Select Language

ESMA、ブレグジット後のMiFIDⅡ適用計画を公表

ESMA、ブレグジット後のMiFIDⅡ適用計画を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 15:03
ESMA、ブレグジット後のMiFIDⅡ適用計画を公表

update 2022.01.27 15:03

デリバティブ取引規制に変更なし

欧州証券市場監督局(European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は3月12日、英国が合意なき離脱(ハードブレグジット)をした際にも適応する、EU(欧州連合)域内の金融・資本市場の包括的規制策である第二次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive Ⅱ)【以下、MiFIDⅡと称す】の詳細な計画書を公表した。

ESMAがこの度公表した計画書では、特にデリバティブ取引に係るレポーティング規制に関する計画がまとめられている模様だ。なお、既にESMAはデリバティブ取引報告義務の詳細な適用計画を公表しており、今回は直近のブレグジット情勢を勘案した上での最新の計画書と言えよう。

ESMAの規制策において、投資会社などによるデリバティブ取引に関しては、MiFIDⅡにより導入された多目的取引施設(Multilateral Trading Facilities, MTF)や組織化された取引施設(Organised Trading Facilities, OTF)を通じて行わなければならないとされている。そして、それらの認可特定機関の多くが英国を拠点としていることから、仮に英国が合意なき離脱をした場合でも、継続的にデリバティブ取引の執行がなされるか懸念が高まっていた。しかしながらESMAは、これらの施設が既にEU域内に子会社を設立していることから、ブレグジット後のデリバティブ市場において、流動性の枯渇が生じることはないであろうと見込んでいる。また、今後も円滑なデリバティブ取引が行えるよう、十分な流動性が供給されているかモニタリングも続けるという。更にESMAはハードブレグジットとなった場合でも、市場参加者がデリバティブ取引に関する各種規制策を適切に遵守することが可能であると考えているようだ。[1]

また金融機関などによる店頭取引(OTC取引)に関しても、現在は認定公表機構(Approved Publication Arrangement, APA)を通じた取引データの公表が義務づけられている。そして英国がEUから離脱した場合でも、英国を拠点とする投資会社などは第三国に設立されたカウンターパーティーとして分類した上で、継続的に店頭取引データの公表義務を負うことになる模様だ。つまり、英国企業とEU域内の企業が行ういかなる店頭取引も、ESMAのレポーティング規制を継続的に遵守する必要があるという。

ESMAはブレグジット後の金融市場の混乱を避けるべく、粛々と対応策をまとめている状況である。他方でブレグジット情勢は依然混沌としており、その動向を注視する展開が続きそうだ。

release date 2019.03.14

出典元:

ニュースコメント

ブレグジット、期限直前に延期の可能性

英国のEU離脱期限まで、残りわずかとなったが、EU地域と英国の間で、未だに離脱協定案が合意に至らない中、英国下院はブレグジットを延期することを可決した。これにより、英国議会が3月20日を期日に英国政府がまとめた離脱案を承認した場合、英国は6月末日までの一時的な延長をEUに申し出ることになる。このように、依然ハードブレグジットとなる可能性もぬぐい切れない不安定な状態が続く中、ESMAやFCAはワーストケースを想定した規制の適応範囲などをまとめた声明文を公表している。今回、MiFIDⅡに関しては、英国がEUから離脱した場合でも、継続的に取引データの公表義務を負うことになる方針を発表したが、ブレグジットの延期が決定すれば、今後、更に詳しい適用計画が発表されることが予想される。引き続き、ブレグジットが及ぼす金融市場への影響について注視していく必要があるだろう。


Date

作成日

2019.03.14

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」を開催!入金&取引で豪華賞品をプレゼント

FXONが「Nintendo Switch 2 争奪キャンペーン」の開催を発表しました。本キャンペーンでは「Switch 2」のほか、豪華賞品が抽選でプレゼントされます。取引を重ねるごとに抽選権利がもらえる仕組みで、取引するほど当選確率がアップします。
update2025.07.16 19:00

Exnessでスワップフリーが突如剥奪されるバグ発生、対象者には補償予定

海外FX業者のExnessで突如スワップフリーが剥奪されたとするXの投稿が注目を集めています。Exnessはシステムのバグが原因と説明しており、スワップが発生したユーザーに対して補償する方針を示しています。
update2025.07.18 19:00
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル