Select Language

アブハジア共和国でマイニング施設への電力供給が一時停止

アブハジア共和国でマイニング施設への電力供給が一時停止

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:27
アブハジア共和国でマイニング施設への電力供給が一時停止

update 2021.08.31 15:27

一般家庭や公的機関、産業施設への電力供給の確保が目的

アブハジア共和国で運営する電力会社Chernomorenergoは、15社に及ぶ国内の仮想通貨マイニング企業への電力供給を一時的に停止することを発表した。Facebookページでの情報によると、これら企業のマイニング施設での総電力使用容量は8,950kWtに達し、1,800世帯分または、首都のスフミ周辺の行政地区が消費する電力に等しいという。[1]

この動きは、グルジア内部で独立を宣言しているアブハジア共和国の政府が、国内で発電された電力の消費を抑えることを目的に、昨年末、電力供給の停止を許可したことが発端となっている。これに関して、政府は、一般家庭や公的機関、および重要な生産施設などへの電力供給を保証するために必要な措置であることを説明している。アブハジア共和国では、気温が下がる冬季に電力消費が大きくなることで、国内の電力システムの負担となっているという。

アブハジア共和国の電力供給のほとんどは、グルジアとの国境にある共有の大規模水力発電施設であるEnguri Hydroelectric Stationと、Vardnili Plantと呼ばれる小規模な発電所で賄われている。経済情報メディアによると、2018年3月のグルジア領内での電力消費量は11億1,600万kWhを記録しており、そのうち約19%の2億700万kWhがアブハジア共和国で消費された電力であるという。[2]また、Chernomorenergoによれば、すでに国内のマイニング企業に対し、電力消費を抑制する旨の令状が発行されており、各企業はそれを厳守していたという。

法規制の緩さや電力などの運用コストの低さを背景に、アルメニアなど近隣の南コーカサス諸国では、グルジアやアブハジア共和国と同じように仮想通貨のマイニング事業が急速に拡大している。これまでアブハジア共和国は、仮想通貨のマイニングに関して友好的な立場をとってきたが、この流れを受けて、同国のRaul Khajimba大統領は、仮想通貨の規制に関して議論するための政府会合を予定しているという。

これらの地域の国々は、仮想通貨分野の産業に恩恵を受けており、例えば、ソビエト連邦崩壊後に独立を宣言した沿ドニエストル・モルドバ共和国なども海外の投資を呼び込む好機として、マインングや仮想通貨関連事業を企てる企業を支援するための予算を増やしている。また、マイニング施設もソビエト時代の廃工場の敷地を利用するなど、企業の誘致を目論む独立政府と安価な運用場所を求める企業の予想外のマッチングも生んでいるようだ。

release date 2019.1.2

出典元:

ニュースコメント

小国では新しい産業分野として期待される

仮想通貨やブロックチェーン技術の発展は、産業が乏しい小国にとって、新しい産業を生み出す思わぬチャンスとなっている。特に欧州や旧社会主義圏内の地域では、法規制の緩さも相まって、多くの仮想通貨関連企業が事業を立ち上げる結果となった。例えば、スイスのツークには豊富な人材と世界中の企業が集まっており、エストニアでは国家独自の仮想通貨エストコインによるICOプロジェクトがエストニア政府の主導により発足している。また、ウクライナでは、今後3年で仮想通貨を合法化することで、仮想通貨市場を拡大する方向に動いているようだ。日本や米国をはじめとする先進国では、マネーロンダリングやテロ組織への資金供与、詐欺行為での利用など、負の側面ばかり議論されがちだが、前述した国々では仮想通貨がもたらす恩恵を最大限生かす方向性で規制が模索されている。現時点でどちらのアプローチが正しいか判断はできないが、これらの小国が市場で優位性を得るための戦略としては有効なのかもしれない。


Date

作成日

2019.01.02

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

SwiftTraderが資金難?SNSで出金トラブル報告が増加

2025年以降、SwiftTraderで出金拒否・遅延の報告がSNSで相次いでいます。本記事では報告されている出金トラブルのほか、GEMFOREXとの類似点やSwiftTraderをおすすめしない理由を説明します。
update2025.10.16 19:30

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

XMTradingが新銘柄GAUUSDを追加!取引コストはGOLDより割高か

XMTradingが新たにGAUUSDなど4種類のゴールド銘柄を追加し、グラム単位で少額取引が可能になりました。この記事では、従来のGOLDとの取引コストやスワップを比較します。
update2025.10.10 19:00

【要注意】堀江氏・テスタ氏のディープフェイク広告が急増中?国内で詐欺の事例も

ディープフェイク技術を使った詐欺広告が世界的に増加しており、国内でも有名人を装った広告が出回っています。広告は精巧で、違和感に気づけないケースもあるため、真偽を見抜くのは簡単ではありません。本記事では、出回っているディープフェイク動画の広告主を調査しました。
update2025.10.08 19:00

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル