Select Language

インフルエンサー頂上決戦

アマギフ3,000円が当たる

豪州、金融分野の紛争解決に関する新規制策を導入

豪州、金融分野の紛争解決に関する新規制策を導入

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 14:48
豪州、金融分野の紛争解決に関する新規制策を導入

update 2022.01.27 14:48

効果的な紛争解決スキームの構築を画策

オーストラリアの財務大臣を務めるJosh Frydenberg氏は4月6日、同国の金融機関の不正行為を調査するために立ち上げられた王立委員会(Royal Commission)の勧告に基づき、効果的に金融分野の紛争解決を図るべく新たな規制策を導入することを発表した。[1]

オーストラリアが今回採り入れる新規制策では、金融サービスライセンス保有企業やクレジット分野のライセンスを取得する業者(クレジットライセンシー)、登録可能なスーパーアニュエーション(退職年金)関連の事業体(Registrable Superannuation Entities)の全てが、消費者や小規模事業者との間に生じた紛争解決を図る際、金融分野の紛争解決機関であるAustralian Financial Complaints Authority【以下、AFCAと称す】の調査及び手続への協力を求められるとのことだ。またAFCAの権限強化を図ることで、係争中の事案に関連した全ての文書や記録を閲覧することができるようになるという。なお、新規制策は法的拘束力を有しており、違反する企業に対してはオーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investment Commission)【以下、ASICと称す】により制裁が課せられる可能性があるとのことだ。

AFCAは政府の決定への支持を表明しており、AFCAのチーフオンブズマン兼CEOであるDavid Locke氏は、消費者や小規模事業者が関わる金融関連の苦情及び紛争を効率的且つ効果的に解決すべく大きな一歩を踏み出したとコメントしている。またAFCAは紛争解決に繋がる文書の提出をしない場合、当該企業に不利な事実を推定する(adverse inference)権限を有してもいるという。

事業更に消費者向けサービスを提供する全ての金融サービスライセンス保有企業、クレジットライセンシー、スーパーアニュエーション・トラスティ(退職年金資産管理を行う受託者)及びその他の金融機関は、AFCAへの加入が強制される。ASICも新たな紛争解決スキームを効果的に適用させるべく、金融サービスを手掛ける企業がAFCAの会員になることの重要性を強調しており、まさに政府と規制当局が足並みを揃えて新規制策の推進を図っている状況だ。ASICは2019年3月下旬に、AFCAに加入しない金融サービスプロバイダー2社の金融サービスライセンスを剥奪しており、制裁を科すことも辞さない確固たる厳しい姿勢を示している。政府・監督当局が一丸となって新規制策を遂行することで、効果的な紛争解決や不正防止に繋げると共にオーストラリアの金融システムへの信頼回復を図っていると推察できる。

なお、AFCAが開設された2018年11月1日から2019年3月31日までの5か月の間に、29,873件の苦情が持ち込まれたとのことだ。クレジットや損害保険分野の苦情が最も多く、投資分野は全体の5%を占めている模様である。

他方で、2019年3月にASICがFortradeにライセンスを発行したことが明らかとなり、ASICの規制スタンスに変化の兆しが見え始めてもいる。ブローカー各社にとっては、顧客からの信頼を勝ち取ると共に継続性のある事業経営を実践するためにも、新たな規制策に柔軟に対応していく姿勢が求められているであろう。

release date 2019.04.10

出典元:

ニュースコメント

金融業界信頼回復への布石となるか

近年のオーストラリア金融業界への信頼低迷の背景には、国内4大銀行の不祥事が重なり、政府や世論からの不信感が高まっていることが挙げられる。中でも、2017年8月に国内最大手のコモンウェルス銀行(CBA)がマネーロンダリング疑惑のある取引について、当局への報告義務を怠ったとして提訴された際には、その後最高経営責任者(CEO)が交代する事態にまで発展した。相次ぐ金融業界の不正発覚を背景に、オーストラリア政府は2017年12月14日に王立委員会を設置しており、銀行の不正に対する本格的な調査に乗り出すことを決定している。加えて、近年の住宅価格の下落がオーストラリアの経済全体に悪影響を与え減速の兆しが表れつつある中、今年5月に総選挙実施を控える現モリソン政権は、経済・金融政策を最重要政策とし、今回の新たな規制策の発表により国内の金融業界の信頼性回復を図るとともに、消費者にとってより安全な金融サービスの提供環境を整備したい考えであるようだ。ASICはブレグジット対応策を公表(するなど国内外の様々な政策への対応が迫られているが、新規制をきっかけに、オーストラリア金融業界に良い変化の波が訪れ、消費者、金融業者の両社にとってメリットのある政策が実施されることを期待したい。


Date

作成日

2019.04.10

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Bitgetが代替手段に?Bybitが日本撤退で日本ユーザーの新規登録禁止

Bybitが日本ユーザーの新規登録停止を発表しました。Bybitの代替取引所としてはBitgetが挙げられ、Bybitと遜色ないサービスを利用できます。本記事では、Bitgetの特徴や海外取引所への規制動向などを解説します。
update2025.11.25 19:00

豪華なのに難しい?XMTradingが開催中のクリスマス入金ボーナスプロモーションは「アリ」なのか?

XMTradingで最大$25,000を獲得できる入金ボーナスキャンペーンが開催され注目を集めています。一見すると豪華なキャンペーンにみえますが、一般的な入金ボーナスとは条件が異なり、一部では条件が厳しいとの声もあります。本記事では、参加する価値のあるイベントなのかを説明します。
update2025.11.26 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

Vantage Tradingが年末トレード大会を開催!ランク外でも賞金獲得のチャンスあり

Vantage Tradingが、年末恒例となる大型トレード大会「年末ミリオンジャンボ2025」の開催を発表しました。今回のイベントでは副賞も用意されているので、ランク外でも賞金獲得のチャンスがあります。この記事では、参戦を検討しているユーザー向けに、各種条件やルールを説明します。
update2025.11.28 19:00

Exnessの乗り換え先としてXSはアリ?スペックを比較

取引環境の良さから玄人にも人気のExnessですが、最近は出金トラブルなどが発生しており、今後の取引環境に不安を抱くユーザーも増えています。本記事では、有力な乗り換え先であるXS.comと取引環境・条件を比較し、乗り換え先として相応しいかどうかを検討します。
update2025.11.20 19:00

Bybit P2P利用で銀行口座凍結・詐欺容疑者に?海外FXユーザーが知るべき巻き込まれリスクとは

Bybit P2Pを利用したユーザーが銀行口座凍結されたことに加え、詐欺容疑者として取り調べを受けたというSNS投稿が話題になっています。本記事では、話題となった投稿の内容や、海外FXユーザーがP2P取引の利用を避けるべき理由などを解説します。
update2025.11.12 19:00

Funded7で出金が認められない事例が増加?ルールの不透明さが原因か

Funded7で出金拒否に関する投稿がSNS上で増加しており、利用者の間で不安が広がっています。「利益が取り消された」「短時間取引が理由で無効になった」などの報告が投稿されています。当記事では出金拒否の原因を整理し、他のプロップファームとFunded7のルールを比較します。
update2025.11.21 19:00

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

SwiftTraderが資金難?SNSで出金トラブル報告が増加

2025年以降、SwiftTraderで出金拒否・遅延の報告がSNSで相次いでいます。本記事では報告されている出金トラブルのほか、GEMFOREXとの類似点やSwiftTraderをおすすめしない理由を説明します。
update2025.10.16 19:30

仮想通貨送金対応のBXONEは「使える」eウォレットなのか?海外FXユーザー目線で比較

仮想通貨対応オンラインウォレットとしてBXONEが一部の海外FXユーザーの間で注目されています。本記事では、BXONEが「使える」オンラインウォレットなのか海外FXユーザー目線で他社と比較します。
update2025.12.09 19:00
promotion promotion

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル