作成日
:2019.02.05
2022.05.31 13:46
英国・ロンドンを拠点にグローバル展開を図るコモディティブローカーであるMarex Spectron Group Ltd(本社:Level Five 155 Bishopsgate London EC2M 3TQ
)【以下、Marex Spectronと称す】は、米国・シカゴを拠点とする独立系先物取次業者(Futures Commission Merchant, FCM)であるRosenthal Collins Group LLC(本社:216 W Jackson Blvd Suite 400 Chicago, IL 60606-6918 )【以下、Marex Spectronと称す】は、米国・シカゴを拠点とする独立)【以下、RCG】の買収手続きが完了したことを発表した。Marex Spectronでは、2018年12月20日にこの度の買収を既に発表しており、RCGが保有する14,000名に上る顧客リスト及び付随する顧客資産と、RCGのシカゴ本社、150名のRCGスタッフを引き継ぐとのことだ。一方でRCGにとっては、本拠地の英国を始め北米、アジアに至るまでグローバルネットワークを張り巡らすMarex Spectronの傘下に収まるものの、RCGの会社名やコーポレートブランドは維持され、独立性が確保される見通しである。そして、更に広範な顧客層に対し先物決済サービスを提供していくと共に、RCGの顧客にとってはより幅広い商品提供を受けることが可能となる見込みだ。
特に、Marex Spectronが提供するトレーディング・リスク管理プラットフォームNEONを始め、様々なテクノロジーツールを利用できることに加え、世界最大級の非鉄金属専門取引所であるロンドン金属取引所(London Metal Exchange, LME)にアクセスも可能となる。更に、店頭ヘッジング機能を利用することも豊富な金融商品に投資することもでき、RCGの顧客にとっては取引の利便性や投資の選択肢が格段に増すことが期待されよう。
また人事面においては、RCGのCEOであるScott Gordon氏が、Marex Spectronに新設されたRCG部門の副会長に、RCGのCFOであるJason Manumaleuna氏が、Marex SpectronのRCG部門にて新たにCEOに任命される見通しとのことだ。
Marex Spectronでは積極的な買収戦略を推し進めており、僅か数週間前には、英国・ロンドンを拠点とするBGC European Holdingsのコモディティ部門であるCSC CommoditiesをMarex Spectronは買収している。こちらも、RCGの買収スキームと同様で、Marex Spectronの傘下に収まる形はとるものの、独立性を維持しつつ、広範な顧客基盤にコモディティデリバティブサービスを提供していくと共に、エネルギー市場にてマーケットメイキング(値付け)業務も手掛けていく意向である。なお、Marex Spectronによる買収以前のCSCは、地盤のロンドンを始め、ニューヨーク、ジブラルタルにオフィスを構え、15名のスタッフを擁していた。
Marex Spectronは、グローバルベースで企業買収を推進し、コモディティに特化とした先物取引やデリバティブ取引、マーケットメイキングなど幅広い顧客サービスを提供していくことで、更なる顧客取引の拡大が期待できよう。
release date 2019.02.01
Rosenthal Collins Group, L.L.C.(RCG)は、米シカゴを拠点とする先物取引仲介企業で、1923年に同社の前身となるCollins Commoditiesが設立され、1988年に現在のRCGの社名に変更し、総じて100年近い歴史を持つ大手老舗ブローカーである。昨年12月、RCGが1万4,000人の顧客ベースをもつ顧客事業部門をMarex Spectronへ売却することを発表した後、ニューヨーク証券取引所を運営するインターコンチネンタル取引所の子会社で仮想通貨取引プラットフォームを提供するBakktがRCGを買収合意に至ったことが報じられ、BakktがRCGの一部株式を取得する契約の段階に入ったことが明らかとなった。Bakktの買収ではRCGの保有する重要な技術的資産が目的となっているようだ。歴史あるRCGの長年築き上げてきた知的資産やシステムが、FXや仮想通貨市場でさらに活躍していくことを期待したいところだ。
作成日
:2019.02.05
最終更新
:2022.05.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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