作成日
:2018.12.14
2021.08.31 15:27
世界三大証券取引所の1つとして知られるロンドン証券取引所グループ(本社:10 Patermoster Square, London, EC4M 7LS
)【以下、LSEと称す】は12月14日、同じくロンドンを拠点としユーロ建て取引決済で欧州最大手の清算機関であるLCH(本社:Aldgate House, Aldgate High Street, London EC3N 1EA, UK )の株式持ち分14.6%を追加取得したことを発表した。LSEでは既に、2018年度第3四半期決算報告において、最大4億3,800万ユーロ(4億9,436万ドル)を投じLCH株式持ち分を追加で15%取得する意向を公表していた。実際にはLCH株式持ち分14.6%を4億2,450万ユーロ(4億7,920万ドル)で取得する見通しとのことだ。なお、LSEが現在保有するLCH持ち分からは、LSEの2018年第3四半期売上高に対し金額にして5,700万ユーロ(7,162万ドル)を寄与しているという。
今回の追加株式取得に関しては、規制当局からの承認も下っており、LSEはこれによりLCH株式82.6%を保有することになる。またLSEによれば、保有キャッシュと既存債務を活用してLCH株式を取得する意向であり、これによりEPS(1株当たり利益, Earnings Per Share)も改善する見込みとのことだ。
なお、LSEが具体的にどの株主からLCH株式を購入するかは不明である。ただし、イスタンブール証券取引所やCFT&Viel&Cie、コメルツ銀行、ドイツ銀行、ナスダック、野村証券といった多くの少数株主からLCH株式を取得する見通しであると共に、バンクオブアメリカ・メリルリンチやバークレイズ、JPモルガン、モルガンスタンレー、ソシエテジェネラルといった機関投資家もLCH株式の一部を売却している模様だ。
LSEは、今回ユーロ建て取引決済で圧倒的なシェアを握るLCHの持ち分比率を高めることで、更なる収益力向上を図っていると伺えよう。
release date 2018.12.14
英国のロンドン証券取引所は、米国のニューヨーク証券取引所、日本の東京証券取引所とともに、世界三大証券取引所に挙げられている。ヨーロッパ市場の中心となるロンドン証券取引所は市場参加者や取引量が特に多く、市場がオープンするとユーロやポンドの値動きが活発化するなど、世界の株式市場に大きな影響を及ぼしている。また、英国企業だけでなく、多くの国外企業が上場しており、国際色が豊かな市場となっている。なお、ロンドン証券取引所の運営は2007年に設立したロンドン証券取引所グループが行っているが、国際的な経営統合を図っており、同年に買収したイタリア証券取引所をはじめとした、さまざまな機関を間接的に運営している。さらに、FTSEラッセルを通じた株価指数算出といった情報サービスなど幅広い事業も手掛けている。この度のLCH株式の追加取得により、収益力を高めることができるのか、今後の事業展開にも注目したい。
作成日
:2018.12.14
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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