作成日
:2019.01.07
2021.08.31 15:27
Bitcoin SV【以下、BSVと称す】の商用利用を促進するbComm協会は、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)からハードフォークしたBSVの新しいロゴを先日発表した。
bComm協会は、ビットコイン(Bitcoin)の立案者だと称するCraig Wright氏によって立ち上げられた組織で、開発者や仮想通貨取引所、マイナー、小売店などの参加者によって構成されている。ジェネシスブロックと呼ばれる最初のブロックがマイニングされてから10周年を迎えるビットコインだが、BSVの新しいロゴは、それを記念して発表されたものだという。
bComm協会ならびにnChainの代表を務めるJimmy Nguyen氏は、今回の新しいロゴについて以下のようにコメントしている。
ビットコインの立案者であるサトシ・ナカモト氏が提唱したビジョンから離れて開発が長年進められてきましたが、我々は、ビットコインの再誕となるBSVが立ち上げられたことを嬉しく思っています。BSVの新しいロゴは、成長の転換期にあるビットコインを象徴しており、分散型ネットワークを通して世界中の支持者により実施された幾多ものオンライン投票の結果を受けて選ばれたものです。
Jimmy Nguyen, President of bComm Association, - bComm Associationより引用
ビットコインキャッシュは、Wright氏を中心とするBSV陣営と現在のビットコインキャッシュの流れを受け継ぐBitcoin ABC陣営で別々に開発が進められている。ハードフォーク以来、注目を浴びるBSVだが、その取り組みは当初のビットコインが掲げたビジョンの実現を目指し、ビットコインに代わる仮想通貨となることが期待されているようだ。BSVがローンチされた直後、ビットコインキャッシュの価格は、1通貨あたり890ドルまで上昇しており、BSVに関しては現在90ドルで取引されている。
昨年11月末、Wright氏は、ブロックサイズを従来の32MBから128MBへ拡張することを中心とした開発計画を元にハードフォークを実行に移した。ブロックサイズを拡張することによって、トランザクションの性能を向上させる狙いがあり、BSVは投機的な仮想通貨の利用だけではなく、かつてビットコインが実現しようとしたブロックチェーンでの日常的なシステムの構築を目的としているようだ。
今回発表されたロゴには、ブランディング的な意味合いも含まれているが、Nguyen氏によると、開発を担うnChainのBSVチームは、新しいロゴを採用せず、当面は元のドラゴンのロゴを利用するようだ。
release date 2019.1.7
ビットコインのハードフォークは、数多く実施されてきているが、ビットコインキャッシュは主要なビットコイン派生通貨ということもあり、ひときわ大きな爪痕を残した。11月末、仮想通貨市場はビットコイン価格が1週間で30%以上も下落した史上最悪の期間を経験しているが、ビットコインキャッシュのハードフォークが招いた混乱がネガティブな市場心理を生み出す元凶となったとも言われている。事実、ハードフォーク後の対応には、各所、手を焼いたようで、例えば、ウォレットサービスでのビットコインキャッシュの入出金停止や仮想通貨取引所での取引停止などの原因となった。加えて、ハードフォーク時の脆弱性をついた仮想通貨盗難の手口であるリプレイアタックによる被害の懸念なども生まれており、ビットコインキャッシュは、仮想通貨市場全体に蔓延するリスクオフの流れを加速させたといえる。現在では、分裂した両通貨陣営や関係各所の対応も決まり、状況は安定に向かっていると言えるだろう。
作成日
:2019.01.07
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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