作成日
:2019.01.11
2021.08.31 15:27
仮想通貨インデックスファンドを提供するBitwise Asset Management, Inc.(本社:300 Brannan Street Suite 201 San Francisco, CA 94107
)【以下、Bitwiseと称す】は、ビットコイン(Bitcoin)を対象とした上場投資信託(Exchange Traded Fund)【以下、ETFと称す】に関する新たな提案を米国証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)【以下、SECと称す】に申請したことを発表した。ETFは、特定の株価指数やその他資産の価値変動を追跡する様にデザインされており、市場が開いている時間であれば株式投資と同じく市場で売買することが可能である。発表によると、今回、Bitwiseが提案したビットコインETFは、Bitwise Bitcoin Total Return Indexという指数に連動し、複数の仮想通貨取引所のビットコイン価格に紐づいているという。
Bitwiseは、この度の提案について、規制されたカストディアン(株式・証券保管業者)が実際にビットコインを保有して管理する点で、以前Bitwise がSECにETFの登録を申請した際の提案とは異なっていることを強調している。米国では、過去80年間、銀行や信託会社がファンドを裏付ける資産を管理することが一種のスタンダードとなっているが、Bitwiseはその運用基準をビットコインETFにも適応することで、実態が見えづらい仮想通貨の管理を厳格化し、ビットコインETFを運用する上での安全性を確保するという。
ビットコインETFの構想は特別新しいものではなく、これまでも多くの企業がSECへの申請を実施してきた。今の所、これらの申請は拒否または精査中のステータスになっているが、この状況に対して、BitwiseのETF部門グローバルリーダーであるJohn Hyland氏は、2019年がビットコインETFの始まりの年と発言しており、楽観的な見方を示している。また、同じくBitwiseの調査部門グローバルリーダーを務めるMatt Hougan氏も、SECからビットコインETFの取引環境について質問があったことを明かした上で、申請の承認に向けてBitwiseが過去に調査してきた内容をSECと議論したいと、前向きなコメントを残した。
Bitwiseの申請がSECに承認されれば、ニューヨーク証券取引所へのリスティング登録に進むことになるという。最終的な判断には時間を要するかもしれないが、どのような結末を迎えるのか、今後も状況を注視していきたい。
release date 2019.1.11
これまでSECには、10件ものビットコインETFに関する申請があったが、その内9件のビットコインETFをSECは却下してきた。また、残り1件となる、VanEckとSolidXによるビットコインETF申請については回答を延期することも既に発表している。このSECの停滞は、当局が投資家保護の観点で懸念を拭いきれないことに起因しているようだ。その点、今回のBitwiseによる提案は、運用面での安全性確保というアプローチで他との違いを見せていることから、幾分期待が持てる内容にはなっているといえるだろう。しかしながら、この提案でも、ビットコインを含む仮想通貨が抱える、価格の変動性の高さ、マイニング報酬の枯渇やマイニングリソースの確保、システムのサステナビリティ(持続可能性)など、根本的な危険性を回避できるわけではない。こういった性質のものを証券取引所に上場すること自体がリスクとなるため、結局は、SECが仮想通貨をどのように評価するかにかかっていると考えられるが、熟考するSECは企業の懇願をどう受け止めるのだろうか。
作成日
:2019.01.11
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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