録したユーザーには、仮想通貨WLDが無料配布されます。当記事では、ワールドコインを日本円に換金する手順や、換金時の注意点などを解説します。
update2025.04.16 19:30

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

MT4/MT5対応の通貨強弱インディケータを徹底比較!無料で使えるおすすめは?

通貨強弱インディケータを使うと各通貨の強弱が一目で分かり、初心者でも視覚的に相場状況を把握できます。この記事では、無料のおすすめインディケータを比較し、選び方や活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:30

MT4/MT5のローソク足の色は4つのポイントでカッコよくできる!

MT4/MT5は、自分だけのオリジナルデザインにチャートをカスタマイズできます。配色や表示設定を少し変えるだけで、補色やコントラストを意識することで、より視覚的に分かりやすいチャートにすることも可能です。この記事では、誰でも簡単にできるチャートのカスタマイズ方法を4つのポイントに分けてご紹介します。
update2025.02.12 19:30

MT4/MT5の自動売買をスマホだけでやるって本気?!EA設定はPCに任せよう

「MT4/MT5の自動売買をスマホで完結させたい」と考える方もいるでしょう。スマホだけで自動売買の設定やEAを稼働させることは可能ですが、操作性の低さから現実的ではありません。本記事ではMT4/MT5の自動売買におけるスマホの活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:00

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30

GEMFOREX問題が大手メディアに掲載、世論を動かせるか注目

複数の大手メディアがGEMFOREX問題を取り上げたことが話題になっています。GEMFOREX騒動の経緯や2億円が未出金のままになっている元ユーザーの体験談などが掲載され、ネット上ではこの件を拡散して、世論を動かして事件化しようとする動きも見られます。
update2025.04.17 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル