Select Language

シンガポール金融管理局、カンボジア国立銀行と提携

シンガポール金融管理局、カンボジア国立銀行と提携

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 14:52
シンガポール金融管理局、カンボジア国立銀行と提携

update 2022.01.27 14:52

フィンテック分野の発展に向け関係強化

シンガポールの中央銀行として機能している金融管理局(Monetary Authority of Singapore)【以下、MASと称す】は4月4日、カンボジアの中央銀行であるカンボジア国立銀行(National Bank of Cambodia)【以下、NBCと称す】と、フィンテック分野の発展に向けた関係強化を図る覚書(MoU)を締結したことを発表した。[1]

MASとNBCは今回のパートナー契約を通じて、フィンテック分野のトレンドや技術動向などに関する情報共有を図るとのことだ。またフィンテック関連の規制策の導入に向けた専門知識・ノウハウの共有や、より効果的なクロスボーダー(多国間で行われる)の協力体制を構築すべく共同研修会を実施する見通しである。

MASとNBCのMoU締結に際し、MASのデピュティ・マネージングディレクターを務めるJacqueline Loh氏とNBAのデピュティ・ガバナーであるH.E. Neav Chanthana氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。

今回の覚書の締結をきっかけに、NBCと長期的な協力体制を構築し、両国の個人及び法人の利益となる新たな機会の創出に向けたフィンテックの活用に注力する意向であります。そしてNBCと協働し、両国だけに留まらずASEAN地域における金融業界の発展を促す規制枠組みを構築することを検討しております。

Jacqueline Loh, Deputy Managing Director of MAS - MASより引用

この度のMoUを通じて、我々はMASとフィンテック分野における新たな協力体制の構築に向けた一歩を踏み出しました。今後はフィンテックを活用して、より効率的な決済システムやファイナンシャルインクルージョン(誰もが金融サービスへのアクセスと恩恵を受けられるようにすること)を促進すべく、MASとフィンテック分野の様々なノウハウや情報を共有する計画であります。

H.E. Neav Chanthana, Deputy Governor of NBC - MASより引用

フィンテックの分野は目覚ましい勢いで技術革新及び金融サービスへの活用が進んでおり、フィンテック企業が絡んだM&A(企業の合併・買収)も活発な状況だ。足元ではTradingViewがTradeItを買収したことに加え、BroadwayはBarracuda FXを買収している。今回のMASとNBCによるパートナー契約を通じた関係強化のように、各国規制当局が連携する形でいち早く経済やビジネス慣行にマッチした規制枠組みを構築することが期待されよう。

release date 2019.04.05

出典元:

ニュースコメント

手軽に利用できる反面、犯罪に利用される可能性も

2017年の世界銀行の発表によると、カンボジアの成人国民の銀行口座保有率は22%となっており、国民の多数が銀行口座を保有していないという結果になっている。カンボジアに限らずASEAN地域の発展途上国では国民の銀行口座保有率が高いとは言えない状況だ。経済発展に伴い、送金や決済などの金融サービスへのニーズが高まる中、近年では銀行に変わってフィンテックがその役割を果たしている。今回のMASとNBCのMoU締結の趣旨はASEAN地域全体でのフィンテックのさらなる発展のためとされているが、本質は両国の金融規制当局が、銀行の代わりとなり人々に浸透しつつあるフィンテックサービスへの規制及び監視強化を強めて行くことと見ることができる。スマートフォンの普及により、多くの国民がフィンテックサービスを利用する機会が増えているが、マネーロンダリングなどの犯罪防止のため、サービス利用開始時には金融規制当局の規制の元、銀行口座同様にKYCによる本人確認手続きを行うなどのノウハウが必要となってきており、ASEAN地域の金融センターであるシンガポールの持つ規制ノウハウを、ASEAN地域の国々へ技術移転することが目的であると捉えられよう。手軽で簡単に利用できることが特徴であるフィンテックであるが、その反面犯罪に利用される機会も多いため、金融当局の適切な規制により、安全な利用環境が確保されることを期待したい。


Date

作成日

2019.04.05

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル