Select Language

顧客重視のサービスが求められる欧州ブローカー

顧客重視のサービスが求められる欧州ブローカー

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.11.10 13:36
顧客重視のサービスが求められる欧州ブローカー

update 2022.11.10 13:36

取引手数料無料など付加価値の高いサービスを提供する必要

欧州の金融業界では、株式取引手数料を無料とするサービスが、新たなビジネス機会を生み出すものと期待が高まっている。

既に米国においては、株式や仮想通貨などの取引手数料を無料とするトレーディングアプリケーションの開発を行うRobinhoodが提供するモバイルアプリの利用が、個人投資家の間で人気を博している。一方で欧州は、複雑な市場構造や革新的なサービスを提供する企業が出現してこなかったこともあり、これまでにこのようなトレンドは巻き起こっていない。ただし足元では、そのような市場環境を一変させるべく、欧州においてもBUX(本社:Spuistraat 114-b 1012VA Amsterdam Netherlands[1])やFreetradeという新興企業2社が、2019年春より株式取引手数料無料のモバイルアプリをリリースする予定だ。

既存のリテールブローカーにとって、人気が高まる株式取引手数料無料サービスを提供することは、ここ数年以上に亘る数々の失態を晒したことを受け、失墜した業界イメージを取り戻す非常に重要な機会となるかもしれない。リテールブローカーはこれまでに、バイナリーオプションなどのリスクの高い商品を提供したり、ゼロカットシステム(negative balance protection)を採用してこなかったことから、結果として個人投資家の保護を徹底すべく、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority, ESMA)により導入された新たな規制枠組みへの対応に苦慮している展開だ。また欧州当局が、EU(欧州連合)域内の金融・資本市場の包括的規制策である金融商品市場指令(Marktes, in Financial Instruments Directive, MiFID)及び第二次金融商品市場指令(MiFIDⅡ)において厳格な規制を敷いており、その分株式ブローカー間における手数料競争は激しさを増している状況でもある。

今後、リテールブローカーが新たな市場環境に適用する過程においては、顧客と持続的に共存共栄を図ることが大きな課題となり、顧客の損失がブローカーの利益となる利益相反関係を取り除く必要がある。その点、Robinhoodは取引手数料を無料とし、顧客とウィン・ウィン(win-win)の関係を築いているといえよう。ただし、ブローカーの中には、取引手数料無料を謳うものの、実際には顧客にとっては高いコストになる非常に広いスプレッドでサービス提供を行っているところもあるので注意は必要である。

更に、欧州中央銀行(ECB)が金利を引き上げる可能性は低く、特にこれから資産形成を図る若い世代を中心とした個人投資家の間で、リスク志向が高まることが予想される。市場競争は激化しているものの、リテールブローカーは戦略地域を定め、効果的に顧客へマーケティングすることで依然市場開拓余地はあるといえるだろう。また、欧州の年金制度にはサステイナビリティ(持続可能性)の問題が燻っていることから、今後貯蓄してきた資産をリスクのある金融商品で運用する可能性もある。

BUXのCEO兼創業者であるNick Bortot氏によれば、米国と違って、欧州ではそこまで人々の生活に投資文化が根付いていないと述べている。ただし、市場環境の移り変わりやブローカーの効果的なマーケティングにより、欧州の人々が投資に資金を仕向けるという変化が見られてくるかもしれない。そして、投資家が貯蓄から投資に資金をシフトする際には、投資家が支払うコストの適正化を図る必要があろう。

他方、FX・CFDブローカーは、ハイレバレッジ取引を望む顧客への商品・サービスの提供を続けているが、規制当局はゼロカットシステムの採用が不要なレバレッジ無しの金融商品の提供を推進しているように見受けられる。金融業界においては、常に個人投資家の判断が誤っているという不文律があるが、金融商品やレバレッジに関係なく、この不文律は未だに続いている状況だ。顧客の損失がブローカーの利益となる仕組みを拭い去ると共に、顧客にとって無駄なコストを省き、先進的なテクノロジーを活用した革新的なサービスを提供することが求められているといえよう。

release date 2019.02.21

出典元:

ニュースコメント

高付加価値サービスを提供するBUX

オランダ・アムステルダムを拠点として活動するBUXは、FXやCFD取引に利用されるゼロコミッション(手数料無料)トレーディングを実現するスマートフォンアプリや取引プラットフォームの開発に取り組んでおり、操作性の高いユーザーインターフェース(UI)で若年層のユーザーから高い支持を集めている。欧州全域で200万人近いユーザーを抱えるBUXは、2018年11月末に、事業拡大責任者として米リップル社で幹部を務めた経歴を持つAditya Pasumarty氏を迎え入れたことに加え、新しいトレードアプリケーション「STOCKS」を発表しており、サービス拡大に意欲的に取り組んでいるようだ。また、ソーシャルトレーディングサービスを提供するフィンテック企業ayondoの英国法人をBUXが買収するため、現在交渉段階に入っていることが発表されている。リテールブローカーは未だ続く顧客との利益相反関係を断ち切る必要があり、市場環境や規制枠組みの変化を見せる今こそ長期的視点に立ち、取引手数料無料といった顧客にとって付加価値の高い商品・サービスを提供する時期に差し掛かっているといえるだろう。2019年のBUXの事業計画にも注目したい。


Date

作成日

2019.02.21

Update

最終更新

2022.11.10

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

メタマスクが勝手に開く現象が多数報告!原因や対処法は?

PCでブラウザを立ち上げた際にメタマスクが勝手に起動する現象が起きており、SNS上でも話題になっています。Myforex編集部でもこの現象を確認しており、当記事執筆時点(2025年4月3日)ではGoogle ChromeとBraveのブラウザで発生していることが確認できています。
update2025.04.03 19:45

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

海外FX業者のXアカウントが凍結?金融庁による働きかけの可能性も

複数の海外FX業者の公式Xアカウントが凍結されました。凍結されたのは日本向けのアカウントで、同じブローカーの英語アカウントは現在も閲覧できる状態です。海外FX業者の公式Xアカウントが凍結された背景を解説します。
update2025.04.01 19:30

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

キャプテン翼-RIVALS- がJOHNトークンのエアドロを発表!LINEなどで遊べるMini Appの独自トークン

「キャプテン翼-RIVALS- Mini App」は、キャプテン翼のIPを活用したWeb3ゲームです。2025年4月にJOHNトークンのエアドロップが予定されており、注目を集めています。本記事では、JOHNトークンの特徴、エアドロップの仕組み、将来性などを解説します。
update2025.03.27 19:00

MT4/MT5対応の通貨強弱インディケータを徹底比較!無料で使えるおすすめは?

通貨強弱インディケータを使うと各通貨の強弱が一目で分かり、初心者でも視覚的に相場状況を把握できます。この記事では、無料のおすすめインディケータを比較し、選び方や活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:30

MT4のバックテストに正確なヒストリカルデータが必須!無料・有料データを比較

MT4でバックテストをする際にはヒストリカルデータの取得が必要です。ヒストリカルデータは無料と有料のものがありますが、どっちがいいのか、気になる人もいるでしょう。本記事では、ヒストリカルデータのダウンロード方法を詳しく解説します。
update2025.03.26 19:30

MTF-MAでトレードのレベルを上げる。MT4/MT5で使えるインディケータを比較

MTF分析は複数の時間足を組み合わせて相場全体を把握する手法です。MTF分析を使いこなすことでエントリーの方向やタイミングを掴みやすくなります。本記事ではMTF分析を簡単にするインディケータや、エントリー精度を上げる方法を解説します。
update2025.01.21 19:15
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル