Select Language

JPモルガンチェース、イーサリアム向けのプライバシー機能を開発

JPモルガンチェース、イーサリアム向けのプライバシー機能を開発

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
JPモルガンチェース、イーサリアム向けのプライバシー機能を開発

update 2021.08.31 15:26

オープンソース化によるプロジェクトの発展に期待

米国大手投資銀行であるJPMorgan Chase & Co.(本社:270 Park Avenue New York, NY 10017[1])【以下、JPモルガンチェースと称す】が、イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン向けのプライバシー機能を開発したことを明らかにした。

報道によると、JPモルガンチェースは、プライバシー機能の開発に際してZetherプロトコルの拡張を実施し、将来的には同社の独自ブロックチェーンシステムであるQuorum(クォーラム)への実装を計画しているという。Zetherは、スタンフォード大学のDan Boneh氏をはじめとする研究者グループによって考案されたプロトコルだが、最近では、ゼロ知識証明を用いた匿名取引を実現する汎用的なソリューションとして注目を集めている。ビットコイン(Bitcoin)クライアントがUTXO(Unspent Transactional Output)ベースのアプローチを採用しているのに対し、イーサリアム上でのZetherの匿名取引はアカウントベースの構造を使用している。

JPモルガンチェースのQuorumおよび仮想通貨戦略部門の責任者であるOli Harris氏は、この新しいプライバシー機能について以下のように発言した。

基本的なZetherでは、口座残高と送金元口座は特定できないようになっていますが、利用者自身の身元が秘匿されているわけではありません。しかし我々はこの問題を解決することができました。プライバシー機能を強化する証明プロトコルを提供し、トランザクションをグループ化したことで送金者および受金者の情報を隠すことに成功したのです。

Oki Harris, Head of Quorum and Crypto-Assets Strategy at JPMorgan Chase & Co. - CoinDeskより引用

JPモルガンチェースは、このプライバシー機能をオープンソース化することを決めており、Quorumだけでなく、イーサリアムを基礎とした企業向けのブロックチェーンでの利用も予想される。Harris氏によると、オープンソース化がコミュニティの構築やユースケースの蓄積を促し、長期的にはQuorumの成長に貢献するという。一方で、複雑なゼロ知識証明のスキームを内包するこの機能には、計算量が多くブロックチェーンが遅延する原因になるという課題も残っており、Harris氏がその改善に取り組んでいる模様だ。現状では高いパフォーマンスを出すことに成功しているようだが、正式な測定値は後日報告されることになっている。

JPモルガンチェースは、ここ1年間、ブロックチェーン分野で精力的に活動しており、Quorumに参画する企業向けのInterbank Information Networkに220行もの銀行を引き入れる結果を出し、Microsotf Azureと機能統合を行うことでQuorumのオープンソース化を実現した。加えて、JPM Coinと呼ばれる独自開発のステーブルコインをローンチするなど、JPモルガンチェースの躍進が続いているだけに、今後の動向にも注目していきたい。

release date 2019.05.29

出典元:

ニュースコメント

オープンソース戦略による拡大を目指す

JPモルガンチェースが独自に開発するQuorumは、既存の銀行送金に利用されるSWIFTや、ブロックチェーン上でのクロスボーダー送金を可能とするリップル(Ripple)の競合となり得る存在だと言われている。このQuorumには、カナダ五大銀行のカナダ・ナショナル銀行やスペイン大手のサンタンデール銀行、日本のメガバンクであるみずほ銀行と三井住友銀行など、名だたる金融機関が参画しており、低コストで効率的なバンキングネットワークを構築しつつあるという。また、MASとカナダ銀行によるクロスボーダー決済の実証実験が成功した際は、JPモルガンとのパートナーシップ契約が締結され、Quorumの技術を基にした開発が行われた。世界的な投資銀行であるJPモルガンチェースが主導することにより、Quorumは他のブロックチェーンプロジェクトとは比べものにならない規模感で動いているが、今のところJPM Coinを介した企業向けのプライベートな送金システムとしての利用に留まっているようである。JPモルガンチェースがQuorumのオープンソース化を決定したことで、今後このシステムがより広い範囲で普及することに期待したい。


Date

作成日

2019.05.29

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨KAITOの将来性は?AI活用のWeb3情報プラットフォームKaito AIの特徴や評判を解説

仮想通貨KAITOは、Web3の情報アクセスを変革する次世代プラットフォーム「Kaito AI」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨KAITOの概要や将来性、Kaito AIが提供するYapsの仕組み、SNSでの評判などを解説します。
update2025.02.19 19:00

FXGTでの出金拒否報告が増加中、これまでとは違う危険な兆候とは?

FXGTの出金拒否の報告・原因のほか、ユーザーの流出状況などをまとめました。SNS上ではここ数ヶ月の間に出金拒否に関する投稿が増加しており、ユーザーの間では「自分も出金拒否されるのでは」「FXGTがつぶれるのでは」といった不安が広がっています。
update2025.02.14 19:30

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

仮想通貨SOSOの将来性は?AI活用の投資分析プラットフォームSoSoValueがトークン発行

仮想通貨SOSOは、中央集権型金融の効率性と分散型金融の透明性を組み合わせた投資分析プラットフォーム「SoSoValue」のガバナンストークンです。当記事では、仮想通貨SOSOの将来性やSNSでの評判、SoSoValueの特徴などを解説します。
update2025.01.24 19:30

Bybitからビットフライヤーに送金してみた!送金手数料や反映時間は?

Myforex編集部では、実際にBybitからビットフライヤー(bitFlyer)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、送金手順のほか、送金手数料やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2025.02.19 19:30

【全て無料】MT4/MT5を日本時間にできるインディケータのおすすめが決定!

MT4/MT5に表示されている時間は、インディケータを使えば簡単に日本時間へ変えられます。MT4/MT5を日本時間表示にしておくと、各市場のトレンドを把握しやすくなったり、経済指標の発表時間に合わせた取引がしやすくなったりと、何かと便利です。
update2024.12.04 20:00

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

MacのMT4/MT5はダウンロードしても使えない?文字化けや起動しない時の対策方法や最終手段を紹介!

Mac版のMT4やMT5は不具合が良く発生するため、自分の使い方が悪いのか不安を感じている人もいるのではないでしょうか。本記事では、Mac版のMT4・MT5のトラブルや解決方法を解説します。
update2024.12.04 20:30

コインチェックからBybitに送金してみた!送金手数料や反映時間についても解説

コインチェック(Coincheck)からBybitに仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験やSNSでの口コミなども交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.11.29 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル