作成日
:2019.04.09
2021.08.31 15:26
今月7日、人気ビットコイン(Bitcoin)ウォレットサービスのElectrumは、大量のDOS(Denial of Service)攻撃を受け、これまでに数百万ドル単位の資金を盗難された可能性があることを明らかにした。
この件に関して詳細な情報は公開されていないが、Electrumは、より堅固なバージョンのサーバーを構築しており、同時に問題が解決するまでサービスの利用を控えるようユーザーに喚起している。匿名の情報によると、ユーザーの中には、14万ドル相当の仮想通貨を盗難された者も存在し、被害規模の大きさが伺える。
犯人のハッカーは、ユーザーを偽のサーバーに誘導し、ウォレットから特定のアドレスへの不正送金を実行しているようだ。セキュリティ研究者によると、偽装されたElectrumソフトウェアをインストールしたユーザーは、瞬時にウォレット内の資金を失っているという。今回の攻撃は、古いバージョンのソフトウェアを利用するユーザーを対象としたもので、新しいバージョンでセキュリティ強化を実施したことに対する報復行為だとの見解もある。
2011年に安全性の高いビットコイン向けのウォレットサービスの提供を開始したElectrumは、これまでも、Electrumstelarと呼ばれるトロイの木馬やその亜種による攻撃や、フィッシング詐欺などの被害を受けており、一部コミュニティは、今回のDOS攻撃も、これらと何らかの関連性があると疑っているようだ。真実は明らかになっていないが、現在も続くサイバー攻撃への対策として、開発者は、Electrumユーザーに公式ウェブサイトまたはGitHub以外からソフトウェアをダウンロードしないよう警告している。
release date 2019.04.09
ウェブサービスの普及やネットワーク環境の発達により、DOS攻撃による被害は、近年拡大傾向にあるが、その対象となる範囲は広く、仮想通貨関連サービスも例外ではない。例えば、2017年6月には、大手仮想通貨取引所のBitfinexが、12万BTCの盗難被害にあっており、続く2018年には、サイバー攻撃によるサーバーへの負荷が原因でBitfinexはサービスの一時停止にまで追い込まれた。また、大手取引所のバイナンスやBittrexなども同様の被害を経験し、DOS攻撃は仮想通貨業界の脅威として認識される結果となった。対策としては、昨年アカマイがアンチDDoSサービスの開発を発表している。また、同じIPアドレスからの複数回のアクセスを禁止することや専用ツールを構築することも有効な対策方法とされているが、ハッカー側の技術も向上しているため、イタチごっこの状態が続いているという。そのため、仮想通貨関連サービスを始めとするウェブサービスでは、サイバーセキュリティ分野における開発の重要度が更に増すことが考えられるが、Electrumは、この問題に対してどのような策を講じるのか、今後も注視していきたい。
作成日
:2019.04.09
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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