作成日
:2019.03.19
2022.01.27 15:01
オーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investment Commission)【以下、ASICと称す】が、2年ぶりとなるリテールFXブローカー向けライセンスを、英国・ロンドンを拠点とする海外FX・CFDブローカーであるFortrade(本社:Michelin House, 81 Fulham Road, Lodon, SW3 6RD
)へ発行したことが明らかとなった。ASICのブローカーに対する規制スタンスに変化の兆しが見え始めている状況だ。ASICやオーストラリア議会が、既存の規制策の修正または新たな規制枠組みの構築に向け動きだしており、例えばASICが2018年4月に店頭デリバティブ取引に関する顧客資金管理規定の改定を行っている
ほか、議会は金融商品の販売や流通を規制する権限をASICに与える法案作成に向け協議を進めている。規制当局及び議会の一連の動向に加え、この度ASICが長らくの沈黙を破ってライセンス申請を認可したことを鑑みると、ASICが規制方針を転換し、今後もリテールブローカーへライセンスを発行すると共に、グローバルな規制当局と足並みを揃えた規制枠組みを採用する可能性があるだろう。2008年のグローバル金融危機以降、世界各国の監督当局が協調する形で規制枠組みの構築がなされてきたことに加え、足元では欧州当局による更なる規制強化がなされている状況だ。そのような環境下において、ブローカー各社は引き続きハイレバレッジ取引を認めるASICライセンスの取得を選好してきた。そのためASICライセンスを保有することに対する付加価値が非常に高まっていたが、今後ASICがリテールブローカーに新たなライセンス付与を認めることで、その価値にも影響をもたらすものと見られている。
またASICは、ブローカーがASICライセンスを求める背景を十分に認識しており、ハイレバレッジ取引を望む顧客基盤を有する欧州市場にてオーストラリアのリテールブローカーが提供するサービス状況を厳密にモニタリングしていく意向も持ち合わせているようだ。そしてASICは、G20(日本を含む主要7か国財務大臣・中央銀行総裁会議に先進国や新興国、IMF、世界銀行などを加えたメンバーからなる会議)を構成する国々の監督当局と、リテールFX分野の効果的な規制策の導入などに関して連携を密にとってきている。数年前には、オーストラリアを地盤とする企業が日本人をターゲット顧客と定め積極的なサービス提供を行っていたが、ASICが日本の金融庁(Japan Financial Services Agency, JFSA)と連携を図ることで、オーストラリアのブローカーが日本人顧客を対象としたサービス提供に対する規制策を一部変更してもおり、ASICがブローカー動向を継続的に注視していることが伺えよう。
他方で、欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority, ESMA)は、当面欧州の顧客が海外ブローカーと口座開設を行うことに対して規制策を講じるようには見受けられない。その結果として近年はブローカーがオフショア市場へシフトを進めていることに伴い、未認可ブローカーの取締りという新たな課題も浮上してきている状況だ。
なおこの度ASICライセンスを取得としたFortradeは、中規模サイズの他の多くの競合がひしめく中、ここ数年の間に目覚ましい飛躍を遂げている。Fortradeの2017年の営業収益は1,610万ポンドと、2016年の1,590万ポンドから収益拡大に成功している。欧州全域で規制強化がなされる中、Fortradeは入念な準備のもと事業多角化を進めており、これまでの英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority, FCA)とベラルーシ国立銀行(National Bank of the Republic of Belarus, NBRB)の認可に加え、この度リテールブローカーとしては2年ぶりにASICライセンスの取得に漕ぎつけた。英国を拠点とする海外ブローカーであるFortradeによるASICライセンスの取得をきっかけに、Fortradeの一層の事業拡大とリテールFX業界全体の更なる活性化に結び付くことが期待されよう。
release date 2019.03.19
近年の世界的な規制強化の流れにより、比較的規制の緩いオフショア市場へ拠点を移すブローカーも数多くあるなか、今回の数年ぶりとなるASICライセンス発行の背景には、ASICの規制スタンスに変更が生じて来ていると見て間違いはないだろう。オフショア市場へのシフトが進んだ一番の要因は、ESMAによる規制強化であるが、海外FX業者の最大の魅力であるハイレバレッジ取引を認めているASICライセンスを保有することは、ブローカーにとってトレーダーの誘致に非常に有利であると言える。現在、ESMAが主要FX通貨ペアの最大レバレッジを30倍とするところ、ASICでは500倍のレバレッジ設定が可能となっている。しかし、先進国の金融規制当局は、規制内容を共有していく動きがあるため、今後ASICも欧州などと同様の動きを取ることも考えられ、そうなるとASICライセンスの最大の魅力となるハイレバレッジが規制の対象となることは十分に考えられる。引き続き、ASICの動き、並びに規制内容の変化に注視していきたい。
作成日
:2019.03.19
最終更新
:2022.01.27
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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