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ルーマニア、税法改正で仮想通貨取引の所得に10%課税

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update 2021.08.31 15:27
ルーマニア、税法改正で仮想通貨取引の所得に10%課税

update 2021.08.31 15:27

取引毎に約50ドル、年間約150ドルを上回ると課税対象

ルーマニアの現地メディアであるZIARUL FINANCIARによると、ルーマニア政府が税法を改正したことで、ビットコイン(Bitcoin)を始めとする仮想通貨取引に由来する所得は「その他の所得」に分類されることとなり、税率10%の所得税の対象となることが明らかとなった。[1]

ルーマニア政府の新しい取り決めでは、一度の仮想通貨取引で利益が200ルーマニア・レウ(約50ドル)を下回る少額の場合、課税対象からは除外されるが、取引による累計所得が年間600ルーマニア・レウ(約150ドル)を超えると、10%の所得税が適応されるようになる。ルーマニアで税務コンサルタントを務めるAdrian Benta氏によると、この仮想通貨に対する新しい税法は、公正な水準であるとの見解を示している。ルーマニアでは以前まで、仮想通貨取引を行う際に、一度フリーランスとして登録する必要があったが、仮想通貨取引による所得を、その他の所得として包括的に扱うようになるため、今回の制度変更は、このような手続きの簡略化にもつながっているようだ。

世界各国政府の懐事情と相対する関係にある仮想通貨は、政府が税収を上げるための最大のターゲットとなっており、今回のルーマニアの仮想通貨取引への課税もその大きな流れの一部だと考えられる。南米に位置するチリは、先日、今年4月から仮想通貨取引への課税を開始することと、個人の脱税などを防ぐために監視を強めることを発表した。同じくスペインでは、正確な納税額を把握することを目的に、投資家が仮想通貨資産の保有量を政府に報告することを義務化する法律の草案が作成されている。スペインでは、仮想通貨取引で得た利益からキャピタルゲイン税が徴収される決まりになっており、脱税やマネーロンダリングを防止するためにスペインの財務省は、1万5,000人もの投資家を監視しているという。

東欧でも新興の仮想通貨市場とされるルーマニアでは、国内最大の取引所としてCoinfluxが君臨している。先日、そのCoinfluxの創立者でありCEOのVlad Nistor氏がルーマニア国内で逮捕され、米国当局に身柄を引き渡されることが報道されたことで、市場の混乱を招いている。申し立てによると、Nistor氏は、自社プラットフォームを利用してマネーロンダリングを実施した容疑がかけられているようだ。Coinfluxでは、2015年の設立以来、累計2億2,900万ドル相当の仮想通貨が取引されており、去年も340万ドル相当の取引高を記録していただけに、市場に与える今後の影響が懸念されている。

release date 2019.01.23

出典元:

ニュースコメント

旧東側諸国で活発な仮想通貨関連事業への取り組み

仮想通貨市場の拡大の波に乗って、ロシアやウクライナ、グルジア、エストニア、アルメニアなど、いわゆる旧東側諸国は、こぞって仮想通貨関連事業を新たな産業分野として確立するための取り組みに力を注いでいるようだ。特に参入が比較的容易なマイニング事業が人気のようで、例えばロシアでは、現地企業と共同でHuobiがマイニングホテルと呼ばれる集合型のコロケーション施設の開発を進めている。ハンガリーには、まだ明確な方針は見えておらず、規制のフレームワークも提案されていないが、ひとまず税収の確保だけは準備が整った状況にある。ハンガリー政府が仮想通貨取引に課した所得税10%という税率は、実質税率が55%を超える日本や、軽減税率が適応されたにも関わらず最大30%(本来は45%)の所得税を徴収するフランスと比べると、まだまだ良心的な範囲内だといえる。今後の税率引き上げなども見据えての設定なのかもしれないが、仮想通貨関連事業の促進を願うのであれば、慎重な判断を下すべきだろう。


Date

作成日

2019.01.23

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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