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米SECへの登録免除を利用したICOが急増

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update 2021.08.31 15:27
米SECへの登録免除を利用したICOが急増

update 2021.08.31 15:27

2018年は前年比約6.5倍の287件

金融メディアのMarketWatchによると、米国証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】への登録免除が認められる方法を利用して実施されたICO(イニシャルコインオファリング)の件数が、2018年に爆発的に増加していることが明らかとなった。[1]

主催企業は、特定の大口投資家からの投資を募る際に限り、フォームDと呼ばれる申請様式をICO実施から15日以内に提出することで、通常は必要とされているSECへの登録について、免除を受けることが可能となる。この免除を受けるためには、100万ドル以上の資産、または20万ドル以上の年収がある個人であること、または、500万ドル以上の資産を持つ企業を対象に限定的な公募を行うことが条件になっているという。2017年にこの制度を利用して実施されたICO件数は44件で、合計21億ドルの資金調達であったのに対し、2018年には同件数は287件、合計87億ドルの資金調達にまで達し、大きな飛躍となった。中でもピーク時の第2四半期には、登録免除を受けたICOは99件にまで達している。

SECの議長であるJay Clayton氏は、2018年中は、これとは反対にSECへのICO登録が1件もなかったことを証言している。このことは、詐欺的なICOが横行している現状を踏まえると、不当なICOによる被害が拡大している可能性を示唆しているという。事態の改善を図るべくSECの専門部署であるOffice of Investor Education and Advocacyは、詐欺ICOの脅威をより深く伝えるために、昨年5月、HoweyCoin.comと呼ばれる偽のICOサイトを作成し、投資家に注意を促している。また、同時に取り締まりを強化していく対応を見せており、昨年11月には、SECが2つのICOプロジェクトに罰金を課し、米国では初となるICOの登録違反者に対して民事罰を与えている。加えて、11月末、SECはICOの宣伝違反として、ボクサーとして有名なFloyd Mayweather Jr氏と音楽プロデューサーのDJ Khaledに処罰を下している。

MarketWatchの分析によると、SECの行ったこれらの対応は、ICO件数の減少を招くなどの大きな影響は与えなかったという。市場の安全性向上を願うSECだが、公の場での声明や文書から読み解くと、同時に仮想通貨への投資を阻害することをリスクだと感じており、詐欺的なICOを排除するためのより強いアクションへと踏み出せないでいるようだ。SECコミッショナーを務め、仮想通貨推進派として知られるHester Peirce氏、通称「Crypto Mom」は、このSECの煮え切らない態度の原因を、規制当局が必要以上に保身的になっており、批判されることを恐れているからだと指摘している。それを理解した上で、Peirce氏は、投資家にもっと情報に触れさせて、その投資商品を購入するかの選択肢を与えるアプローチを提案しており、SEC内での説得を試みているという。

Peirce氏は、昨年11月7日、スイスのツークで開催されたクリプトバレーサミットで、規制当局が抱える方針の食い違いついて以下のようにコメントしている。

米国の規制当局は、仮想通貨の利用を促進する、または制限する異なる方向性で混同したメッセージを発信していますが、それは、仮想通貨という言葉をそれぞれが違う定義で捉えているからです。例えば、米商品先物取引委員会(US Commodity Futures Trading Commission,CFTC)は、仮想通貨を対象としたデリバティブ商品の開発を許可していますが、これまでSECは仮想通貨ETFの米国内でのリスティングを認めていません。

Hester Peirce, Commissioner of SEC - SECより引用

また、SECの議長を務めるClayton氏もPeirce氏と同じく仮想通貨推進派であるが、既存の証券法の範囲内で規制することを提言している。Clayton氏は、昨年4月に米国の名門大学、プリンストン大学での講演で、全てのICOが詐欺であるということを否定しており、既存の証券の概念に分類されると語っている。続く12月6日のコロンビア大学の講演では、ICOは起業家にとって有効な資金調達の方法となる可能性があることを示し、同時に証券法で規制されるべきであるとの主張を再度強調している。

SECの思惑には一部反するかもしれないが、今現在、仮想通貨関連企業は、代替となる取引システムおよび、ICOトークンを含む仮想通貨取引プラットフォームを実現するATS(Alternative Trading System)ライセンス取得への可能性を模索しているという。米国の大手仮想通貨取引所コインベースは、ATSとしての登録があるVenovate Marketplaceを含む3社を買収しており、大手イーコマース企業のOverstock.comに関しては、子会社のtZeroがICOトークンの取引所を開発中のようだ。これら企業の取り組みなどで、仮想通貨の流通市場が活性化すれば、いくつかのICOは、小口の投資家や個人向けに提供される可能性もあるかもしれない。

release date 2019.01.14

出典元:

ニュースコメント

従来の取引所として規制されないATSでの取引

ATSとは、取引所の代替として、仮想通貨や証券を売買する仕組みを提供するシステムを指しており、SECの承認を取得しなければならない。正式な市場を持たない資産などを取引するMTF(Multilateral Trading Facilities)、証券取引所を介さずネットワーク上で私的な証券売買が可能なECN(Electronic Communication Network)、大口注文などを取引時間外に成立させるクロスネットワーク、金融機関同士が短期の資金を融資し合うコールネットワークなどのシステムがそれに該当する。これらのシステムを提供する企業は、ほとんどの場合、取引所としてではなく金融ブローカーとして国に登録されていることが多い。もちろん、ATSでは、取引所での直接的な取引を行わないことから、論理的には、運営企業が従来の規制で縛られることは無いというが、これに関してSECやCFTCはコメントを控えている。当局がどのような見解を今後示すかはわからないが、ICO市場の構築には有効な手段となり得るかもしれない。


Date

作成日

2019.01.14

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

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