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HSBC、ブロックチェーン技術を活用しFX取引コストを大幅削減

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update 2021.08.31 15:27
HSBC、ブロックチェーン技術を活用しFX取引コストを大幅削減

update 2021.08.31 15:27

FX Everywhereプラットフォームの利用が拡大

世界最大級の投資銀行であるHSBC(本社:8 Canada Square London E14 5HQ United Kingdom[1])は、ブロックチェーン技術を活用することで、FX決済コストを25%削減することに成功したことが明らかになった。

HSBCがこの度、コストの大幅削減を達成したことで、ブロックチェーン技術の効果的な活用事例を示すことができたと言えよう。これにより、FX Everywhereプラットフォームと呼ばれるHSBCのブロックチェーン技術を基にしたシステムが、銀行及びトレーディング分野において、ブロックチェーン技術の有用性を示す有力なツールとなり得るとの期待が高まっている。なお、HSBCでは2019年1月に、FX Everywhereプラットフォームを利用した決済取引金額が、2018年2月以降の合計で2,500億ドルに上ることを明らかにしている。

ブロックチェーン技術を活用したコスト削減に成功したことに際し、HSBCのFXキャッシュトレーディング兼リスク管理部門COOであるMark Williamson氏は、以下のようにコメントしている。

FX Everywhereプラットフォームは、現在1日あたり3,500件から5,000件の取引を処理し、合計決済取引金額は3,500億ドルに達しました。ブロックチェーン技術を活用したプロジェクトは、順調に進捗しております。そして、このプロジェクトが1回限りの概念実証(Proof of Concept, PoC)でもなく、たった1,2回の取引のためのものでないことを示すことができたと考えます。またFX Everywhereは、莫大な金額の決済処理を寸分違わず処理ができるため、特にクロスボーダー(複数国間で行われる)FX取引において複雑な決済処理を要する法人のお客様に、このプラットフォームを利用して頂ければと思います。更に、多くのお客様にFX Everywhereを活用していただくことで、我々はより効率的に金融サービスを提供できるようになると考えております。

Mark Williamson, COO of FX cash trading and risk management at HSBC - Finance Magnatesより引用

ビットコインやアルトコインを発明するのにも用いられたブロックチェーン技術には大きな可能性が秘められている。ただし、歴史ある金融機関の間では、セキュリティや規制、及び広く普及している既存システムへの影響を危惧し、実際にブロックチェーン技術を活用するペースは遅々としたものとなっている。そのような環境下において、この度、大手金融機関がブロックチェーン技術を活用したという事例が珍しいことながら、HSBCがブロックチェーン技術を基にしてコスト削減に繋げることに成功したことで、今後金融業界においてブロックチェーン技術の活用が著しく増加するかもしれないと見られている。

なおHSBCでは、shared permissioned ledger(コンソーシアム型ブロックチェーン)として知られるブロックチェーン技術を活用したプラットフォームを通じ、米国、欧州、アジアパシフィックに至るグローバルベースで決済取引処理を行っている。この度、HSBCがブロックチェーン技術を活用して効果的な活用事例が示したことで、FX Everywhereの更なる利用拡大が進むことが予想されよう。

release date 2019.02.15

出典元:

ニュースコメント

英銀行HSBC、独自のシステム導入で外国為替トレードが約27兆円

商業銀行を主体とするHSBCは英国に本部を置き、当時は英国の植民地だった香港で創設された香港上海銀行を母体として1991年に設立された世界有数の金融グループである。また、世界80ヵ国以上に支店や事務所を構え、日本では最も古い歴史と伝統がある外資系銀行でもあり、海外投資家からも高い人気がある。同社が展開する「FX Everywhere」と呼ばれる独自のブロックチェーンプラットフォームは、昨年、HSBC内で貸借対照表の支払いを調整する目的で導入し、内部フローの効率が改善したとの結果がでていた。この度、HSBCは国際的な貿易金融の効率を向上させることを目的とし、ブロックチェーンを用いた「FX Everywhere」は手動プロセスを自動化しミスや遅延のリスクを減らすことで業務を簡略化し25%ほどのコストカットに成功したと報告している。昨今、多くの企業がブロックチェーンの取り組みを行っているが、仮想通貨の急速な普及で、基幹技術であるブロックチェーンを応用した企業は貿易金融業にとどまらず、仮想通貨市場発展に向けたキープレイスになることだろう。


Date

作成日

2019.02.15

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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