Select Language

マウントゴックス、管財人が多額の債権届出を承認

マウントゴックス、管財人が多額の債権届出を承認

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:26
マウントゴックス、管財人が多額の債権届出を承認

update 2021.08.31 15:26

695億円以上の資産を保有も全額の支払いには不足

東京地方裁判所に提出された文書によると、当時、世界最大となるハッキング被害を受けた仮想通貨取引所のMt Gox【以下、マウントゴックスと称す】が、債権者に対して現金または仮想通貨による補償を実施する方針を固めていることが明らかになった。

公開された文書では、マウントゴックスは、債権者から80万2,521BTC(約32億3,325万6,500ドル)、79万2,296BCH(約1億2,495万3,000ドル)、3,816万5,664ドル、その他法定通貨による債権届出を承認したことがわかっている。マウントゴックスの管財人である小林信明弁護士は、今後数日の内に請求への回答を債権者に通達すると発表[1]しており、債権者は、それぞれ同社のオンラインシステムやEメールなどを通して、その結果を受け取れるようになっているようだ。なお、日本の民事再生法により、届出を提出しなかった債権者に関しても、マウントゴックスのデータベースにある口座残高に基づき、請求として承認される予定となっている。

今月20日の発表によると、現在、マウントゴックスは、695億5,308万6,521円の現金資産を保有しており、その内、158億9,458万8,396円に関しては、債権者の利益を確保するために信託されているという。加えて、マウントゴックスは、14万1,686.35BTC(ビットコイン)および14万2,846.35BCH(ビットコインキャッシュ)を含む、合計5億9,300万ドル相当の仮想通貨資産を保有しているが、管財人は、同社が更なるビットコイン(Bitcoin)を保有する可能性を調査中のようだ。しかしながら、マウントゴックスの債権者への補償には、十分な原資が確保されておらず、大きな不足が生じており、これに対して、どのような解決策が取られるのかは明かされていない。

ビットコインの取引量において、かつて世界最大を誇ったマウントゴックスは、85万BTCを盗難されるハッキング被害にあった後、2014年4月に破産申請を行ない、同時に民事再生の計画も中止した。その後しばらく事態は進展しなかったが、2018年6月、東京地方裁判所に提出された民事再生を求める請願書が認められたことにより、債権者は、当時保有していた仮想通貨の平均価値に基づいた補償ではなく、現物資産での補償を勝ち取っている。民事再生債権の請求期限は、初め2018年10月22日に設定されていたが、その後、12月26日、最終的には、2019年3月15日にまで延期されたという。

管財人の小林氏は、2017年12月に4億通貨のビットコインとビットコインキャッシュを売却し、市場価格の下落を誘発したとして非難された経緯がある他、先月には、マウントゴックスの債権者を支援するウェブサイトであるGoxdoxが、2018年にマウントゴックスが日本の仮想通貨取引所BitPointを介して数百万ドル相当の仮想通貨を売却したことを示す画像を公開し、これがビットコイン価格の急激な変動に影響を与えた可能性を指摘している。そのため、今回マウントゴックスの債権者への支払いが開始した際にも、大量に市場に流れ込む仮想通貨がビットコイン価格に影響する可能性が懸念されている。

過去の大規模な仮想通貨売却について、管財人の小林氏は、以下のように回答している。

破産管財人は、仮想通貨取引の専門家とも協議の上、可能な限り取引のセキュリティを確保しつつ、取引所における通常の売却ではなく、市場価格に影響を与えない工夫をして、BTC及びBCCを売却しました。

Nobuaki Kobayashi, Mt Got Trustee - マウントゴックスより引用

マウントゴックスの前CEOであるMark Karpeles氏は、同社の電子記録を操作したことにより、有罪判決を受けているが、先週の東京地方裁判所での裁判では、横領や背信行為の罪については追及されなかった。最終的にKarpeles氏には、執行猶予有りで懲役2年6ヶ月の実刑が言い渡されている。

release date 2019.03.22

出典元:

ニュースコメント

日本でも増加する仮想通貨絡みの訴訟

仮想通貨の普及が拡大しつつある日本では、2018年以降、仮想通貨関連の詐欺やトラブルによる訴訟件数も増加傾向を示しているという。最近では、日本最大の仮想通貨取引所であるコインチェックがハッキングにより580億円に相当する仮想通貨ネム(NEM)が流出した事件に関して、コインチェック被害対策弁護士団を中心とした集団訴訟が東京地方裁判所で行われた。最終的には、大手インターネット証券会社のマネックスグループが補償を肩代わりする形で大筋は決着がついたが、取引停止による被害を訴えるものなども存在しており、完全に収束を迎えたわけではない。その他にも、第三者のコンピュータをウィルスに感染させ、仮想通貨モネロ(Monero)のマイニングを実行するクリプトジャッキングを試みたとして、東京都の男性が起訴されるなど、個人レベルでの訴訟も後をたたないという。今回のマウントゴックスの裁判では、CEOであるKarpeles氏の違法な行いを断罪する結論が出たが、債権者への補償に関しては、不透明な部分が多く、今後もその進捗には注目していく必要がありそうだ。


Date

作成日

2019.03.22

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

仮想通貨SOLVの将来性は?ビットコインのステーキングプロトコルSolv Protocolを解説

仮想通貨(暗号資産)SOLVは、ビットコイン(BTC)のステーキングプロトコル「Solv Protocol」のネイティブトークンです。当記事では、仮想通貨SOLVの特徴やSNSでの評判、将来性、トークンの使い道などを解説します。
update2025.01.10 19:30

【無料ツールも】MT4/MT5で複数チャートを同期スクロールし、分析を劇的に変える方法!

MT4/MT5ではインディケータを使うことで複数チャートを同期してスクロールできます。この記事ではMT4/MT5の複数チャートを同期してスクロールできるインディケータについて、実際に使ってみた感想も交えながら紹介していきます。
update2024.11.07 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.12.24 19:30

MT4/MT5でも日本時間を簡単に表示できる!日本との時差については図解で理解しておこう

MT4/MT5では通常、表示される時間が日本時間から6時間ほどずれています。頭の中で「表示される時間 + 6時間」などと計算すれば、日本時間に変換可能です。しかし慣れないうちは少し不便なので、日本時間を表示させる外部ツールも活用されています。
update2024.11.27 19:30

bitbankからBybitに送金してみた!トラベルルールの対応状況も解説

Myforex編集部では、bitbank(ビットバンク)からBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2024.11.28 19:00

Bybitからbitbankに送金してみた!送金手数料やトラベルルールについて解説

Myforex編集部では、Bybit(バイビット)からbitbank(ビットバンク)に仮想通貨(暗号資産)を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験をもとに、送金手順やおすすめの送金通貨などを紹介します。
update2024.12.27 19:00

初心者でも安心!MT4ストラテジーテスターの使い方完全ガイド ~EA活用とバックテストで一歩先のトレードへ~

MT4でEAを使って自動売買をするならストラテジーテスターにより利益が出るかテストが必要です。本記事では、ストラテジーテスターの実践的な使い方や疑問を感じやすいポイントを解説します。
update2025.01.10 19:00

XMTradingがおみくじプロモ2025を実施!総額1,000万円越えのキャンペーン

海外FX業者XMTradingは、1月2日~1月31日までの期間限定で「おみくじプロモ2025」を実施すると発表しました。賞金総額は1,000万円以上であり、抽選で100名に最大75万円の現金がキャッシュバックされます。
update2025.01.06 19:00

このローソク足あと何秒!?残り時間を表示するMT4/MT5のインディケータを比較

MT4やMT5でトレードする際、インディケータを使えばローソク足が確定するまでの残り時間を表示できます。アラート機能付きや残り時間以外の情報も表示するインディケータもあります。本記事では、MT4・MT5にローソク足の残り時間を表示するインディケータを紹介します。
update2024.12.12 19:30

SONYのレイヤー2「Soneium」がIP侵害を理由にミームコインをブラックリスト化

ソニーグループによるイーサリアムレイヤー2のSoneium(ソニューム)が、メインネットローンチの同日に、IP侵害のあるミームコインをブラックリスト化し、SNSで話題となっています。本記事では、Soneiumの概要やブラックリスト化の内容、SNSでのユーザーの声などを解説します。
update2025.01.17 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル