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UBS、脱税を手助けしたとしてフランスで有罪判決

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update 2021.08.31 15:27
UBS、脱税を手助けしたとしてフランスで有罪判決

update 2021.08.31 15:27

罰金37億ユーロと損害賠償8億ユーロの支払命令

スイス銀行のUBS Group AG(本社:Bahnhofstrasse 45 P.O. Box 8098 Zurich Switzerland[1])【以下、UBSと称す】は、フランスで顧客の脱税を手助けしたとしてパリの裁判所に有罪判決を言い渡されていることが明らかになった。[2]

国家財政検察事務所(National Financial Prosecutor Office)によると、これまでUBSは、テニストーナメントの全仏オープンや高級ハンティングクラブなどに見込み客を招き、フランス国内で脱税の勧誘活動を行なっており、推定100億ユーロ以上の資産をフランス税務当局から隠す手助けをしていたという。この訴えを認めた裁判所は、UBSに罰金37億ユーロを科し、加えて、フランスにあるUBSの子会社には罰金1,500万ユーロと損害賠償8億ユーロ、さらに最高経営責任者6人には最大で罰金50万ユーロの支払いをそれぞれ命じている。

今回のフランスでの裁判は、同社の元従業員が違法行為を告発したことに端を発しており、7年間に亘る調査を経て、昨年秋にスタートしたものだ。調査によると、UBSは、二重の会計システムを利用することにより、国外の口座に資金を逃していた模様で、その違法性は極めて高いとされ、最大で53億ユーロの罰金を科せられる可能性もあるという。UBSはフランス当局との和解を求めたものの、その試みは結局失敗に終わったようだ。

裁判所による有罪判決に対して、UBSは、不服を申し立てて控訴する構えだという。UBSの反論として、検察側の主張が元従業員による根拠のない告発に基づいていることを指摘し、顧客に脱税のための口座開設を進めたという具体的な証拠が存在していないことから、マネーロンダリングにより脱税に関与した事実もないと結論づけている。加えて、UBSは、スイスとフランス両国の法律、欧州の節税指示に基づく義務を尊重して行動したことを前置きした上で、フランスでの不法行為が確認されてない以上、フランスの法律が適応されることは間違いであり、スイスの法律を侵害することになるという別の問題も提起した。

最近、UBSが不正を咎められているのはこれだけではなく、昨年11月には、2006年から2007年に住宅ローン担保債権の違法な販売に関与したとして米国当局から訴えられている。また、続く12月には、アンチマネーロンダリング(AML)プログラムに違反して、特定の顧客口座からの取引を監視することを怠ったことから、米国のFinancial Industry Regulatory Authority(FINRA)に、USB Financial Servicesが450万ドル、UBS Securitiesが50万ドルの罰金を命じられているという。過去を遡って見ても、社内のコンプライアンスに問題があるのは明らかだが、今回の件において、UBSは無罪を勝ち取ることはできるのだろうか。

release date 2019.02.21

出典元:

ニュースコメント

欧州で横行するマネーロンダリング

テクノロジーの進歩で国際的な金融市場のつながりが強まって以来、犯罪を目的としたマネーロンダリングは、世界各国共通の課題として認識されてきた。特に欧州連合の発足や通貨の統合で、比較的自由に資金を移動することが可能となった欧州諸国では、他の地域と比べて問題が深刻化している。例えば、エストニアの銀行には同国のGDPの10倍に当たるマネーロンダリングを目的とした不当なユーロ資金が流れ込んでいるという。この状況に対して、欧州連合は、マネーロンダリング指令を発動して状況の改善を目指してきたが、今回のUBSの件なども含め、犯罪に絡むマネーロンダリングは依然として横行している。この解決策として、仮想通貨などのブロックチェーンベースの透明性が高い送金システムを導入することを唱える者も存在するが、比較的新しい技術のため、政府機関や市場からの信頼が薄く、直近での実現は難しいことが考えられる。しかしながら、最近では、ブロックチェーン分析企業の買収を発表したコインベースなど、高い水準で法令遵守に取り組む大手サービスなども出てきており、実用的な金融システムとして機能し始めているようだ。


Date

作成日

2019.02.21

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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